6 / 88
1話 塔の魔術師と騎士の献身
6*(完)
しおりを挟む
剥き出しになった首筋に舌が這い、次に胸の突起を吸われれば、昨夜体を繋げた快感を思い出した後孔は柔らかくほぐれてフレン自身を飲み込んでいく。
だけど最初に押し入られる瞬間は少し苦しくて息を詰めてしまう。
「……ふ……ぅっ」
奥が鈍く痺れて、フレンのものが到達したことを知る。
「申し訳ありません……。今日は、少し、加減ができません」
苦し気に息を吐き出すフレン。その言葉通りに中を穿つ動きは、先程の口づけ同様に性急だった。粘り気を帯びた水音が響き、腹の中がじくじくと熱くて重たくなっていく。
「お、まえ、魔力が……っ」
奥を穿たれる度に、フレンの魔力が俺の中に染み込んでいく。それはこれまでもらっていた量よりもずっと多い。
「やはり口づけよりもこうして体を重ねた方が魔力をたくさん注げますね」
「あ…、ふ……」
頭の奥がとろりと溶けていく。これはいわゆる魔力酔いだ。
いつもよりずっと強い。魔力を注がれながらする性交は気持ち良いが、その更に上の状態があるなんて知らなかった。
俺の性器は硬く張りつめていて、フレンが動く度にその引き締まった腹筋で擦られる。滴った蜜が互いの腹を濡らしている。
フレンの魔力が全身に浸食していき、体が作り変えられていく感覚に陥る。ぐずぐずと視界が揺れた。
「も、いい……、いらな、ぁ」
ベッドからずり上がって逃げかけた腰が、フレンによって掴まれて引き戻される。その衝撃でパン、と音がするほど深々と埋まる。
強すぎる快感に体が強張り、首を横に振る。
「や、ぁ……」
逃がすまいと執着の色の濃く浮かぶ瞳で見下ろされる。こんな目をする男だったのか。知らなかった一面が頭の中に深く刻み込まれる。
「あ……あぁ」
胸の奥がキュウ、と苦しくなったと思ったら、体がビクビクと小刻みに震える。
フレンは奥に到達させたまま腰の動きを一旦止めて、俺を強く抱き締めた。
「エーティア様、怖がらないでください。これはあなたを傷つける力ではありません。俺の魔力で満たし、気持ちよくしてさしあげたい」
頭を撫でられ、額に唇を落とされ、はっ、はっ、と乱れていた呼吸が整っていく。子供扱いをされている気がしなくもないが、不思議と落ち着く。
「分かっ…た……、続け…ろ」
動きたくてたまらないだろうに、辛抱強く俺が落ち着くのを待つフレンはその言葉を聞いて動きを再開させた。
「んン…ッ、フ、レンぁ……」
傷つけられないと分かってはいるが、だからといって与えられる快感が減るわけもなく、漏れ出る声は抑えられない。
フレンは性器が抜ける寸前、ぎりぎりまで腰を引いた後で再びずぷぷ…と埋め込んできた。押し出されるように喉から吐息が零れる。気をやってしまいそうで、頭の下の枕を握りしめて耐える。
「んん……」
「魔力に酔うエーティア様は、可愛らしいのに煽情的で……俺の忍耐が試されているようで目のやり場に困ってしまいます」
目のやり場に困ると言いながら、ゆらゆら揺れる視界に映るフレンは視線を一切外さず食い入るようにこちらを見つめている。
その強い視線に体の奥が疼いて、そっと視線を外す。
視線を戻すことを促すように、性器にフレンの大きい手の平が這い、蜜を滴らせたそこをぬちぬちと扱きあげられる。
どこをどうすれば俺があっという間に果てるか知っているフレンは、弱い部分を責め立ててきた。
腹の中にある小さなしこりを擦られる。
「ふ、うぅ……そこ…」
「はい、ここを擦りながら奥を突かれるのがお好きでしたね」
こくこくと頷く。腰が自然と揺れてしまう。
快楽に流されこんな時ばかり素直に従う俺が面白いのかフレンがくすっと笑った。
片足の膝裏を押し上げられてその分だけ深く性器を食いこまされる。奥をゴン、と突かれたらもう駄目だった。腰が跳ねあがる。
「ん、ふ、あ、あぁああ……っ」
俺自身を握り込むフレンの手の平に白濁を散らした。それを追いかけるようにフレンもまた達した。じんわりと腹の中が温かく濡れていった。
***
魔力供給を終えた後は、俺の体を清めるために早々にベッドを抜け出していくフレンだったが今日は違った。「ここで寝ればいい」と引き止めたせいもあるだろう。告げた時には嬉しそうな顔をして抱き寄せられた。
人の気配が気になって眠れなくなるかとも心配したが、そんなことは全くなかった。ぐっすりだ。
そして目が覚めた時にもまだフレンは隣にいて、固く抱き締められていた。
すでに起きていたらしいフレンは、俺の目覚めに気付くと「おはようございます、エーティア様」と昨夜の乱れきったまぐわいが嘘のように爽やかに微笑んだ。
朝から眩しく感じる。
寝た時は裸だったはずなのだが、今はシャツをしっかり着せられている。フレンも同様だ。ふわぁ…と欠伸を漏らす。
「わざわざシャツを着せてから寝たのか。律儀な奴だな」
「俺も男ですから、朝起きて裸でしどけなく眠るエーティア様を見たら襲い掛かる自信しかありません」
「は、何だその自信は」
果たしてそれは自信満々に言うべきことなのか?
「うふふ、エーティアさまもフレンさまも仲良しですねぇ」
いつの間にか枕元にいたエギルがにこにこしていた。
黒くて丸い純粋な瞳に見つめられ、この使い魔はどこまで自分達の関係を知っているのだろうかと少々居心地の悪さを覚えて、体をもぞもぞさせる。
「エーティアさま、聞いてください。ぼく、体がいっぱい動かせるようになったです!」
そんな俺の心の内など露知らず、嬉しそうにぴょんぴょんとベッドの上を飛び跳ねるエギル。
「ああ、そうか。俺の体に魔力がたっぷり満ちたから、お前も自在に動けるようになったのか」
エギルは俺の魔力の影響を一番受けやすい存在ともいえる。
飛び跳ねるのを止めて、フレンの膝の上に乗ったエギルは真剣な眼差しで膝の主を見上げて口を開いた。
「これでぼく、働けるです。フレンさま、ぼくエーティアさまの分までいっぱい頑張るので、ぼくたちを捨てないでください」
いまだエギルは俺も含めた自分達がフレンに見捨てられてしまうと不安に思っているようだ。脚がぷるぷると震えている。絵本の影響力、ものすごい。
フレンはそんなエギルをやさしく抱き寄せた。
「エーティア様から話は伺った。エーティア様の体のためを思って歩くよう促してくれたそうだね。君はとても正しい。俺はエーティア様を大切に思うあまり少々過保護になりすぎていた部分があった。そのことにエギルのお陰で気付かされた。感謝している。これからはすぐに抱えるのではなく、お傍で見守るようにしよう」
長い耳をピクピクさせながら、エギルはフレンの話に耳を傾けている。
「だが、これだけは知っていて欲しい。俺はエーティア様とエギルがたとえ動けず何もできなかったとしても見限ることは決してない。それは二人のことを心より大切に思っているからだ」
「フレンさまぁ…ふわぁぁぁん」
安心したのかエギルの目から涙がぽろぽろ零れ落ちていく。
フレンの手は背を震わせるエギルを穏やかに撫でる。
「そしてそれを知った上でなお働きたいと望んでくれるのなら、これからは共にエーティア様をお支えしよう。君が手伝ってくれたらとても嬉しい」
「はい! ぼく、ぼく、フレンさまと一緒に働きたいです‼」
エギルは小さな前脚でごしごし涙を拭いながら何度も頷いた。
こうして世話人を増やすという課題はエギルが働くことによって解決した。
***
禁術の知識の入った魔術球はいまだ俺の中にある。
このまま魔力供給の治療を続けていけば俺自身の魔力を取り戻す可能性もあるので、現状維持だそうだ。
俺達の生活は変わらない部分もあるし、ほんの少しだけ変わった部分もある。
フレンの魔力が満ちて、体力的に問題なくなった俺はその主に抱き抱えられて運ばれるということはなくなった。
しかしその代わりのように抱き寄せられる頻度は増えた。その流れでどちらからともなく魔力供給関係なしの触れ合いも始まる。
魔力を注がれる時もあれば、注がれずに交わることもある。
結局のところ二、三日に一度程度の性交は変わらず続いている。
あの宴の日、倒れた俺をフレンが抱えて消え去ったことから、心配した勇者が後日塔を訪ねて来た。
しかし……。
「魔力供給は間に合っています。エーティア様はこれから先、俺だけをお傍に置いてくださるそうなので。そう約束しましたので」
フレンは「約束」これを強調させながら勇者を大いにけん制した。
番人のごとく塔の入り口に立つフレンは見えない雷を迸らせて、絶対にそこから動こうとせず、一歩たりとも勇者を塔の中に入れることはなかった。
ちなみにこれらの出来事を知っているのは、塔の中から魔術を使って覗き見ていたからだ。何となく気になって仕方がなかったのだ。
フレンのお陰で、俺はまたほんの少しだけ魔術を使えるようになった。
以前のようにとはいかないが、全く使えなかった時を考えれば満足している。
フレンが悋気を剥き出しにして勇者に対峙する姿は、少々面白かった。フレンは勇者に対しての敵意を隠さない。俺に絶対近づけたくないのだという。
あいつは案外嫉妬深いようだ。どれほど俺が大好きなのだか。
そのことを考えると何故だか胸がそわそわとする気持ちにもなった。不思議な感覚だ。
勇者は、あいつも大概しつこい男なので「また来るぞ!」と言い残して去って行った。勇者が去った後、フレンは外に盛大に塩を撒いていた。
何かの儀式だろうか?
そしてその後一日、珍しくピリピリとしていた。
「塔は入り口が一つしかないので、防衛に向いています」
一時は階段の多さから引っ越しも考えていたが、フレンが安心するようなので引っ越しは止めることにした。変わらず塔に住み続けている。
そして、フレンが大好きなエギルは毎日楽しそうに働いている。
一緒に食事を作るのが特にお気に入りらしく、キッチンからはふんふんと機嫌良さそうなエギルの鼻歌が聞こえてくることがよくある。
俺としても誰とも知れない奴が自分の住処に入ってくるというストレスを抱えずに済んでほっと一安心だ。
フレンとエギルならば住処をちょろちょろ動き回っていても全く気にならないのだ。
奴らの存在は言うなれば空気のようなものだ。ごく自然に傍にあるもの。
そしてそれがなくなれば、俺はあっという間に死んでしまうのだろう。
END
だけど最初に押し入られる瞬間は少し苦しくて息を詰めてしまう。
「……ふ……ぅっ」
奥が鈍く痺れて、フレンのものが到達したことを知る。
「申し訳ありません……。今日は、少し、加減ができません」
苦し気に息を吐き出すフレン。その言葉通りに中を穿つ動きは、先程の口づけ同様に性急だった。粘り気を帯びた水音が響き、腹の中がじくじくと熱くて重たくなっていく。
「お、まえ、魔力が……っ」
奥を穿たれる度に、フレンの魔力が俺の中に染み込んでいく。それはこれまでもらっていた量よりもずっと多い。
「やはり口づけよりもこうして体を重ねた方が魔力をたくさん注げますね」
「あ…、ふ……」
頭の奥がとろりと溶けていく。これはいわゆる魔力酔いだ。
いつもよりずっと強い。魔力を注がれながらする性交は気持ち良いが、その更に上の状態があるなんて知らなかった。
俺の性器は硬く張りつめていて、フレンが動く度にその引き締まった腹筋で擦られる。滴った蜜が互いの腹を濡らしている。
フレンの魔力が全身に浸食していき、体が作り変えられていく感覚に陥る。ぐずぐずと視界が揺れた。
「も、いい……、いらな、ぁ」
ベッドからずり上がって逃げかけた腰が、フレンによって掴まれて引き戻される。その衝撃でパン、と音がするほど深々と埋まる。
強すぎる快感に体が強張り、首を横に振る。
「や、ぁ……」
逃がすまいと執着の色の濃く浮かぶ瞳で見下ろされる。こんな目をする男だったのか。知らなかった一面が頭の中に深く刻み込まれる。
「あ……あぁ」
胸の奥がキュウ、と苦しくなったと思ったら、体がビクビクと小刻みに震える。
フレンは奥に到達させたまま腰の動きを一旦止めて、俺を強く抱き締めた。
「エーティア様、怖がらないでください。これはあなたを傷つける力ではありません。俺の魔力で満たし、気持ちよくしてさしあげたい」
頭を撫でられ、額に唇を落とされ、はっ、はっ、と乱れていた呼吸が整っていく。子供扱いをされている気がしなくもないが、不思議と落ち着く。
「分かっ…た……、続け…ろ」
動きたくてたまらないだろうに、辛抱強く俺が落ち着くのを待つフレンはその言葉を聞いて動きを再開させた。
「んン…ッ、フ、レンぁ……」
傷つけられないと分かってはいるが、だからといって与えられる快感が減るわけもなく、漏れ出る声は抑えられない。
フレンは性器が抜ける寸前、ぎりぎりまで腰を引いた後で再びずぷぷ…と埋め込んできた。押し出されるように喉から吐息が零れる。気をやってしまいそうで、頭の下の枕を握りしめて耐える。
「んん……」
「魔力に酔うエーティア様は、可愛らしいのに煽情的で……俺の忍耐が試されているようで目のやり場に困ってしまいます」
目のやり場に困ると言いながら、ゆらゆら揺れる視界に映るフレンは視線を一切外さず食い入るようにこちらを見つめている。
その強い視線に体の奥が疼いて、そっと視線を外す。
視線を戻すことを促すように、性器にフレンの大きい手の平が這い、蜜を滴らせたそこをぬちぬちと扱きあげられる。
どこをどうすれば俺があっという間に果てるか知っているフレンは、弱い部分を責め立ててきた。
腹の中にある小さなしこりを擦られる。
「ふ、うぅ……そこ…」
「はい、ここを擦りながら奥を突かれるのがお好きでしたね」
こくこくと頷く。腰が自然と揺れてしまう。
快楽に流されこんな時ばかり素直に従う俺が面白いのかフレンがくすっと笑った。
片足の膝裏を押し上げられてその分だけ深く性器を食いこまされる。奥をゴン、と突かれたらもう駄目だった。腰が跳ねあがる。
「ん、ふ、あ、あぁああ……っ」
俺自身を握り込むフレンの手の平に白濁を散らした。それを追いかけるようにフレンもまた達した。じんわりと腹の中が温かく濡れていった。
***
魔力供給を終えた後は、俺の体を清めるために早々にベッドを抜け出していくフレンだったが今日は違った。「ここで寝ればいい」と引き止めたせいもあるだろう。告げた時には嬉しそうな顔をして抱き寄せられた。
人の気配が気になって眠れなくなるかとも心配したが、そんなことは全くなかった。ぐっすりだ。
そして目が覚めた時にもまだフレンは隣にいて、固く抱き締められていた。
すでに起きていたらしいフレンは、俺の目覚めに気付くと「おはようございます、エーティア様」と昨夜の乱れきったまぐわいが嘘のように爽やかに微笑んだ。
朝から眩しく感じる。
寝た時は裸だったはずなのだが、今はシャツをしっかり着せられている。フレンも同様だ。ふわぁ…と欠伸を漏らす。
「わざわざシャツを着せてから寝たのか。律儀な奴だな」
「俺も男ですから、朝起きて裸でしどけなく眠るエーティア様を見たら襲い掛かる自信しかありません」
「は、何だその自信は」
果たしてそれは自信満々に言うべきことなのか?
「うふふ、エーティアさまもフレンさまも仲良しですねぇ」
いつの間にか枕元にいたエギルがにこにこしていた。
黒くて丸い純粋な瞳に見つめられ、この使い魔はどこまで自分達の関係を知っているのだろうかと少々居心地の悪さを覚えて、体をもぞもぞさせる。
「エーティアさま、聞いてください。ぼく、体がいっぱい動かせるようになったです!」
そんな俺の心の内など露知らず、嬉しそうにぴょんぴょんとベッドの上を飛び跳ねるエギル。
「ああ、そうか。俺の体に魔力がたっぷり満ちたから、お前も自在に動けるようになったのか」
エギルは俺の魔力の影響を一番受けやすい存在ともいえる。
飛び跳ねるのを止めて、フレンの膝の上に乗ったエギルは真剣な眼差しで膝の主を見上げて口を開いた。
「これでぼく、働けるです。フレンさま、ぼくエーティアさまの分までいっぱい頑張るので、ぼくたちを捨てないでください」
いまだエギルは俺も含めた自分達がフレンに見捨てられてしまうと不安に思っているようだ。脚がぷるぷると震えている。絵本の影響力、ものすごい。
フレンはそんなエギルをやさしく抱き寄せた。
「エーティア様から話は伺った。エーティア様の体のためを思って歩くよう促してくれたそうだね。君はとても正しい。俺はエーティア様を大切に思うあまり少々過保護になりすぎていた部分があった。そのことにエギルのお陰で気付かされた。感謝している。これからはすぐに抱えるのではなく、お傍で見守るようにしよう」
長い耳をピクピクさせながら、エギルはフレンの話に耳を傾けている。
「だが、これだけは知っていて欲しい。俺はエーティア様とエギルがたとえ動けず何もできなかったとしても見限ることは決してない。それは二人のことを心より大切に思っているからだ」
「フレンさまぁ…ふわぁぁぁん」
安心したのかエギルの目から涙がぽろぽろ零れ落ちていく。
フレンの手は背を震わせるエギルを穏やかに撫でる。
「そしてそれを知った上でなお働きたいと望んでくれるのなら、これからは共にエーティア様をお支えしよう。君が手伝ってくれたらとても嬉しい」
「はい! ぼく、ぼく、フレンさまと一緒に働きたいです‼」
エギルは小さな前脚でごしごし涙を拭いながら何度も頷いた。
こうして世話人を増やすという課題はエギルが働くことによって解決した。
***
禁術の知識の入った魔術球はいまだ俺の中にある。
このまま魔力供給の治療を続けていけば俺自身の魔力を取り戻す可能性もあるので、現状維持だそうだ。
俺達の生活は変わらない部分もあるし、ほんの少しだけ変わった部分もある。
フレンの魔力が満ちて、体力的に問題なくなった俺はその主に抱き抱えられて運ばれるということはなくなった。
しかしその代わりのように抱き寄せられる頻度は増えた。その流れでどちらからともなく魔力供給関係なしの触れ合いも始まる。
魔力を注がれる時もあれば、注がれずに交わることもある。
結局のところ二、三日に一度程度の性交は変わらず続いている。
あの宴の日、倒れた俺をフレンが抱えて消え去ったことから、心配した勇者が後日塔を訪ねて来た。
しかし……。
「魔力供給は間に合っています。エーティア様はこれから先、俺だけをお傍に置いてくださるそうなので。そう約束しましたので」
フレンは「約束」これを強調させながら勇者を大いにけん制した。
番人のごとく塔の入り口に立つフレンは見えない雷を迸らせて、絶対にそこから動こうとせず、一歩たりとも勇者を塔の中に入れることはなかった。
ちなみにこれらの出来事を知っているのは、塔の中から魔術を使って覗き見ていたからだ。何となく気になって仕方がなかったのだ。
フレンのお陰で、俺はまたほんの少しだけ魔術を使えるようになった。
以前のようにとはいかないが、全く使えなかった時を考えれば満足している。
フレンが悋気を剥き出しにして勇者に対峙する姿は、少々面白かった。フレンは勇者に対しての敵意を隠さない。俺に絶対近づけたくないのだという。
あいつは案外嫉妬深いようだ。どれほど俺が大好きなのだか。
そのことを考えると何故だか胸がそわそわとする気持ちにもなった。不思議な感覚だ。
勇者は、あいつも大概しつこい男なので「また来るぞ!」と言い残して去って行った。勇者が去った後、フレンは外に盛大に塩を撒いていた。
何かの儀式だろうか?
そしてその後一日、珍しくピリピリとしていた。
「塔は入り口が一つしかないので、防衛に向いています」
一時は階段の多さから引っ越しも考えていたが、フレンが安心するようなので引っ越しは止めることにした。変わらず塔に住み続けている。
そして、フレンが大好きなエギルは毎日楽しそうに働いている。
一緒に食事を作るのが特にお気に入りらしく、キッチンからはふんふんと機嫌良さそうなエギルの鼻歌が聞こえてくることがよくある。
俺としても誰とも知れない奴が自分の住処に入ってくるというストレスを抱えずに済んでほっと一安心だ。
フレンとエギルならば住処をちょろちょろ動き回っていても全く気にならないのだ。
奴らの存在は言うなれば空気のようなものだ。ごく自然に傍にあるもの。
そしてそれがなくなれば、俺はあっという間に死んでしまうのだろう。
END
154
あなたにおすすめの小説
塔の上のカミーユ~幽囚の王子は亜人の国で愛される~【本編完結】
蕾白
BL
国境近くにあるその白い石の塔には一人の美しい姫君が幽閉されている。
けれど、幽閉されていたのはある事情から王女として育てられたカミーユ王子だった。彼は父王の罪によって十三年間を塔の中で過ごしてきた。
そんな彼の前に一人の男、冒険者のアレクが現れる。
自分の世界を変えてくれるアレクにカミーユは心惹かれていくけれど、彼の不安定な立場を危うくする事態が近づいてきていた……というお話になります。
2024/4/22 完結しました。ありがとうございました。
【本編完結】最強魔導騎士は、騎士団長に頭を撫でて欲しい【番外編あり】
ゆらり
BL
帝国の侵略から国境を守る、レゲムアーク皇国第一魔導騎士団の駐屯地に派遣された、新人の魔導騎士ネウクレア。
着任当日に勃発した砲撃防衛戦で、彼は敵の砲撃部隊を単独で壊滅に追いやった。
凄まじい能力を持つ彼を部下として迎え入れた騎士団長セディウスは、研究機関育ちであるネウクレアの独特な言動に戸惑いながらも、全身鎧の下に隠された……どこか歪ではあるが、純粋無垢であどけない姿に触れたことで、彼に対して強い庇護欲を抱いてしまう。
撫でて、抱きしめて、甘やかしたい。
帝国との全面戦争が迫るなか、ネウクレアへの深い想いと、皇国の守護者たる騎士としての責務の間で、セディウスは葛藤する。
独身なのに父性強めな騎士団長×不憫な生い立ちで情緒薄めな甘えたがり魔導騎士+仲が良すぎる副官コンビ。
甘いだけじゃない、骨太文体でお送りする軍記物BL小説です。番外は日常エピソード中心。ややダーク・ファンタジー寄り。
※ぼかしなし、本当の意味で全年齢向け。
★お気に入りやいいね、エールをありがとうございます! お気に召しましたらぜひポチリとお願いします。凄く励みになります!
転生悪役弟、元恋人の冷然騎士に激重執着されています
柚吉猫
BL
生前の記憶は彼にとって悪夢のようだった。
酷い別れ方を引きずったまま転生した先は悪役令嬢がヒロインの乙女ゲームの世界だった。
性悪聖ヒロインの弟に生まれ変わって、過去の呪縛から逃れようと必死に生きてきた。
そんな彼の前に現れた竜王の化身である騎士団長。
離れたいのに、皆に愛されている騎士様は離してくれない。
姿形が違っても、魂でお互いは繋がっている。
冷然竜王騎士団長×過去の呪縛を背負う悪役弟
今度こそ、本当の恋をしよう。
売れ残りオメガの従僕なる日々
灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才)
※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!
ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。
無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。
【本編完結】転生先で断罪された僕は冷酷な騎士団長に囚われる
ゆうきぼし/優輝星
BL
断罪された直後に前世の記憶がよみがえった主人公が、世界を無双するお話。
・冤罪で断罪された元侯爵子息のルーン・ヴァルトゼーレは、処刑直前に、前世が日本のゲームプログラマーだった相沢唯人(あいざわゆいと)だったことを思い出す。ルーンは魔力を持たない「ノンコード」として家族や貴族社会から虐げられてきた。実は彼の魔力は覚醒前の「コードゼロ」で、世界を書き換えるほどの潜在能力を持つが、転生前の記憶が封印されていたため発現してなかったのだ。
・間一髪のところで魔力を発動させ騎士団長に救い出される。実は騎士団長は呪われた第三王子だった。ルーンは冤罪を晴らし、騎士団長の呪いを解くために奮闘することを決める。
・惹かれあう二人。互いの魔力の相性が良いことがわかり、抱き合う事で魔力が循環し活性化されることがわかるが……。
悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?
* ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。
悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう!
せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー?
ユィリと皆の動画をつくりました!
インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新!
Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新!
プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
過労死転生した公務員、魔力がないだけで辺境に追放されたので、忠犬騎士と知識チートでざまぁしながら領地経営はじめます
水凪しおん
BL
過労死した元公務員の俺が転生したのは、魔法と剣が存在する異世界の、どうしようもない貧乏貴族の三男だった。
家族からは能無しと蔑まれ、与えられたのは「ゴミ捨て場」と揶揄される荒れ果てた辺境の領地。これは、事実上の追放だ。
絶望的な状況の中、俺に付き従ったのは、無口で無骨だが、その瞳に確かな忠誠を宿す一人の護衛騎士だけだった。
「大丈夫だ。俺がいる」
彼の言葉を胸に、俺は決意する。公務員として培った知識と経験、そして持ち前のしぶとさで、この最悪な領地を最高の楽園に変えてみせると。
これは、不遇な貴族と忠実な騎士が織りなす、絶望の淵から始まる領地改革ファンタジー。そして、固い絆で結ばれた二人が、やがて王国を揺るがす運命に立ち向かう物語。
無能と罵った家族に、見て見ぬふりをした者たちに、最高の「ざまぁ」をお見舞いしてやろうじゃないか!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる