この想いは蜜よりも甘く――

相沢蒼依

文字の大きさ
3 / 51
番外編

すれ違う笑いのツボよりも愛は深く――

しおりを挟む
※ 昨年の正月は、早々風邪をひいて高熱にうなされたからこそ現実逃避すべく、テレビからネタを探しました。

 たまたまそこでマグロ漁船のドキュメンタリーを見ることになり、元ホストで現在は漁師をしているキャラに使えると考えつき、フラフラしながらも執筆しました。

 今年は昨年とは真逆で除雪に大掃除、お節作りにクロカンをこなすという忙しいお蔭で、毎日元気に過ごせてます。

 バカは風邪をひかないを表しているのかもしれません。

 さて今年もよろしくということで、お年玉をプリーズしようなぁと昨年書いた新作から、恭介と和臣のお話を選んでみました。

 糖度は昨年の作品よりも落ちるかもなぁと思いつつ、二人ならではのラブラブを頑張って執筆いたしました。

 楽しんでもらえたら嬉しいです(・∀・)


***

 31日の大晦日は毎年『笑っちゃいけない!』というバラエティ番組を和臣と一緒にソファに並んで座りながら見ていた。

 午後6時半から始まるので早めに晩ごはんを済ませ、素早くお風呂も入り、目の前のテーブルにはジュースとスナックお菓子を用意して、番組が始まるのを今か今かと待っていた。

「今年のネタはメキシコ警察24時になってるけど、イマイチ想像がつかないよね」

「ああ。捜査能力ならアメリカが一番と言われているのに、あえてそれを回避してメキシコを選ぶあたりは、テレビ局として徹底的に笑いを取ろうとしているんだろうな」

「捜査能力についてなんて、恭ちゃんってばよくそんなことを知ってるね。他の国の警察なんか全然興味ないから、今回の企画についても未知数だよ」

 大きな瞳を瞬かせながら、俺を見つめる和臣の視線に応えるように、ニッコリとほほ笑みかけた。

「たまたま見た特番からの知識だよ。DNA鑑定を最初に手掛けたのが、アメリカとイギリスの警察だったんだ。そのノウハウを日本の警察が学んだんだってさ」

「へえ。アメリカと言えば、FBIがあるから優秀かなって思った」

 自分の話にノってきた和臣との会話のお蔭で、番組を待っている時間が短く感じられた。

「凶悪犯罪に立ち向かうSWATも配備されてる。日本ではSATやSITという特殊部隊的なものがあるけど、アメリカのように強襲拘束や射殺ができないから、対処能力は先進国最低らしいぞ」

「先進国最低ってテロみたいな大きな事件が起きたら、大変なことになりそうだね」

「だよなぁ。ベースが平和国家だから、和臣が言った事件が起きたらどうなることやら。あっ、ちょうど始まった」

 CMから切り替わったテレビ画面に大きな文字で『笑っちゃいけない!』が映し出された。

「僕、今のうちにトイレに行ってくる」

 言うなり、ソファから立ち上がった和臣。これも毎年の恒例行事の一つになっていた。

「トイレに行っといれ」

「恭ちゃん、もう少し笑えるギャグを言えるようになれたらいいのにね」

「番組より先に、笑わせるつもりはない」

 早く行けと言わんばかりに手を振ったら、呆れ顔した和臣は肩を竦めてトイレに向かった。

 一応毎年の恒例行事になっているこれに対抗すべく、ギャグを考えているのだが、いかんせん上手くいった試しがない。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

【完結・BL】春樹の隣は、この先もずっと俺が良い【幼馴染】

彩華
BL
俺の名前は綾瀬葵。 高校デビューをすることもなく入学したと思えば、あっという間に高校最後の年になった。周囲にはカップル成立していく中、俺は変わらず彼女はいない。いわく、DTのまま。それにも理由がある。俺は、幼馴染の春樹が好きだから。だが同性相手に「好きだ」なんて言えるはずもなく、かといって気持ちを諦めることも出来ずにダラダラと片思いを続けること早数年なわけで……。 (これが最後のチャンスかもしれない) 流石に高校最後の年。進路によっては、もう春樹と一緒にいられる時間が少ないと思うと焦りが出る。だが、かといって長年幼馴染という一番近い距離でいた関係を壊したいかと問われれば、それは……と踏み込めない俺もいるわけで。 (できれば、春樹に彼女が出来ませんように) そんなことを、ずっと思ってしまう俺だが……────。 ********* 久しぶりに始めてみました お気軽にコメント頂けると嬉しいです ■表紙お借りしました

【完結】毎日きみに恋してる

藤吉めぐみ
BL
青春BLカップ1次選考通過しておりました! 応援ありがとうございました! ******************* その日、澤下壱月は王子様に恋をした―― 高校の頃、王子と異名をとっていた楽(がく)に恋した壱月(いづき)。 見ているだけでいいと思っていたのに、ちょっとしたきっかけから友人になり、大学進学と同時にルームメイトになる。 けれど、恋愛模様が派手な楽の傍で暮らすのは、あまりにも辛い。 けれど離れられない。傍にいたい。特別でありたい。たくさんの行きずりの一人にはなりたくない。けれど―― このまま親友でいるか、勇気を持つかで揺れる壱月の切ない同居ライフ。

鬼上司と秘密の同居

なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳 幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ… そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた… いったい?…どうして?…こうなった? 「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」 スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか… 性描写には※を付けております。

ある日、友達とキスをした

Kokonuca.
BL
ゲームで親友とキスをした…のはいいけれど、次の日から親友からの連絡は途切れ、会えた時にはいつも僕がいた場所には違う子がいた

若頭と小鳥

真木
BL
極悪人といわれる若頭、けれど義弟にだけは優しい。小さくて弱い義弟を構いたくて仕方ない義兄と、自信がなくて病弱な義弟の甘々な日々。

《完結》僕が天使になるまで

MITARASI_
BL
命が尽きると知った遥は、恋人・翔太には秘密を抱えたまま「別れ」を選ぶ。 それは翔太の未来を守るため――。 料理のレシピ、小さなメモ、親友に託した願い。 遥が残した“天使の贈り物”の数々は、翔太の心を深く揺さぶり、やがて彼を未来へと導いていく。 涙と希望が交差する、切なくも温かい愛の物語。

泣き虫な俺と泣かせたいお前

ことわ子
BL
大学生の八次直生(やつぎすなお)と伊場凛乃介(いばりんのすけ)は幼馴染で腐れ縁。 アパートも隣同士で同じ大学に通っている。 直生にはある秘密があり、嫌々ながらも凛乃介を頼る日々を送っていた。 そんなある日、直生は凛乃介のある現場に遭遇する。

処理中です...