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叶side3
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パタンと扉が閉まる音を聞いて、後方を振り返った。賢一くんがいないことをしっかりと確認して、カバンからレターセットを取り出す。
メールで別れを告げるのはやはりいたたまれなかったので、手紙で伝えることにしたのだけれど、なかなか筆が進まずにいた。
途中まで書いている文面を読み直す。一方的に別れを告げている文章――私自身、史哉さんへの想いを断ち切るかのようなその内容に、今は胸が痛まなかった。
『叶さんじゃないとダメっす』
真っすぐな賢一くんの瞳が、頭の中に思い出される。体だけじゃなく、心まで温かくしてくれる彼の気持ちがとても嬉しかった。
今すぐに「好き」なんて言ってやらない。言ったらどうなるか目に見えているから。すごくつけ上がって、手に負えなくなるだろう。今だって、かなり持て余しているし……。
「叶さん、好きです」
事あるごとに連呼する、その言葉を言わせているのは、きっと私のせいだろう。
ひとつ溜息をついてから手紙に最後の別れを書く。さよなら……と。
パタンと扉が閉まる音を聞いて、後方を振り返った。賢一くんがいないことをしっかりと確認して、カバンからレターセットを取り出す。
メールで別れを告げるのはやはりいたたまれなかったので、手紙で伝えることにしたのだけれど、なかなか筆が進まずにいた。
途中まで書いている文面を読み直す。一方的に別れを告げている文章――私自身、史哉さんへの想いを断ち切るかのようなその内容に、今は胸が痛まなかった。
『叶さんじゃないとダメっす』
真っすぐな賢一くんの瞳が、頭の中に思い出される。体だけじゃなく、心まで温かくしてくれる彼の気持ちがとても嬉しかった。
今すぐに「好き」なんて言ってやらない。言ったらどうなるか目に見えているから。すごくつけ上がって、手に負えなくなるだろう。今だって、かなり持て余しているし……。
「叶さん、好きです」
事あるごとに連呼する、その言葉を言わせているのは、きっと私のせいだろう。
ひとつ溜息をついてから手紙に最後の別れを書く。さよなら……と。
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