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エイト達はフールが戻ってくるのを息を殺し身を潜めて待っていた…
しかしフールが消えた先を見ても戻ってくる気配がない。
「何かあったのかな…」
エイトが立ち上がるとクイーンがその腕を掴んだ。
「何処に行くの?」
じっと見つめてくる。
「ちょっとだけ様子を見てくるよ、クイーンはみんなを見てて」
「いや!私もエイトと行く」
クイーンはプルプルと首を横に振ると
「お願い…ここを任せられるのはクイーンしかいいんだ。みんなを守ってあげて」
エイトが怯えるウール達を見ると
「ならみんなで行けばいい」
「みんな動ける?」
エイトが声をかけると
「あ、足が…」
チャバは足が震えて立つことができない…腰を抜かしてしまったようだ。
ロンは大丈夫と頷くが顔色が悪い、きっと無理をして平気だと装っているのだろう。
ウールは不安そうにロンとチャバの手を握りしめてオロオロとしている。
「みんなを抱えられないからね、お願いクイーン」
エイトはクイーンの手を両手でギュッと握りしめてその目を見つめた。
クイーンの鋭く綺麗な金色の瞳が寂しそうに曇った。
「わかった…エイトの頼みなら」
「ありがとう!クイーン大好きだよ!」
エイトはクイーンを引き寄せ力強く抱きしめた。
そして三人を見ると…
「僕ちょっとフールさんの様子を見てくるね!大丈夫、クイーンは凄く強いんだ!みんなを守ってくれるからここで大人しく待っててね」
「エイト…」
「ぼくも…いくよ!」
ウールが不安そうすると、ロンが自分もついて行くと立ち上がろうとする。
「駄目」
するとクイーンがロンの腕を引いて座らせた。
「私から離れないで」
クイーンの力にロンは動けなくなるとわかったと頷き大人しくなる。
「クイーン…みんなと仲良くね」
エイトが苦笑すると…クイーンの顔に近づいていく。
「僕が…戻る前に誰か来たら…ドラゴンになってみんなを逃がしてあげてくれる?」
「やだ!そんな事したらここが崩れる!エイトが帰れなくなるかもしれない」
「大丈夫だよ、僕は小さいもん!隙間を抜けて戻るよ」
「うぅ……」
クイーンが納得出来ないでいると
「僕はカズキじいちゃんの子供だよ?大丈夫クイーンだってじいちゃんの強さ知ってるでしょ?」
「カズキもエイトも強いのは知ってる。でも…心配なの…」
クイーンの顔が歪むと
「えい!」
エイトは不安そうなクイーンの頬にチュッ!とキスをした。
「え!?」
クイーンが驚き目をまん丸にしていると
「びっくりした?クイーンのそんな顔見たくなくて…僕ちゃんと戻ってくるから!」
「約束ね…嘘ついたら…エイトの事食べちゃうから」
「うん!いいよ」
エイトはクイーンの言葉ににっこりと笑った。
エイトの反応にウール達は恐怖も忘れて唖然として二人を見ていた。
しかしフールが消えた先を見ても戻ってくる気配がない。
「何かあったのかな…」
エイトが立ち上がるとクイーンがその腕を掴んだ。
「何処に行くの?」
じっと見つめてくる。
「ちょっとだけ様子を見てくるよ、クイーンはみんなを見てて」
「いや!私もエイトと行く」
クイーンはプルプルと首を横に振ると
「お願い…ここを任せられるのはクイーンしかいいんだ。みんなを守ってあげて」
エイトが怯えるウール達を見ると
「ならみんなで行けばいい」
「みんな動ける?」
エイトが声をかけると
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ロンは大丈夫と頷くが顔色が悪い、きっと無理をして平気だと装っているのだろう。
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「みんなを抱えられないからね、お願いクイーン」
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「わかった…エイトの頼みなら」
「ありがとう!クイーン大好きだよ!」
エイトはクイーンを引き寄せ力強く抱きしめた。
そして三人を見ると…
「僕ちょっとフールさんの様子を見てくるね!大丈夫、クイーンは凄く強いんだ!みんなを守ってくれるからここで大人しく待っててね」
「エイト…」
「ぼくも…いくよ!」
ウールが不安そうすると、ロンが自分もついて行くと立ち上がろうとする。
「駄目」
するとクイーンがロンの腕を引いて座らせた。
「私から離れないで」
クイーンの力にロンは動けなくなるとわかったと頷き大人しくなる。
「クイーン…みんなと仲良くね」
エイトが苦笑すると…クイーンの顔に近づいていく。
「僕が…戻る前に誰か来たら…ドラゴンになってみんなを逃がしてあげてくれる?」
「やだ!そんな事したらここが崩れる!エイトが帰れなくなるかもしれない」
「大丈夫だよ、僕は小さいもん!隙間を抜けて戻るよ」
「うぅ……」
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「え!?」
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「約束ね…嘘ついたら…エイトの事食べちゃうから」
「うん!いいよ」
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エイトの反応にウール達は恐怖も忘れて唖然として二人を見ていた。
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