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「なんかここら辺はイブ達がいた場所と雰囲気が違うな」

賢人は周りの風景をみてそう感じた。

イブがいた場所は木と草ばかりで何となく土地が寂しい感じだった。

ここは木の実や果物らしき実がなり、何となく土地が豊かな気がする。

「なんでイブ達はこっちに移り住まないんだ?」

「こっち…こわいのいる…ケントきをつけて」

イブは俺の後ろに掴まりキョロキョロと周りの様子をうかがっている。

「何かいるのか?」

イブの怯え具合にギュッとする。

何か野犬でも居るのかと気がつけば早足になっていた。

「早いとこここも抜けよう…」

何となく小声になりながら賢人はイブの手をギュッと握りしめた。

ガサッ!

すると後ろで何か音がした。

賢人はビクッとしながらも気が付かないフリをして歩き出した。

「イブ…口閉じてろ、舌噛むなよ」

そっとイブに囁くと頷くイブを抱き上げて走り出す!

するとやはり後ろから何かが追いかけてくる音がした。

「追ってか…」

賢人はなれない足場で力の限り走るが、サラリーマンの体力を舐めてもらったら困る。
少し全力で走ったら見事に息が上がってしまった。

ゼェゼェと息を吐くと肺が苦しい、足ももつれて転びそうになりたまらずに速度を落とした。

賢人はその後すぐに立ち止まってしまった…

「も…むり…」

イブをお腹に乗せてバタンと仰向けに倒れる。

胸を上下してるとイブが心配そうに顔を覗き込んだ。

「ケント…」

「ご、だ、はぁはぁ…」

大丈夫だと言いたいが声が出ない、呼吸を整えていると足元の方からザッ、ザッ、と誰かが歩いてくる足音がする。

「イブ…隠れろ…」

イブを抱いたままぐるっとうつ伏せになり隠れろと言うとイブは俺の腹にしがみつく。

せめて…

賢人は力を振り絞ってイブを抱きしめて自分の体で隠した。

すると足音はすぐ側まで来ている…ドンッ!と背中に棒のようなものが当たった。

叩かれると言うよりは棒でつつかれたような感触に顔を少しあげた。

すると俺達の前に耳の尖ったモデルの様に美しい少女がいた。

少女は自分を冷ややかな目で見下ろしている、棒の様な物は剣だった。

鞘に入ったまま俺の背を向けた背中を押していた。

「誰だ?」

瞳と同じように冷めた声で聞いてくる。

「あ、お、俺は…その…」

誰と言われても何も言えない…

すると腕の中にいるイブがひょこっと顔を出してしまった。

その顔に少女は驚き飛んで後ろに下がった。
そして剣を抜いて構える。

「ま、待って!俺達何もしてない!」

イブを後ろに隠して両手をあげる。

「その子を離せ…野蛮な男!」

少女はキッと俺だけを睨みつけた。

「え?」

俺とイブは顔を見合わせる。

「早くその子をこちらに渡すんだ、そしたら命だけは助けてやる」

「命…」

殺されるってことだよな…

賢人はこの世界にきて改めてここは元の世界とは違うとわかった。
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