上 下
6 / 12

旅立ちの時

しおりを挟む
 白雪様に、行って来ますと冒険に出て3日後、ぼくは初めて女官たちの住む所を見た。

 こんな遠くから通っていることに、物凄く驚いた。女官たちのスピードはめちゃくちゃ速いということは分かっていたけれど、ちょっと悔しい。

 ぼくも、白雪様のご加護があるので、訓練すれば出来るようになるかな?

 女官たちの家は、平屋になっていて、一見して真っ直ぐに思える。でも、②の円だから、ここが如何に広いかを実感する。

 その先には、今までにもあった果物と、ちらほらと違う物が目に入る。見渡す限り果物、果物、果物。

 何かあった時の避難所がこの果樹園の先にある。それが、③の円。

 ぼくは、そこに向かってできるだけ早く駆けていく。そして疲れたら休みがてら、実った果実の中から好きなのを選んで食べる。

 その中で、ぼくは初めて見る、桃に似た小さい果実を手にする・・・・・・。

 どかーん!!

 突然、後ろから後頭部を蹴られる。

 「何考えている! 死にたいのかあほが!! お前どこの部署か?」

 ぼくを蹴飛ばしたのは、二つ尻尾の黒い毛並みの狐だった。普通は、茶色系が多いので珍しい。 

 それはそうとして、ぼくにはなんのことか分からなかった。ここにある果実は、どれも食べれるものだと聞いている。なのに、死ぬとはどういうことだろうか?

 「ここにある果物は、全部食べれるっ聞いたのですが違うのですか?」

 「ああ。全部食べれるが。果実に依ってはそのまま食べると毒になったりするものがあるぞ」

 そうなんだ、知らなかった。ぼくは、改めてさっき自分が持っていた果実の木を見た。

 「ああ。その木の果実は、梅と言って、完全に熟せば食べれないこともないが、先ほどのように青いと毒があって、子供が食べると特に呼吸困難や麻痺で死ぬこともある」

 「えっ?! そうなんですか?!」

 「そう。梅は、さとうや塩に漬けて加工するのが普通」

 「そうなんだ・・・、知らなかった。良かったら、他のも教えて貰えますか?」

 「ふう。しょうがないので、教えてあげよう」

 「ありがとう、ぼくは真。よろしく」

 「ああ、俺は凪(なぎ)」

 こうしてぼくは、初めて友達が出来た。

 凪は、本当にいろいろ知っていて、教えて貰ってばかりいた。

 ダメダメなぼくに、呆れた凪が着いて来てくれることになった。

 二人? の冒険は、一人だった時よりと~ても楽しい。
しおりを挟む

処理中です...