Piece of arcadia

上原久介

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chapter.5

外からの干渉

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******

「​──ル……! ヴィル!」
 聞き覚えのある声が降っている。凛とした、よく通る少女の声だった。彼女はずっとヴィルの名を呼んでいる。
 オレは一体どうしたのだろうか。ぼんやりと朧気にヴィルが覚えているのは、気持ち悪い魔物に襲われたということだった。
 それから一体どうしたんだっけ……? 思い出そうとしても、それ以上の眠気が思考に殴り込んできていて、眠い以外何も考えられない。
「どうしよう……全然起きないわ」
「叩き起こすか」
「そんならあたしに任せてぇな!」
 さらに声が増えた。さっきの少女とは別のもので、ひとつは若い男の声でどこか気怠げだ。もうひとつは明るい、溌剌とした少女のものだった。そのどちらも聞き覚えがある。
 三人の声すべてが、頭の中で顔と合致した時だ。つい最近感じた魔力の集中していく気配を感じた。そうだ。さっき彼女に起こされた時もこんな感じだった。一気に頭が覚醒に向かっていく。
「さっきもこれで起きたしな! ほんならいくで~! 『ねぼすけには、ばっしゃーんっと​──』」
「ストップ! 起きる! 起きてるから!!」
 がばり! と一気に身体を起こす。案の定イリスが魔術の水を頭から被せようとしていたようだ。少し離れたところにシェスカとサキが避難している。
「……ちっ。​──起きとるんやったら、はよ起きぃや~!!」
「今舌打ちした!? 舌打ちしたなイリス!! 絶対つまんねって思ったな!?」
「いややもぉ~! そんなわけあらへんよぉ~! ヴィルひどいわ~!」
 絶対に嘘だ。証拠にイリスの顔は少しにやけている。
「立てるか?」
 静かに、いつの間にかこちらへ来ていたサキ・スタイナーが、そう問いかけてきた。
「あ、うん。多分」
「痛むところは? 見たところ怪我はないようだが」
 それに大丈夫、と頷いて、一度膝を立ててからぐっと、足に力を込めて立ち上がった。しっかりと地面を踏みしめて、その感覚を確かめる。特に問題はなさそうだ。強いて言うなら寝起き独特の身体のだるさがあるだけで、これは動いているうちにどうにかなるだろう。
「​──っていうか、シェスカにサキ!? いつからいたんだ!?」
「うわ~、突っ込むの遅すぎやでヴィル」
「そんでここどこ!? なんかすっげーキモい!!」
 あらためて周りを見ると、岩肌のようだと思っていた壁や地面が、どくん、どくん、脈打っているのに気付いた。色も赤紫っぽいピンク色だったり、赤黒かったりと、大きな生き物か何かの体内にいるようだった。
「オレ、さっきまで森の中にいたと思うんだけどなぁ……」
「あれ全部うちらの夢みたいなもんらしいで。ほんで、ここもまだ夢ん中……なんやったっけ?」
「ああ。ここから抜けるには、夢の核を壊さなければならない」
「えー……えーっと……?」
 状況があまりよくわからない。とりあえず、ここは普通の場所とは違うらしい。もう少し細かく説明してもらおうとシェスカを見ると、疲れ切った顔でしゃがみ込んでいる。
「シェスカ? どうかした?」
「………………つかれた。ものすごく。」
 そう言う彼女の声は少しかすれていて、顔色も悪ければ、めちゃくちゃやつれているように見える。一体何が​──
「シェスカ姉ちゃん、まだ蟲ついとるで」
「ちょっっ!? やだやだやだイリス取って!!」
「あ~~、服の中入ってった!」
「待って無理無理!」
「っていうのは嘘やねんけどな」
「~~~~~っ! イリス! いい加減に……」
「取れたぞ」
「うわ、ガチでついてた」
​──​──これか。サキの手にぶらさがっているのは、気を失う前に見た変な魔物がかなり小さくなったものだった。手のひらよりも小さいくらいだろうか。サキはそれを素手でぐしゃっと握りつぶした。うーんグロテスク。
 しばらくサキと握手したくないな。と思いつつ、シェスカの予想通りのリアクションで思わず苦笑いがこみ上げる。で、イリスに散々面白がられたのだろう。確かにいい反応をするから、からかいたくなるのもわからないでもない。
「ひょっとしてずっとこんな感じだった?」
 しゃべる気力もないのか、ヴィルの問いかけに、シェスカは黙ってこくこくと首を縦に振るのだった。
「とにかく! ヴィルも目が覚めたことだし、早いとここんなとこ抜けましょ! ぐずぐずしてまたあの蟲に囲まれるのはごめんだわ! 核はもう近いんでしょう?」
 気を取り直して、といった具合にシェスカは無理矢理明るい声色でサキに尋ねた。尋ねられたサキは、それに頷く。
「ああ。もうすぐだ」
 サキの手のひらの上には、淡く光る球体が浮いていた。球は見覚えのあるピンク色のリボン状の帯を纏っており、その端がゆらゆらと方位磁石よろしく、ある方向を指し示している。彼はその方向を確認すると、ぐっとその拳を握り、行くぞ、と顎で合図した。
「それは?」彼の後ろについて行きつつ、そう尋ねた。
「ベルシエルの魔力を視覚化したものだ。おおよそだが、核の位置を教えてくれる」
「ベルシエルの?」
 ここにはいない少女の名前が出て、ヴィルは首を傾げた。「さっきまでいたのよ」と軽くシェスカがこれまでの経緯を教えてくれる。ここが悪魔によって作られた幻術の中だとか、どうやって自分たちと合流したのかとか。
 ヴィルの脳裏に、出会った時のベルシエルが浮かぶ。真っ白な、光を放つあの翼を。
 見間違いじゃなければ、あれは遺跡でたびたび見かけた翼人かも​──思わずそんな言葉が喉元まで上ってきた。唾ごとそれを飲み下す。あの姿は誰にも言わないと、ベルシエルと約束していた。翼が生える人間なんてそんなものはありはしないのだから、言えばきっとみんな彼女を気味悪がるだろう。彼女はきっとそれが嫌で、黙っているように言ったのだ。
「ヴィル?」
 不思議そうにこちらを見つめるシェスカをごまかすように、何か違う話題をと頭の中を探る。
 真っ先に浮かんだのは、気を失う前に見たシェスカによく似たあの少女についてだった。
「あのさ、気を失う前に……」と、ここまで言い出してから、ふと言葉に詰まる。どう、尋ねるべきなのだろうか。シェスカにそっくりな人を見た、といっても、正直あの時のことは朧気ではっきりと覚えていないのだ。思い出せるのは、前にも彼女が夢に出てきたことと、あの、ぞっとするほどに無機質な赤い瞳だけだった。
​──今はやめておこう。なんとなく、そのほうがいい気がした。
 ヴィルは一度咳払いをして、できるだけさっき口を滑らせたものからそう不自然でない話題を無理矢理引っ張り出す。
「そういえば、さっきの蟲ってなんだったんだ? オレが見たときはこーんなでっかかったのに、さっきのこんくらいだったじゃん?」
 身振りでその大きさを伝えると、シェスカは想像しただけで嫌になったのか眉根を思いっきり寄せた。どこか青ざめてさえいる。
 彼女は一度落ち着くように深く息をして、
「ここの主についている寄生虫のようなもの……らしいわ。大きさは……多分だけど、あなたとイリスがより夢の深いところにいたから、じゃないかしら」
「んんっと……?」
「さっきまでのあたしらは、敵の懐の深ぁいとこにおった、ってこと」
 シェスカに続いてイリスが口を開いた。
「そんで、あの金髪の姉ちゃんがうちらをちょっとだけ安全地帯側に連れてってくれた、っていうのでええんやったっけ?」
「ああ。その認識で間違いないだろう。ここから出るには、この夢を形作っている核を破壊するしかない」
「それはわかったけど、今はどうしてあの蟲がいないんだ? さっきまでわんさかいたんだろ?」
「恐らくだが、俺達から本体の意識が逸れているからだろうな」
「意識が逸れてる?」
 サキはもう一度手のひらを開き、ゆらゆら揺れるベルシエルの方位磁針を見つめて頷いた。
「外側からの干渉だな。ベルシエルかジェイクィズが本体を攻撃してるんだろう」


******

「もうやだ!! キモい!! なんで傷口から血じゃなくて蟲が出てくんのアレ!?」
 手に持っている斧を放り投げたい気分だ。ジェイクィズはうんざりしながら頭上から降ってくる蟲を引き剥がした。手のひらより少し大きいくらいと、その大きさは竜の図体からしたらかわいいものだ。が、問題はその量である。一度切りつけると、この蟲たちが大量に湧いてきて、止血するかのようにあっという間に傷口を埋めていくのだ。そして余った蟲は海竜の身体から剥がれ、ぼとぼとと船の上に、それこそ雨のように降ってきている。
 ベルシエルのほうを見ると、彼女は涼しい顔で船に巻き付いてくるリヴァイアサンを見据えていた。結界でも張っているのか、蟲は彼女に触れる前に塵と化している。ちらりと眠っている連中のほうを見ると、そこへ落ちてくる蟲たちもまた彼らに触れる前に消し飛んでいる。どうやら彼らの方にも結界を張っているようだ。
「セレーネちゃんその結界オレにも張ってよ!!」
「やだ」
 ベルシエルは短く答えると、軽く床板を蹴り上げた。たったそれだけなのに、彼女の身体はふわりと、高く、マストよりも更に高く、リヴァイアサンの上へと舞い上がる。
『​──砕いて《リュウール・コイン》』
 短い詠唱とともに、彼女の周囲に何本もの光の杭が現れた。彼女がリヴァイアサンを指差すと、それらは一斉に海竜に向かって飛びかかった。二本は頭に。三本は胴体に一定の間隔を開けて打ち込まれていく。その傷口からはやはり血ではなく、ナメクジだかロブスターだかムカデだかわからない蟲が溢れ出てきている。
痛みに悶絶しているのか、竜の身体はうねり、巻き付かれている船体が右へ左へと大きく揺れる。船員たちは振り落とされないようにしがみつくしかなかった。
「邪魔くせーな! この蟲ども!!」
 魔術の使えないジェイクィズにはこれらを一掃する手段がない。根気よく一匹一匹潰していくほかにないのだ。幸か不幸か、リヴァイアサンはジェイクィズや船員よりもベルシエルのほうに興味があるらしく、先程からずっと、彼女を丸飲みにしようと大きな口を開けて襲いかかっていた。
「蟲じゃなくてできもの!」
 杭に貫かれてなお飲み込まんとする口をかわしながら、ベルシエルが叫ぶ。疲れが出てきたのか、動きが少しだけ鈍くなってきている。――無理もない。彼女は先程からずっと上へ下へ、右へ左へ、絶えず竜の攻撃をかわし続けているのだ。それに加えて自身とヴィルたちに結界を張り、高威力の魔術を連発している。普通の人間ならばとっくにへばっていてもおかしくない。
「こんだけ揺れたら狙いようがねーっての!!」
 が、それとこれとは話が別だ。悪態を吐き、手近な胴体を斬りつける。やはりあの蟲が湧いてくるだけで、特に大きなダメージではなさそうだ。ほとんど詠唱を必要としないとはいえ、せめてベルシエルに魔術を使わせる程度の隙は作らなくては、こちらに勝機はないだろう。というか、彼女が倒れたらどうしようもできないというのが本音である。
「ちょっとはオレ様も構えよなッ!!」
 もう一度思い切り斧を振り下ろす。すると、今までとは少し違う手応えが。
「え、あれっ抜けな……!?」
 がっちりと。それはもうがっちりと、鱗と鱗の隙間に刃が挟まれている。やばい、と思う間もなく、リヴァイアサンはその巨体を大きくくねらせ……。
「うおおおおおああああああ!?」
「ジェイクィズ殿​──​──​──!!」
 そのまま海の中へ潜っては出てきて、潜ってはまた出てきて。身体がばらばらになるのではないかと錯覚しそうなほどの勢いで海水を叩きつけられる。ジェイクィズはなんとか竜の体にしがみついて、振り落とされないようにするので精一杯だった。
――くっそ、構えっつっても限度があんだろうが! そんな悪態も海水と一緒に飲み込んでしまう。かと言って、このままされるがままなのは、彼の性分的にひどく癪だった。
「セレーネ殿! ジェイクィズ殿が……!」
「……っ、わかってる!」
 船員のひとりがベルシエルに縋るような瞳を向ける。彼女もまた、この状況をどうしようかと、普段あまり使わない頭で考えていた。ジェイクィズは丈夫だ。このくらいでは死にはしないだろうが、下手に攻撃して振り落とされたりしたら、いくらジェイクィズでも、この荒れた海の中を自由に泳ぐことはできないだろう。もし、彼が無事でなかったら、サキ・スタイナーはきっと困るに違いない。それだけは、ベルシエルにとって一番避けねばならないことだ。
 さて、どう手を打つべきか……。考えている間にも船体は揺れ、他の船員たちがよろめき、海へ投げ出されそうになる。ベルシエルはそれを甲板へ投げ戻し、再び思考を巡らせるも、今度はリヴァイアサン自身がこちらへ攻撃を仕掛けてくる。
「何度も何度も​──​──​──ッ!?」
 ずるり。
 船縁に着地しようとした足が、海水で滑る。バランスを崩したベルシエルを、そのままリヴァイアサンがその大きな口で飲み込もうと​──​──
「させるかってーのッ!!」
 その声と共に、ジェイクィズはリヴァイアサンの頭の上に刃こぼれした斧を振り下ろした。鱗を伝い、あの激しい動きを凌ぎきって、ようやく竜の頭までやってきたのだ。
 ジェイクィズの攻撃に竜がひるんだ隙に、ベルシエルはその身体を蹴り出して船へと舞い戻る。彼女が体勢を立て直したのを一瞥して、ジェイクィズは頭の斧を引き抜いた。振り落とされないように、慎重に。今度は耳のヒレを伝い、馬鹿でかい口のほうへ向かう。
「オラ、餌のオレ様が来てやったぞ口開けな!!」
 左手で口端に掴まり、ぱっくりと開いたその前へとぶら下がった。「ジェイクィズ殿!?」と困惑する船員の声を聞き流しつつ、ジェイクィズは右腕で渾身の力を込めて、上顎の裏に斧を叩き込む。表の硬い鱗とは違い、すんなり刃が通る感触が手に伝わってきた。血液代わりの蟲も、こちら側では少ししか湧いてこない。
 その痛みはこれまでのもとは比べものにならなかったのか、竜は大きく身体を仰け反らせる。
 確かな手応えに、ジェイクィズは少しだけ安堵の笑みを浮かべた。左手を右手に添えて、さらに全ての体重で押し込む。ずるずると重力に従い、喉元に向けて一筋の線を引いていく。
「ベルちゃん!! 今だブチ込めえええええええええッ!!」
 ジェイクィズが叫ぶ。ベルシエルはわかっている、と返さんばかりに小さく頷いて、ありったけの魔力を練り込んでいた。彼の作った隙はわずかだが、ベルシエルにとっては充分である。その周囲のものを焼き切ってしまいそうなほどに膨大な力の塊は眩しい光の束となり、編み込まれ、幾重にも重なり、彼女の体躯をも越える槍を形作った。

『《閃光ノ大槍ランス・ドゥ・ラ・エクレール》!!』

 その言霊と共に放たれた槍は、光の粒子が尾を引き、美しい軌跡を描き、むき出しの腫瘍ごとリヴァイアサンを貫いた。
 粒子は細かい刃となり、周囲の蟲ごと一掃する。
 竜に刺さった槍は、ほどけるようにゆっくりとその光を収め、支えを失ったリヴァイアサンは、甲板の床板を抉るように倒れたのだった。
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