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第2章 幽閉王子と監禁令嬢
9 最終回 プロポーズ
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王太子主催の舞踏会会場。
大広間に集まった貴族たちを前にして、王太子リオネルが、カイエルとセレスティアの婚姻について、発表していた。
ぽかんとして、ただリオネルを見詰める、カイエルとセレスティア。
リオネルは口の端を持ち上げた。
「さあ、ここで問う。二人は婚姻を結ぶ気持ちがあるのかな」
背後で宮廷音楽家による演奏が始まった。
先に正気を取り戻したのはカイエルだった。
「セレスティア。もしも、君が俺の妻になってくれるなら、この手を取って欲しい。ファーストダンスを一緒に踊ろう」
そう言って差し出された手に、セレスティアは目を見張った。
「本気?」
「もちろん」
「言うことは、それだけ?」
「セレスティア、愛してる」
セレスティアがいたずらっぽくほほ笑んだ。
「あなたとファーストダンスを踊りたいから、結婚してあげるわ」
誰もが息をのむ中、セレスティアは、差し出されたその手を取った。
貴族たちからの大きな拍手が沸き起こった。
「王家に嫁ぐということは、セレスティア様の身には、何もなかったということでいいのね」
「そういうことになるな。王家に嫁ぐ条件は“純潔の乙女”だからね。そこは厳格に調査される」
「まあ、それはよい知らせね。下品な噂をしていた皆さん、下種の勘繰りだったようね」
貴族たちが笑い合う。先ほど噂をしていた令嬢たちは小さくなり、そのうちこそこそと広間から出ていった。
カイエルとセレスティアが中央に向けて一歩踏み出した時、入り口の大扉が再び開かれた。
「エリストリア王国王女殿下、アラベル様、ご入場!」
そこには、赤毛の豊かな髪にブルーの瞳、大輪のバラのような王女が立っていた。
「げっ!」どこからともなく声がした。王女は目ざとく声のした方を見た。
「アデルお兄様! 探したわよ! 出ていらして! こんなところにいたのね!」
「アラベル、なんで君が? どうして僕の居場所がわかったの?」
人々の間を縫って、おずおずと姿を見せるアデル王子。
アラベル王女がツンッと澄まして言った。
「叔父様から連絡があったのよ。アデルお兄様が、今夜この舞踏会に出席するって。早く国に帰って来てくれなきゃ、いつまでたっても、私は婚約者も作れないわ!」
ぽかんとして、アラベル王女を見詰める王太子リオネル。
カイエルは兄のそんな無防備な顔を見るのは、初めてだった。
それに気づいて、カイエルは王女に問うた。
「失礼、アラベル王女。私は第二王子のカイエルです。あなたの従妹セレスティア嬢の婚約者でもあります」
「まあ、セレスティアったら、婚約が決まったのね! 素敵だわ。おめでとう」
「それで、アラベル王女には、まだ婚約者はいないのですね?」
「そうなんです。アデルお兄様が国に帰らないなら、私が王位を継ぐことになるんです。お兄様のせいで私の立場が決まらないので、私は誰とも婚約ができないんです」
2人のやり取りを傍で聞いていたリオネル王太子が歩み出た。
「私はこの国の王太子、リオネルと申します。アデル王子は、私が馬車に括り付けてでも帰国させます。アラベル王女、ファーストダンスを私と踊っていただけますか?」
その瞬間、ざわめいていた広間が、一気に静まり返った。
「え? 私でよければ」
「光栄です。さあ、カイエル。二組一緒にファーストダンスだ」
リオネルの差し出した手をアラベルは取り、2人はゆっくり歩き出した。
後ろから、カイエルとセレスティアが続いていく。
止まっていた演奏が再開した。
「うーん。どうやらアラベルの嫁ぎ先が決まったようだな。僕もそろそろ国に帰るか。本音を言えば、もう少し遊んでいたいんだけど、そういうわけにもいかないか」
彼の視線の中で、2組のカップルがくるくると踊っている。
会場の空気がお祝いモード一色に変わった。
アデルは気づいていないが、令嬢たちの狩りの対象はすでにアデルに移っていた。若く美しい、未婚の次期国王がここにいるのだ。それはまるで、皿に載せて差し出された、豪華なごちそうのようだった。
そうして、美しい舞踏会の幕が開いた。
end
大広間に集まった貴族たちを前にして、王太子リオネルが、カイエルとセレスティアの婚姻について、発表していた。
ぽかんとして、ただリオネルを見詰める、カイエルとセレスティア。
リオネルは口の端を持ち上げた。
「さあ、ここで問う。二人は婚姻を結ぶ気持ちがあるのかな」
背後で宮廷音楽家による演奏が始まった。
先に正気を取り戻したのはカイエルだった。
「セレスティア。もしも、君が俺の妻になってくれるなら、この手を取って欲しい。ファーストダンスを一緒に踊ろう」
そう言って差し出された手に、セレスティアは目を見張った。
「本気?」
「もちろん」
「言うことは、それだけ?」
「セレスティア、愛してる」
セレスティアがいたずらっぽくほほ笑んだ。
「あなたとファーストダンスを踊りたいから、結婚してあげるわ」
誰もが息をのむ中、セレスティアは、差し出されたその手を取った。
貴族たちからの大きな拍手が沸き起こった。
「王家に嫁ぐということは、セレスティア様の身には、何もなかったということでいいのね」
「そういうことになるな。王家に嫁ぐ条件は“純潔の乙女”だからね。そこは厳格に調査される」
「まあ、それはよい知らせね。下品な噂をしていた皆さん、下種の勘繰りだったようね」
貴族たちが笑い合う。先ほど噂をしていた令嬢たちは小さくなり、そのうちこそこそと広間から出ていった。
カイエルとセレスティアが中央に向けて一歩踏み出した時、入り口の大扉が再び開かれた。
「エリストリア王国王女殿下、アラベル様、ご入場!」
そこには、赤毛の豊かな髪にブルーの瞳、大輪のバラのような王女が立っていた。
「げっ!」どこからともなく声がした。王女は目ざとく声のした方を見た。
「アデルお兄様! 探したわよ! 出ていらして! こんなところにいたのね!」
「アラベル、なんで君が? どうして僕の居場所がわかったの?」
人々の間を縫って、おずおずと姿を見せるアデル王子。
アラベル王女がツンッと澄まして言った。
「叔父様から連絡があったのよ。アデルお兄様が、今夜この舞踏会に出席するって。早く国に帰って来てくれなきゃ、いつまでたっても、私は婚約者も作れないわ!」
ぽかんとして、アラベル王女を見詰める王太子リオネル。
カイエルは兄のそんな無防備な顔を見るのは、初めてだった。
それに気づいて、カイエルは王女に問うた。
「失礼、アラベル王女。私は第二王子のカイエルです。あなたの従妹セレスティア嬢の婚約者でもあります」
「まあ、セレスティアったら、婚約が決まったのね! 素敵だわ。おめでとう」
「それで、アラベル王女には、まだ婚約者はいないのですね?」
「そうなんです。アデルお兄様が国に帰らないなら、私が王位を継ぐことになるんです。お兄様のせいで私の立場が決まらないので、私は誰とも婚約ができないんです」
2人のやり取りを傍で聞いていたリオネル王太子が歩み出た。
「私はこの国の王太子、リオネルと申します。アデル王子は、私が馬車に括り付けてでも帰国させます。アラベル王女、ファーストダンスを私と踊っていただけますか?」
その瞬間、ざわめいていた広間が、一気に静まり返った。
「え? 私でよければ」
「光栄です。さあ、カイエル。二組一緒にファーストダンスだ」
リオネルの差し出した手をアラベルは取り、2人はゆっくり歩き出した。
後ろから、カイエルとセレスティアが続いていく。
止まっていた演奏が再開した。
「うーん。どうやらアラベルの嫁ぎ先が決まったようだな。僕もそろそろ国に帰るか。本音を言えば、もう少し遊んでいたいんだけど、そういうわけにもいかないか」
彼の視線の中で、2組のカップルがくるくると踊っている。
会場の空気がお祝いモード一色に変わった。
アデルは気づいていないが、令嬢たちの狩りの対象はすでにアデルに移っていた。若く美しい、未婚の次期国王がここにいるのだ。それはまるで、皿に載せて差し出された、豪華なごちそうのようだった。
そうして、美しい舞踏会の幕が開いた。
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