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ライバル登場⁉
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第二営業部に戻ろうと廊下を歩いていたら、横にある男子トイレから大槌先輩が現れた。僕と同じように、お昼を食べた帰りなのかもしれないな。
「花園くん、午前中はすごく助かったよ。ついでに書類をまとめてくれて、ありがとな!」
「大した仕事じゃないですし、お役に立ててなによりです」
「午後からの会議に出席するんだろう? 遅れないように気をつけろ。そういえば、島田はどうした?」
大槌先輩は僕を見てから、遠くに視線を飛ばして、ヒート先輩の存在を探す。
「まだ外でお昼を食べてます。会議があるので、そろそろやってくるんじゃないでしょうか」
「島田のヤツ、花園よりも遅れてやって来ることになったら、第一営業部の奴らに、どやされるネタになるのにな。まったく、なにをやってるんだか」
「それはこっちのセリフですよ、大槌さん」
大槌先輩の後ろから林さんが近づくなり、呆れた感じの口調で会話に割り込んだ。かけられた声に振り返る大槌先輩に、僕は慌てて説明を施す。
「大槌先輩、第一営業部で僕の教育係をしてくださっている、林さんです。島田先輩とは同期の方でして」
林さんから先輩呼びは好きじゃないと事前に言われている関係で、さんづけで呼んでいたのだが、そのことを知らない大槌先輩は、僕らの関係をどう思うだろう。
「全部知ってる。花園、説明ご苦労さん」
僕に顔を逸らしたまま返事がなされたので、大槌先輩の表情が読めない。だけど乾いた口調から、あまりいい顔色じゃないのは明らかだった。
「林、こっちのセリフってどういうことだ?」
「せっかくウチの新人が、第二営業部に手伝いに行ってるっていうのに、会議に使う書類のコピーやら、買い出しの荷物持ちなんてさせるのは、どういう扱いをしているのかってことですよ」
「花園くんの仕事に関しては、島田に一任している。俺に文句を言わずに、島田に聞いてくれ」
「島田の先輩が大槌さん、アナタでしょう? もっとマトモな仕事をさせてあげるように、助言してあげてくださいよ。こっちだってプロジェクトのせいで、人手が足りないっていうのに――」
林さんがほかにも、文句じみたセリフを言い続ける。そのせいで次第に、大槌先輩の表情が険しくなっていった。これはなんとかしてフォローしなければと、彼らの間に入り、どっちを説得しようかと迷った瞬間――。
「林、そこまでにしてくれないか!」
スーツの上着を肩にかけたヒート先輩が、後方から大きな声をかけて現れた。
「島田……」
突然現れたヒート先輩を見るなり、林さんの眉間に皺が寄る。
「離れてるこっちにまで、おまえの文句が聞こえてたぞ。ほかの社員が聞いたら、林の印象が悪くなる。口煩いヤツだなってさ」
「島田が花園くんに、ちゃんとした仕事を与えないからだろ」
「俺らだってプロジェクトで忙しいのに、初日からマトモな仕事なんて、準備ができるわけがないだろ。午後の会議に出てもらってから、調整していくつもりだ。それでいいだろう?」
僕らの傍に辿りつくなり、これからのことを言い放った島田先輩。訊ねられた言葉は僕にだったので、元気よく「お願いします!」と答えた。
「大和が納得したんだ。林、これで文句はないだろう?」
「ああ、わかった」
舌打ちをしてから、踵を返して去って行く林さんを、僕らは黙って見送った。
第二営業部に戻ろうと廊下を歩いていたら、横にある男子トイレから大槌先輩が現れた。僕と同じように、お昼を食べた帰りなのかもしれないな。
「花園くん、午前中はすごく助かったよ。ついでに書類をまとめてくれて、ありがとな!」
「大した仕事じゃないですし、お役に立ててなによりです」
「午後からの会議に出席するんだろう? 遅れないように気をつけろ。そういえば、島田はどうした?」
大槌先輩は僕を見てから、遠くに視線を飛ばして、ヒート先輩の存在を探す。
「まだ外でお昼を食べてます。会議があるので、そろそろやってくるんじゃないでしょうか」
「島田のヤツ、花園よりも遅れてやって来ることになったら、第一営業部の奴らに、どやされるネタになるのにな。まったく、なにをやってるんだか」
「それはこっちのセリフですよ、大槌さん」
大槌先輩の後ろから林さんが近づくなり、呆れた感じの口調で会話に割り込んだ。かけられた声に振り返る大槌先輩に、僕は慌てて説明を施す。
「大槌先輩、第一営業部で僕の教育係をしてくださっている、林さんです。島田先輩とは同期の方でして」
林さんから先輩呼びは好きじゃないと事前に言われている関係で、さんづけで呼んでいたのだが、そのことを知らない大槌先輩は、僕らの関係をどう思うだろう。
「全部知ってる。花園、説明ご苦労さん」
僕に顔を逸らしたまま返事がなされたので、大槌先輩の表情が読めない。だけど乾いた口調から、あまりいい顔色じゃないのは明らかだった。
「林、こっちのセリフってどういうことだ?」
「せっかくウチの新人が、第二営業部に手伝いに行ってるっていうのに、会議に使う書類のコピーやら、買い出しの荷物持ちなんてさせるのは、どういう扱いをしているのかってことですよ」
「花園くんの仕事に関しては、島田に一任している。俺に文句を言わずに、島田に聞いてくれ」
「島田の先輩が大槌さん、アナタでしょう? もっとマトモな仕事をさせてあげるように、助言してあげてくださいよ。こっちだってプロジェクトのせいで、人手が足りないっていうのに――」
林さんがほかにも、文句じみたセリフを言い続ける。そのせいで次第に、大槌先輩の表情が険しくなっていった。これはなんとかしてフォローしなければと、彼らの間に入り、どっちを説得しようかと迷った瞬間――。
「林、そこまでにしてくれないか!」
スーツの上着を肩にかけたヒート先輩が、後方から大きな声をかけて現れた。
「島田……」
突然現れたヒート先輩を見るなり、林さんの眉間に皺が寄る。
「離れてるこっちにまで、おまえの文句が聞こえてたぞ。ほかの社員が聞いたら、林の印象が悪くなる。口煩いヤツだなってさ」
「島田が花園くんに、ちゃんとした仕事を与えないからだろ」
「俺らだってプロジェクトで忙しいのに、初日からマトモな仕事なんて、準備ができるわけがないだろ。午後の会議に出てもらってから、調整していくつもりだ。それでいいだろう?」
僕らの傍に辿りつくなり、これからのことを言い放った島田先輩。訊ねられた言葉は僕にだったので、元気よく「お願いします!」と答えた。
「大和が納得したんだ。林、これで文句はないだろう?」
「ああ、わかった」
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