【完結】売られた令嬢

三園 七詩

文字の大きさ
51 / 98

51.

しおりを挟む
「いつまで待たせる気だ!」

ジョージはイライラに壁を殴った!

「ジョージ!手を怪我してしまいますわ!」

レミリアが駆け寄り俺の手を優しく包んだ。
こういうところがレミリアの可愛いところだ。

「すまない、つい興奮した…ここのヤツらの態度があまりにも酷くて…」

ジョージ達は何度か部屋を出て人を見つけると声をかけるが順番が来るまで待てとだけ言われていた。

「もう一時間以上は待たされてるぞ!」

足を地面に踏みつけで怒りを発散しようとしたらちょうど扉が開いた。

「お待たせしました、では話を聞きますね」

なんか軽い感じの男が入ってきた。
見れば身なりもそれなりによく、顔もまぁまぁ見れる顔だ。

もちろん俺には負けるが…

チラッと隣のレミリアを見ればいつの間にか身だしなみを直して美しい顔で微笑んでいる。

さすがは俺の正室だった。

「えっと…お話では国を追われたので保護して欲しいとか?」

「ああ、その通りだ」

話が通じそうで良かったと頷くが相手の男は眉をひそめた。

「申し訳ありませんが我が国にあなた方を保護する利点がありません。お帰りください、では…」

男はそういうと、書類をパタンと閉じて立ち上がった。

「「え?」」

ジョージとレミリアから変な声が出た。

「ちょ!ちょっと待て!俺はコスリガ国のジョージと王子だ!」

「知っておりますが?」

男はしれっと答えた。

「も、もっと上の責任者を呼んでこい!」

ジョージは納得いかないと先程同様に喚き散らす。

「私が入国審査を管轄しております責任者のシドと申します。以前元王子のジョージさんとの交渉をしたのも私ですがお忘れですか?」

「えっ…」

ジョージはマジマジとシドを見つめるがあまり覚えていなかった。

あの時はただ金を貸してもらう目処がつき安堵してのもつかの間レミリアが欲しいと言われてどうしようかと悩みに悩んだのだ。

「あ、あの時の?」

「ええ、ジョージさんの婚約者のロレッタ様は元気にしておいでですよ…では」

「ま、待って下さい!私ロレッタの妹のレミリアと申します。是非この国にいるお姉様にお会いしたく…どうか会わせて頂けませんか?」

レミリアは上目遣いにシドを見つめるとその豊満なボディを擦り寄せた。

「ロレッタ様に会いたい?婚約者を人質のように差し出したのに会えるとでも?」

シドからは軽蔑の視線が送られる。

しかしレミリアはめげない。

「そんな怖い顔しないで下さい…あれは仕方なかったのです。お姉様はジョージ王子の婚約者でしたから…しかしお姉様が居なくなってしまい落ち込む王子と私は寄り添いあいながら暮らしていて…そのうちに恋仲に…」

レミリアがジョージ王子に同意するように視線を送る。

「あ?ああそうだ、ロレッタがそちらに取られたのだ仕方ないだろ?」

「そうですか…」

シドは呆れてそう答えるのが精一杯だった。

こちらとしては調べがついているのによくもまぁ嘘をベラベラと話すものだと少し感心する。

「私達からあなた方はお姉様を奪ったのです…不憫と思うなら一目でも合わせて下さい!」

レミリアは大きな瞳から大粒の涙を流してシドに頭を下げた。

しおりを挟む
感想 290

あなたにおすすめの小説

今更気付いてももう遅い。

ユウキ
恋愛
ある晴れた日、卒業の季節に集まる面々は、一様に暗く。 今更真相に気付いても、後悔してももう遅い。何もかも、取り戻せないのです。

初耳なのですが…、本当ですか?

あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た! でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

王族に婚約破棄させたらそりゃそうなるよね? ……って話

ノ木瀬 優
恋愛
ぽっと出のヒロインが王族に婚約破棄させたらこうなるんじゃないかなって話を書いてみました。 完全に勢いで書いた話ですので、お気軽に読んで頂けたらなと思います。

私を見下していた婚約者が破滅する未来が見えましたので、静かに離縁いたします

ほーみ
恋愛
 その日、私は十六歳の誕生日を迎えた。  そして目を覚ました瞬間――未来の記憶を手に入れていた。  冷たい床に倒れ込んでいる私の姿。  誰にも手を差し伸べられることなく、泥水をすするように生きる未来。  それだけなら、まだ耐えられたかもしれない。  だが、彼の言葉は、決定的だった。 「――君のような役立たずが、僕の婚約者だったことが恥ずかしい」

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...