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闇-52
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顔を腫らしたアレックスと髭が一部抜けたブラウンが説教をされて、2人で外の50本の丸太をえっちらおっちら…ギコギコ…と切っていた。
ツキヨはイエロに糸や織機の経緯を説明をした。
「あんた…あの筋肉だるまの嫁さんになるのかい?!細っこいし小さいから孫娘の嫁入り衣装を作るのかと思ったよ。事情を勘違いしたあたしも悪いし、ブラウンも碌に説明もしないし…すまないねぇ」
「私も説明をしていたと思っていたので…すいません」
台所でハーブティーをイエロは淹れてくれた。ほっとするような花の香りが漂う。
「まぁ、あたしみたいのが国のためとか難しいのは勘弁してもらって…これで織機が増えて貧しいやつに織機と織り方を教えればそいつらも金に困らなくなるって言う算段っていう訳だ」
「今度の王国との舞踏会にドレスで着れば『見たことのない布だ!』と帝国にも王国にも宣伝になって商売に結び付く…というのがアレックス様の考えなのです。
私も織ることはできても所詮は素人です…基本的なことやある程度の助言はできても技術力では商品にするものはできません。母は既に鬼籍で…今、高い技術力で織れる人は…」
「それで髭もじゃのクソ孫を頼ってきたって言う訳だね」
ハーブティーをイエロは啜る。
「…いいよ。ツキヨちゃん。あんたの晴れの舞台のドレスに相応しい布を織ろうじゃないかい!?これも何かの縁だ。さっき言ったエス?王国の馬鹿野郎だったらどんな理由でもお断りだけどさ!アハハ!
あんたのおっかさんを草葉の陰でビックリさせてやろうじゃないかい!あたしに任せな!」
「あ、ありがとうございます!!イエロおばあ様!」
「いいんだよ、女に二言はないよ。さぁ、可愛い私の孫娘。うちは孫が男ばかりでね…孫娘の花嫁御寮なんて想像すらしたことがないが、ツキヨちゃんが孫なら何枚でも織るから!さぁ、織り方のこつや細かい調整を教えてくれよ」
「はい!イエロおばあ様!よろしくお願いします!」
黒い瞳からぽろんと雫が落ちた。
窓の外からはどしーん、ぎこぎこ…という音がまだ響く…アレックスとブラウンが汗だくで作業をしていた。
「念のため、この練習用の前の糸を使うかね…」
「そうですね。前におばあ様が織った試作品を見ましたが縦に糸が少し突っ張っていたところがあるので恐らく経糸の張りが少し強いと思います」ごそごそと足元の経糸のまとまっている上下のカエシの調整をして緩める「あとは、杼を通してから筬でとんとんする時はもう少し弱くてもいいと思います。杼で緯糸と通したらやや強めに引いて筬は少し弱め…という感じですね」織機から這い出て座板に座り、踏み板を踏んで経糸を上下にパタパタと動かす。
「なるほど。つい、草が原料みたいだからしっかりめ…っていう感じに思いこんでいたかもしれないね」
「この糸が『草』と分かる人だとしっかり目にとなるのかもしれませんが、そこが重要なところかもしれませんね」
そのまま、闇灰色の職人の瞳がキラリと光る中、ツキヨはパタン…シュ…パタン…トン…と数回繰り返す。
「うん、そうさね。ツキヨちゃんは素人だというけど…逆にその素人の柔らかさみたいなのが必要かもしれないね、うん。ちょっと変わってもらっていいかい?」
座板から降りて譲ると…職人魂が乗り移ったのか経糸、緯糸の具合を指で触れる。
「なるほど。確かにちょっと張りも少し緩い感じだね…でも、筬引きがしっかりしている感じだから緯糸はやや強めに感じるくらいだね…ふむ。確かに珍しいしやっぱりあたしが知っているのと違うねぇ…ツキヨちゃんのおっかさんの一族に会って弟子入りしたいくらいだよ!アハハ」
「この織り方を知っている人に一度お会いしたいですね!ふふふ!」
イエロは呑み込みも早くあっという間に試作品の糸が三巾程の布に仕上がった。
それでも美しい布に変わりはなく、戻ってきた汗だくのアレックスとブラウンも言葉を失うほどのできだった。
「ばあさんが織ったのか?!」
「ブラウン!織った布は汚い手で触るなってガキの頃から言ってるだろ!!」
「ご、ごめんよぉ…」
「まぁ、練習用のだけどさ。どうだい?ツキヨ先生に教えてもらってこれなんだから…今日の糸の分で織ったら三国一の花嫁になるのは間違いないさ!!」
三巾の月色の布をツキヨの前に当ててみる。
「おう。未来のご亭主殿よ…どうよ。俺にいつも可愛い奥様なんていつも言うんだからよ、なんか言ったらどうだよ?!」
…。
……。
………。
「…きゃっ!」
恥ずかしそうに頬を赤らめて乙女走りで外へ行ってしまった。
アレックスの乙女心が爆発したらしい。
「お譲ちゃん…俺、何か悪いこと言っちまったかな?」
申し訳なさそうにブラウンが窓の外を見つめる。
「あ…その…たまにあるので気にしないでください…大丈夫ですので…。しばらくすれば戻ると思います」
「ツキヨちゃんに似合っているから喜ぶと思ったら…恥ずかしがり屋なのかね?ほーん。あんな筋肉だるまの癖にねぇ…女房になったら大変だよ!!」
「肝に銘じておきます…」
アレックスはとりあえず放っておくとして、イエロに今回の費用を聞いて、また部材や何か必要なものがあったら随時伝えてほしいこと…また現時点では舞踏会であっと言わせることが目標で、そしてそれが将来的な収入に繋がることになるので我々だけの秘密としてほしいことをお願いをした。
あとは近隣で魔気も弱く仕事もなく困っている人がいるか知りたいと話すと、職人のイエロよりブラウンの母親のベジュが詳しいかもしれないのでそれとなく聞き出して欲しいとも改めてお願いをした。
「ベジュはあたしの娘さ。そういう女の情報網に長けているからね。任しておきな!」
「イエロおばあ様…ブラウンさん…そしてお会いしてませんがベジュお母様にもいろいろ勝手なお願いばかりをして本当に申し訳ありません…これ以上何を持ってお詫びをしていいのか私が至らない故に情けないばかりです」
「あんたは、あたしの孫なんだから気になんてするもんじゃないよ!
このババが三国一の花嫁御寮に布を織らせてもらうよ!そして、大儲けすれば困っている人のためになるんだろ?あんたは立派な商売人だよ!
そして、あたしとツキヨちゃんががっぽがっぽ儲けてあと300年は男なんて放っておいて南の島でのんびり暮らすんだからさ!そのころにはひ孫が1人くらいいてもおかしくないわな!?あっはっはっはっ!」
景気のいい笑い声が響くと目尻を軽く押さえて「はい、南の島でイエロおばあ様とのんびりしましょうね」と笑顔で答えた瞬間…スパーン!と小屋の扉が切り裂かれた。
「今、俺のツキヨが南の島で暮らすとかなんとかって聞こえたが…どういうことだ?!」
アレックスの足元に蝶番だけ元の場所に残して扉は子供の玩具の積み木となっていた。
「あ!うちの扉!」
「ツキヨは南の島に引っ越すのか?!俺を置いて?!どういうことだ?!?」
黒い炎が愛刀をずるぅりと吸い込むとツキヨの細い肩を掴みゆするが、その手を小さな手がペチンと叩く。
「何でいきなりそうなるのですか?!それは将来の希望です!!そ、それに…私、アレックス様と結婚もしていないのになんで突然行くんですか?ちゃんと話を聞かないアレックス様なんて嫌いです!扉もどうするんですか?!」
「おい、これ使うか?材料はこの間切ってくれた丸太から板を切り出せば作れるからよろしくな!」
ブラウンは大工道具一式をアレックスに渡した。
「蝶番はうまいこと残ってるさね。晩飯も用意してやっから、怒った嫁御のためにけつの穴引き締めて扉を新しく作んな!」
「アレックス様…!!」
「はい、ツキヨ様。イエロ様、ブラウン様…申し訳ありません」
「晩ご飯はツキヨちゃんと食べるさね。筋肉は扉が直るまで飯抜きだよ!」
「うぅぅ…すいません」
外からぎこぎこ…とんとん…音がする中でイエロとツキヨは大きな鍋できのこや野菜の具だくさんのシチューを作っていた。
「俺もツキヨの…飯が食べたい!!!!滅多に味わえないものなんだぞ!でも、反省。反省…ツキヨの飯!飯!…反省…反省…」
一人反省会をしつつシチューのいい香りが漂い始めた。
【「まぁ!なんということでしょう!」思い出の蝶番もそのまま生かし、風格を感じる木目の美しい玄関扉がお客様を優しく出迎える…目にも眩しい玄関が完成しました!】
「何か聞こえたような気がする」
「気のせいだろ。まぁ、扉はいいから。直ったし、元からボロイから新しくなったから助かったぜ。まったく、手のかかるやつだぜ。おら、飯にしようぜ」
使い古した木製のテーブルに食器が並び、パンやワインが出された。
…5人分。
「おい。ブラウン、4人じゃねぇのか?」
「違げぇよ。おーい!オランジ!飯だぞ!」
ブラウンが二階へ繋がる梯子に声をかけたら、ひょっこりと線の細い青年が現れた。
「俺の住み込みの弟子だ」
前掛けを外して降りてきて「あ、初めまして…オランジっていいます。親方の弟子でここの2階に居候しています」と恥ずかしそうに挨拶をして、イエロとツキヨを手伝うために台所へ入った。
「…ぉい…ブラウン…いつからいるんだ?」
「ずっといるぞ。ここに初めてきたときからずーっと…」
「し、知らなかった」
「まぁ、職人気質だが悪く言えば影が薄いのが難点だ」
「…おう」
コソコソと話していると大鍋を抱えたイエロと茹でた野菜が山盛りの皿をツキヨが運んできた。
「ほら、大の男がコソコソなにしてんだい?!飯だよ!飯!」
オランジはパンを取り分けてワインを注いで回った。
【5人もいたなんて知らなかったわ…】
ツキヨはイエロのシチューを堪能しつつ驚いていた。
ツキヨはイエロに糸や織機の経緯を説明をした。
「あんた…あの筋肉だるまの嫁さんになるのかい?!細っこいし小さいから孫娘の嫁入り衣装を作るのかと思ったよ。事情を勘違いしたあたしも悪いし、ブラウンも碌に説明もしないし…すまないねぇ」
「私も説明をしていたと思っていたので…すいません」
台所でハーブティーをイエロは淹れてくれた。ほっとするような花の香りが漂う。
「まぁ、あたしみたいのが国のためとか難しいのは勘弁してもらって…これで織機が増えて貧しいやつに織機と織り方を教えればそいつらも金に困らなくなるって言う算段っていう訳だ」
「今度の王国との舞踏会にドレスで着れば『見たことのない布だ!』と帝国にも王国にも宣伝になって商売に結び付く…というのがアレックス様の考えなのです。
私も織ることはできても所詮は素人です…基本的なことやある程度の助言はできても技術力では商品にするものはできません。母は既に鬼籍で…今、高い技術力で織れる人は…」
「それで髭もじゃのクソ孫を頼ってきたって言う訳だね」
ハーブティーをイエロは啜る。
「…いいよ。ツキヨちゃん。あんたの晴れの舞台のドレスに相応しい布を織ろうじゃないかい!?これも何かの縁だ。さっき言ったエス?王国の馬鹿野郎だったらどんな理由でもお断りだけどさ!アハハ!
あんたのおっかさんを草葉の陰でビックリさせてやろうじゃないかい!あたしに任せな!」
「あ、ありがとうございます!!イエロおばあ様!」
「いいんだよ、女に二言はないよ。さぁ、可愛い私の孫娘。うちは孫が男ばかりでね…孫娘の花嫁御寮なんて想像すらしたことがないが、ツキヨちゃんが孫なら何枚でも織るから!さぁ、織り方のこつや細かい調整を教えてくれよ」
「はい!イエロおばあ様!よろしくお願いします!」
黒い瞳からぽろんと雫が落ちた。
窓の外からはどしーん、ぎこぎこ…という音がまだ響く…アレックスとブラウンが汗だくで作業をしていた。
「念のため、この練習用の前の糸を使うかね…」
「そうですね。前におばあ様が織った試作品を見ましたが縦に糸が少し突っ張っていたところがあるので恐らく経糸の張りが少し強いと思います」ごそごそと足元の経糸のまとまっている上下のカエシの調整をして緩める「あとは、杼を通してから筬でとんとんする時はもう少し弱くてもいいと思います。杼で緯糸と通したらやや強めに引いて筬は少し弱め…という感じですね」織機から這い出て座板に座り、踏み板を踏んで経糸を上下にパタパタと動かす。
「なるほど。つい、草が原料みたいだからしっかりめ…っていう感じに思いこんでいたかもしれないね」
「この糸が『草』と分かる人だとしっかり目にとなるのかもしれませんが、そこが重要なところかもしれませんね」
そのまま、闇灰色の職人の瞳がキラリと光る中、ツキヨはパタン…シュ…パタン…トン…と数回繰り返す。
「うん、そうさね。ツキヨちゃんは素人だというけど…逆にその素人の柔らかさみたいなのが必要かもしれないね、うん。ちょっと変わってもらっていいかい?」
座板から降りて譲ると…職人魂が乗り移ったのか経糸、緯糸の具合を指で触れる。
「なるほど。確かにちょっと張りも少し緩い感じだね…でも、筬引きがしっかりしている感じだから緯糸はやや強めに感じるくらいだね…ふむ。確かに珍しいしやっぱりあたしが知っているのと違うねぇ…ツキヨちゃんのおっかさんの一族に会って弟子入りしたいくらいだよ!アハハ」
「この織り方を知っている人に一度お会いしたいですね!ふふふ!」
イエロは呑み込みも早くあっという間に試作品の糸が三巾程の布に仕上がった。
それでも美しい布に変わりはなく、戻ってきた汗だくのアレックスとブラウンも言葉を失うほどのできだった。
「ばあさんが織ったのか?!」
「ブラウン!織った布は汚い手で触るなってガキの頃から言ってるだろ!!」
「ご、ごめんよぉ…」
「まぁ、練習用のだけどさ。どうだい?ツキヨ先生に教えてもらってこれなんだから…今日の糸の分で織ったら三国一の花嫁になるのは間違いないさ!!」
三巾の月色の布をツキヨの前に当ててみる。
「おう。未来のご亭主殿よ…どうよ。俺にいつも可愛い奥様なんていつも言うんだからよ、なんか言ったらどうだよ?!」
…。
……。
………。
「…きゃっ!」
恥ずかしそうに頬を赤らめて乙女走りで外へ行ってしまった。
アレックスの乙女心が爆発したらしい。
「お譲ちゃん…俺、何か悪いこと言っちまったかな?」
申し訳なさそうにブラウンが窓の外を見つめる。
「あ…その…たまにあるので気にしないでください…大丈夫ですので…。しばらくすれば戻ると思います」
「ツキヨちゃんに似合っているから喜ぶと思ったら…恥ずかしがり屋なのかね?ほーん。あんな筋肉だるまの癖にねぇ…女房になったら大変だよ!!」
「肝に銘じておきます…」
アレックスはとりあえず放っておくとして、イエロに今回の費用を聞いて、また部材や何か必要なものがあったら随時伝えてほしいこと…また現時点では舞踏会であっと言わせることが目標で、そしてそれが将来的な収入に繋がることになるので我々だけの秘密としてほしいことをお願いをした。
あとは近隣で魔気も弱く仕事もなく困っている人がいるか知りたいと話すと、職人のイエロよりブラウンの母親のベジュが詳しいかもしれないのでそれとなく聞き出して欲しいとも改めてお願いをした。
「ベジュはあたしの娘さ。そういう女の情報網に長けているからね。任しておきな!」
「イエロおばあ様…ブラウンさん…そしてお会いしてませんがベジュお母様にもいろいろ勝手なお願いばかりをして本当に申し訳ありません…これ以上何を持ってお詫びをしていいのか私が至らない故に情けないばかりです」
「あんたは、あたしの孫なんだから気になんてするもんじゃないよ!
このババが三国一の花嫁御寮に布を織らせてもらうよ!そして、大儲けすれば困っている人のためになるんだろ?あんたは立派な商売人だよ!
そして、あたしとツキヨちゃんががっぽがっぽ儲けてあと300年は男なんて放っておいて南の島でのんびり暮らすんだからさ!そのころにはひ孫が1人くらいいてもおかしくないわな!?あっはっはっはっ!」
景気のいい笑い声が響くと目尻を軽く押さえて「はい、南の島でイエロおばあ様とのんびりしましょうね」と笑顔で答えた瞬間…スパーン!と小屋の扉が切り裂かれた。
「今、俺のツキヨが南の島で暮らすとかなんとかって聞こえたが…どういうことだ?!」
アレックスの足元に蝶番だけ元の場所に残して扉は子供の玩具の積み木となっていた。
「あ!うちの扉!」
「ツキヨは南の島に引っ越すのか?!俺を置いて?!どういうことだ?!?」
黒い炎が愛刀をずるぅりと吸い込むとツキヨの細い肩を掴みゆするが、その手を小さな手がペチンと叩く。
「何でいきなりそうなるのですか?!それは将来の希望です!!そ、それに…私、アレックス様と結婚もしていないのになんで突然行くんですか?ちゃんと話を聞かないアレックス様なんて嫌いです!扉もどうするんですか?!」
「おい、これ使うか?材料はこの間切ってくれた丸太から板を切り出せば作れるからよろしくな!」
ブラウンは大工道具一式をアレックスに渡した。
「蝶番はうまいこと残ってるさね。晩飯も用意してやっから、怒った嫁御のためにけつの穴引き締めて扉を新しく作んな!」
「アレックス様…!!」
「はい、ツキヨ様。イエロ様、ブラウン様…申し訳ありません」
「晩ご飯はツキヨちゃんと食べるさね。筋肉は扉が直るまで飯抜きだよ!」
「うぅぅ…すいません」
外からぎこぎこ…とんとん…音がする中でイエロとツキヨは大きな鍋できのこや野菜の具だくさんのシチューを作っていた。
「俺もツキヨの…飯が食べたい!!!!滅多に味わえないものなんだぞ!でも、反省。反省…ツキヨの飯!飯!…反省…反省…」
一人反省会をしつつシチューのいい香りが漂い始めた。
【「まぁ!なんということでしょう!」思い出の蝶番もそのまま生かし、風格を感じる木目の美しい玄関扉がお客様を優しく出迎える…目にも眩しい玄関が完成しました!】
「何か聞こえたような気がする」
「気のせいだろ。まぁ、扉はいいから。直ったし、元からボロイから新しくなったから助かったぜ。まったく、手のかかるやつだぜ。おら、飯にしようぜ」
使い古した木製のテーブルに食器が並び、パンやワインが出された。
…5人分。
「おい。ブラウン、4人じゃねぇのか?」
「違げぇよ。おーい!オランジ!飯だぞ!」
ブラウンが二階へ繋がる梯子に声をかけたら、ひょっこりと線の細い青年が現れた。
「俺の住み込みの弟子だ」
前掛けを外して降りてきて「あ、初めまして…オランジっていいます。親方の弟子でここの2階に居候しています」と恥ずかしそうに挨拶をして、イエロとツキヨを手伝うために台所へ入った。
「…ぉい…ブラウン…いつからいるんだ?」
「ずっといるぞ。ここに初めてきたときからずーっと…」
「し、知らなかった」
「まぁ、職人気質だが悪く言えば影が薄いのが難点だ」
「…おう」
コソコソと話していると大鍋を抱えたイエロと茹でた野菜が山盛りの皿をツキヨが運んできた。
「ほら、大の男がコソコソなにしてんだい?!飯だよ!飯!」
オランジはパンを取り分けてワインを注いで回った。
【5人もいたなんて知らなかったわ…】
ツキヨはイエロのシチューを堪能しつつ驚いていた。
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