【完結】二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました

三園 七詩

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「うわぁ!」

ユウリは馬車の窓から見える景色に釘付けになっている。

でもその気持ちもわかる!

海辺の街は白と青で統一されていて観光名所もあるのか結構賑わっている。

私たちが滞在する屋敷は街から少し離れた場所にあるので街の様子がこのようになっていたとは全然知らなかった。

「あっユウリあのお店みて、魚のマークがあるわ」

「え? どこ!」

最近魚の図鑑をよく読んでいるユウリは興奮して私が指さす方に必死に顔を向けた。

「後でその店に行ってみよう」

ウィリアムもユウリの様子にお店の場所をアルバートに調べておくように指示している。

「やった!」

ユウリは珍しく年頃の子供のようにはしゃいでいた。
まだ幼いのに頭のいい子はいつも自分の立場をわかって抑えていたのだと思うと少し可哀想になる。たまにこうして自分を出させてあげようと私は誓った。

街の領主の屋敷に付き私達も軽く挨拶をする事になった。

「ウィリアム様!  ようこそおいでくださいました!」

屋敷の前では既に領主のクルドが従者を従え、待っていた。

「ああ」

ウィリアムはいつもの冷めた表情で対応している。

こう見ると私達といる時はだいぶ表情が柔らかいのだと気がついた。

クルドは後ろにいた私達に気が付き一瞬嫌そうな顔をするがすぐに愛想笑いをして挨拶をしてきた。

「これはこれは今回は奥様とお坊ちゃまも一緒でしたか、それはそうと娘もウィリアム様に会えるのを楽しみにしておりました!  おいでエルム」

そう言うと後ろに控えていた女性が前に出てウィリアムに挨拶をする。

「ウィリアム様、お会いできて嬉しいです。今日は私が父と一緒に対応致しますのでよろしくお願いいたします」

エルムは大きな胸を見せびらかすような服に身を包み軽く会釈をすると、その胸がさらに見えそうになり周りの男達が「おお」とざわめいた。

いつの時代でも男は胸が好きなんだと表情は変えずに心の中で鼻で笑う。

ウィリアムも見とれているかと顔を見るがいつもの冷めた顔でエルムのほうを見もしないでクルドに話しかけていた。

「話を進めようこの後予定があるのでな」

「あっ、はい……」

クルドとエルムは肩透かしを食らったようで少し唖然としている。

ウィリアムはそんな二人に構わずに私達の方に来るとその表情を変えた。
皆に背を向けているのでクルド達にはウィリアムの表情が見えていないだろう。

「あまり遠くに行かないでくれ、護衛はつけるが心配だ。話が終わったら一緒に街を回ろう」

「はい」

私が笑顔でうなずくとウィリアムは名残惜しそうに私の手を取った。

「行ってくる」

そして手の甲に唇を当てて上目遣いに私の顔を見つめてくる。
その色っぽい姿にびっくりして固まってしまった。

「ユウリもいい子にしているんだぞ」

ウィリアムはその手を離すと今度はユウリの頭を撫でてクルド達の方に行く、その時にはいつもの顔に戻っていた。

「ふふ」

すると後ろで護衛の兵士が笑っている。
彼は私達が外に行く時には必ず着いてくる慣れ親しんだ兵士達だった。

「ウィリアム様、本当に奥様が大切なんですね」

「え?」

私は信じられないと兵士達を見つめた。
だって彼と私、プルメリアは絶対に仲良くならなかったと優里亜が言っていたからだ。

「そんな訳ないでしょ、ユウリがいたからよ」

ユウリの為にもそうした方がいいとウィリアムもわかっているだろう。

「どうしますか?  あの様子だと話も早々に切り上げて帰ってきそうですからこの近くを少し見てみますか?」

そう提案されユウリを見るとうんうんとうなずいている。

ユウリも楽しみたいがそれはウィリアムと一緒に行きたいのだろう。

「じゃあここから見える範囲で少し散策しましょ」

私がユウリの手を取り歩き出そうとするとクルドの屋敷からエルムと数人のメイド達が出てきた。

「なんで私が追い出されないといけないの!」

何やら大きな声を出して揉めている。
どうもエルムが怒っているのをメイド達がなだめているようだ。

関わるのも嫌だと気づかない振りをして歩き出そうとすると向こうが気がついてしまい近づいてきた。

「プルメリア……様ですよね。私ウィリアム様に!  案内をするように頼まれましたのでご同行致しますわ」

「あ、そうですか。ですがウィリアムと後からゆっくり回るので案内は大丈夫ですよ」

何やら高圧的な態度とやたらウィリアムの名前を強調してくる物言いに若干引いてしまう。

一応公爵家の奥様である私の方が地位として高いはずだが同等の態度で接してきている。

まぁそんなに気にしなくてもいいかと無視する。

「ですがウィリアム様に私が頼まれましたので約束を破るわけにはいきませんから」

そう言うとこちらですと勝手に歩き出した。

私はユウリと目を合わせて仕方なく後をついて行く事にした。
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