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13.テオドール視点

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私はアンスロット侯爵家の長兄として生まれた…

自分で言うのもなんだが、私は良くできる子だ…大抵の事は一度聞けば理解出来るし大体覚えられる。

運動神経も悪くないようで五歳になる頃には教師をつけて毎日鍛錬も行っている。

そんな優秀な自分には厳しい母親がいた…母は何かにつけては私に長兄だからしっかりしなさいと厳しく当たっていた…

反抗もしてみたが…そうするとヒステリックになり宥めるのが一苦労。

周りのメイド達も大変そうなので私は母の前では特にいい子を演じていた。

そんなある日母の機嫌が日に日に悪くなっていった…どうやら原因は新しく迎えた第二夫人にあるようだ。

ただでさえあまり部屋を訪ねて来ない父がさらに来る回数が減ってしまうとやきもきしていたらしい…まぁ物心ついてから会った父を見る限りそんな心配はしても無駄な気がする。

あの人は他人を寄せ付けない人だ…家族である私達ですら他人だと思っていそうだ。

現に私は生まれてからの7年間触れられたのは数える程だ…

しかしそんな母の心配は現実のものとなった。

第二夫人のフローラ様にお子が生まれると父はフローラ様とその子供に夢中になった…

良かったのは私への対応も優しくなった事だ…最近は頭を撫でる回数が増えて来た…最初はたどたどしかったその手も今では軽く置けるようになっている…まぁ私は別に撫でてもらわなくても構わなかったが…

しかし明るく柔らかくなった屋敷の雰囲気と対称的に母の機嫌はみるみる悪くなる。

私の顔を見れば…

「あなたがもっと頑張らないから、旦那様はあの女の所に行ってしまったのよ!」

そう言って怒鳴りつけるようになっていた。

微笑んでいれば美しかった顔も今では見る影もない…常に怒っている目は吊り上がり眉間には取れないシワが刻まれていた。

そんな母の変化も全て私の責任らしく…酷い時には見えないところで叩かれる事もあった。

そんな私をメイドの一人がこっそりと介抱してくれた…優しい人かと思っていたが…

「坊っちゃまは本当に綺麗な体をしてらっしゃいますね…食べちゃいたいくらい…」

そう言って捕食するような目を向けられ背中を舐められた時には全身に鳥肌がたった…

悩んだがトーマスにこっそりとその事を伝えると次の日そのメイドの姿は消えていた…

私はこの時思った…女性とはろくなものではないと…
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