二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩

文字の大きさ
19 / 19

19

しおりを挟む
「大丈夫ですか?」

私はウィリアムの顔を覗き込んだ。

彼と一緒にソファーで寝てしまい、起きたら彼の顔が間近にありドキッとしたが彼は気にした様子もなく、いつも通りに見えた。

まぁユウリがいるということはお互い結婚した時にやる事はやっているのだろう。

その時の記憶が無いのでプルメリアにとってはあまりいい思い出ではないのかもしれない。

ユウリの為に夫婦仲良くしているが、話の中では夫婦仲が改善する事は無かったようなので彼も私にはなんの感情もないのだろう。

気にするのはやめてユウリが起きた事もあり、世話を焼いているとウィリアムが何か呟いた。

よく聞こえなかったので聞き返すが彼はなんでもないと首を振っている。

私は気にしないで、ユウリに集中した。

「おかーさま、なんでいっしょにねてなかったの?」

ユウリはぷっくらとした頬を少し膨らませて不機嫌そうな顔をした。

そして自分が言ったことにハッとして顔を青ざめる。

「ご、ごめんなさい。もうわがままいいません」

思わず出てしまった本音に不安を露にした。

「ユウリごめんなさい!  お母さんがいけないのお父様がソファーで寝てしまってお世話してたの、でもこれからはお父様を叩き起こしてもユウリと寝るわ!  だからわがままだなんて謝らないで、もっと本音を言っていいのよ」

ユウリをギュッと抱きしめるとユウリも涙ぐみながら抱きかえしてくれた。

「じゃあきょうはいっしょにごはんたべてねてください」

チラッと上目遣いにお願いされて私はうんうんと何度もうなずいてしまった。

「それにお父様も混ぜてくれないか?」

すっかり存在を忘れていたウィリアムが抱き合う私たちを見て真剣な表情を向ける。

「おとーさまも?」

ユウリが恐る恐るウィリアムに確かめる。

私はウィリアムを見つめてにっこりと笑いかけた。

ウィリアムは私の笑顔に釣られるように笑みを浮かべた。

「ユウリ、今朝はお母様を借りてすまなかった。だからこれからはお母様と一緒に寝られるように私も混ぜてくれ」

ユウリはジッとウィリアムを見つめている。

ウィリアムはユウリから視線を逸らさずに返事を待った。
するとユウリは少し恥ずかしそうにしながらコクリとうなずいた。

ユウリの反応に私とウィリアムは同時にホッと肩の力が抜けた。

その日からユウリとウィリアムの関係も少しずつ良くなっていったようだ。

家族3人で料理を食べているとウィリアムがナイフとフォークを置いて話しかけてきた。

「その、二人に相談なんだが今度領地の別宅に一緒に行かないか?」

「別宅?」

私はプルメリアの記憶をたどって見た。確かに領地内にいくつか別宅を持っているようだがどこに行くのだろう。

「海岸沿いにある町の視察に行く予定で、少し時間も取れそうだから町を案内してもいい」

いつもの無表情のウィリアムが淡々と説明する。

最近少しわかってきたがウィリアムは緊張したり表情が出やすくなると無表情になるようだ。

「素敵、海岸沿いってことは海が見えるのかしら?」

「ああ、別宅からみえるよ」

私が笑顔で反応すると少しホッとしたようで顔が緩んだ。

「ユウリ、海だって」

黙るユウリに話をふると目を輝かせながら頬を紅潮させていた。

「ユウリ、どうだ?」

ウィリアムからもう一度聞いてみた。

「い、行きたい。行きたいです!」

いつもより少し大きな声で答えてしまいあっと口を抑える。

「そうか、では用意もあるから3日後に出発しよう」

ウィリアムの提案にユウリはソワソワと落ち着かない様子だった。

食事を終えてユウリと二人部屋に戻ると先程の話を聞いてみた。

「ユウリは海が好きなの?」

あんなに、喜んでくれたのはいい意味で予想外だった。

ユウリは私にちょっと待ってと席をたつと本を持ってきた。

それは私がよく読み聞かせてあげていた本だ。

「こ、これにうみのはなしがでてきてどんなとこかきになってたの」

目をキラキラさせながら教えてくれる。

「ユウリは海がはじめてなのね」

そう言うと「うん!」と笑顔で答える。

きっとユウリは今までこの屋敷からでたこともなかったのかもしれない。

「これからは私達と色んなところに一緒に行きましょうね」

ユウリの笑顔に今までの事を思い出し申し訳なくなると同時にここからたくさんの経験をさせてあげると誓った。
しおりを挟む
感想 3

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(3件)

すとりーむ
2026.01.03 すとりーむ

おすすめにあったので見てみたら設定とか凄く好みで続きが気になりました!
長編とあるのでこれからが楽しみです!

解除
くーちゃん
2026.01.01 くーちゃん

更新ありがとうございます。
続きが楽しみです😊

解除
ひつじ
2025.12.31 ひつじ

本当にくそ元旦那でしたね❗地獄に落ちろです
お母さん 優里亜ちゃんに会わさせてあげたいですね(*´-`)

解除

あなたにおすすめの小説

エミリーと精霊

朝山みどり
恋愛
誰もが精霊と契約する国。エミリーの八歳の誕生日にやって来たのは、おもちゃのようなトカゲだった。 名門侯爵家の娘としてありえない恥。家族はエミリーをそう扱った。だからエミリーは居場所を得るために頑張った。役に立とうとした。

最近彼氏の様子がおかしい!私を溺愛し大切にしてくれる幼馴染の彼氏が急に冷たくなった衝撃の理由。

佐藤 美奈
恋愛
ソフィア・フランチェスカ男爵令嬢はロナウド・オスバッカス子爵令息に結婚を申し込まれた。 幼馴染で恋人の二人は学園を卒業したら夫婦になる永遠の愛を誓う。超名門校のフォージャー学園に入学し恋愛と楽しい学園生活を送っていたが、学年が上がると愛する彼女の様子がおかしい事に気がつきました。 一緒に下校している時ロナウドにはソフィアが不安そうな顔をしているように見えて、心配そうな視線を向けて話しかけた。 ソフィアは彼を心配させないように無理に笑顔を作って、何でもないと答えますが本当は学園の経営者である理事長の娘アイリーン・クロフォード公爵令嬢に精神的に追い詰められていた。

彼は亡国の令嬢を愛せない

黒猫子猫
恋愛
セシリアの祖国が滅んだ。もはや妻としておく価値もないと、夫から離縁を言い渡されたセシリアは、五年ぶりに祖国の地を踏もうとしている。その先に待つのは、敵国による処刑だ。夫に愛されることも、子を産むことも、祖国で生きることもできなかったセシリアの願いはたった一つ。長年傍に仕えてくれていた人々を守る事だ。その願いは、一人の男の手によって叶えられた。 ただ、男が見返りに求めてきたものは、セシリアの想像をはるかに超えるものだった。 ※同一世界観の関連作がありますが、これのみで読めます。本シリーズ初の長編作品です。 ※ヒーローはスパダリ時々ポンコツです。口も悪いです。

婚約者のいる運命の番はやめた方が良いですよね?!

水鈴みき(みすずみき)
恋愛
結婚に恋焦がれる凡庸な伯爵令嬢のメアリーは、古来より伝わる『運命の番』に出会ってしまった!けれど彼にはすでに婚約者がいて、メアリーとは到底釣り合わない高貴な身の上の人だった。『運命の番』なんてすでに御伽噺にしか存在しない世界線。抗えない魅力を感じつつも、すっぱりきっぱり諦めた方が良いですよね!? ※他サイトにも投稿しています※タグ追加あり

もう一度あなたと?

キムラましゅろう
恋愛
アデリオール王国魔法省で魔法書士として 働くわたしに、ある日王命が下った。 かつて魅了に囚われ、婚約破棄を言い渡してきた相手、 ワルター=ブライスと再び婚約を結ぶようにと。 「え?もう一度あなたと?」 国王は王太子に巻き込まれる形で魅了に掛けられた者達への 救済措置のつもりだろうけど、はっきり言って迷惑だ。 だって魅了に掛けられなくても、 あの人はわたしになんて興味はなかったもの。 しかもわたしは聞いてしまった。 とりあえずは王命に従って、頃合いを見て再び婚約解消をすればいいと、彼が仲間と話している所を……。 OK、そう言う事ならこちらにも考えがある。 どうせ再びフラれるとわかっているなら、この状況、利用させてもらいましょう。 完全ご都合主義、ノーリアリティ展開で進行します。 生暖かい目で見ていただけると幸いです。 小説家になろうさんの方でも投稿しています。

愛を騙るな

篠月珪霞
恋愛
「王妃よ、そなた一体何が不満だというのだ」 「………」 「贅を尽くした食事、ドレス、宝石、アクセサリー、部屋の調度も最高品質のもの。王妃という地位も用意した。およそ世の女性が望むものすべてを手に入れているというのに、何が不満だというのだ!」 王妃は表情を変えない。何を言っても宥めてもすかしても脅しても変わらない王妃に、苛立った王は声を荒げる。 「何とか言わぬか! 不敬だぞ!」 「……でしたら、牢に入れるなり、処罰するなりお好きに」 「い、いや、それはできぬ」 「何故? 陛下の望むままなさればよろしい」 「余は、そなたを愛しているのだ。愛するものにそのような仕打ち、到底考えられぬ」 途端、王妃の嘲る笑い声が響く。 「畜生にも劣る陛下が、愛を騙るなどおこがましいですわね」

とある伯爵の憂鬱

如月圭
恋愛
マリアはスチュワート伯爵家の一人娘で、今年、十八才の王立高等学校三年生である。マリアの婚約者は、近衛騎士団の副団長のジル=コーナー伯爵で金髪碧眼の美丈夫で二十五才の大人だった。そんなジルは、国王の第二王女のアイリーン王女殿下に気に入られて、王女の護衛騎士の任務をしてた。そのせいで、婚約者のマリアにそのしわ寄せが来て……。

【本編完結】召喚? 誘拐の間違いでは?

篠月珪霞
恋愛
「…え」 まず聞こえたのは、成功だー!!といういくつもの歓声。それ以降は幾人もの声が混じりあい、何を言っているのか分からなかった。 私、白井瑠璃は、いつものように、出勤するために自宅のドアを開けただけだった。 いつものように、起床し、準備して、仕事が終われば帰宅し、そうした普通の、変わりない毎日を過ごすはずだった。 過去形になったこの日を、きっと忘れることはない。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。