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俺は強い意志を持って二人を睨みつけた。

自分が出した物でこんなにも争い事になるとは思わなかった。

こんな思いをするならもうこの人達に売りたくない。

そう言えば少しは大人しくなると思ったが…

「ケントさんが売ってくれればこんな事にはならないんじゃ…」

「そうよね…男の癖に…」

女性二人は怒りの矛先を賢人に向けてきた。

「えっ…」

怖い顔をしながらじわじわと近づいてくる…賢人は後ずさりすると家の扉に背中をつけた。

二人に挟まれて逃げ場を失う。

「痛い目見たくなかったらチョコだしな」

「私も飴を下さいな…お金ならちゃんと払うわよ」

まるでヤンキーのカツアゲだ。

しかし女性に負けてられないと拒否の姿勢を見せる。

「い、嫌です!」

ハッキリと言ってやった!

「「あっ…そう」」

女性達は真顔になって指を鳴らす。

賢人は殴られるのを覚悟して目を閉じた…がその拳が賢人に届く事はなかった。

いつまでたっても何もされないのでそっと目を開くと、目の前に自分を庇うようにシルビオが立っていた。

女性達はやはり俺を殴ろうとしていたらしく拳を突き出していた。

その拳をシルビオが両手で受け止めていた。

「あなた達…何をしているの?」

二人の拳を握りながらシルビオが低く冷たい声で聞いている。

「シ、シルビオ…これは…」

「私達は別に…この男が悪いのよ!下手に出てやってるのにチョコを売ってくれないから」

「チョコと飴は数が決まってるはずでしょ、なんでこの時間にそれを買いに来てるの?」

「「それは…」」

二人は気まずそうに顔を逸らした。

「あなた達の事はエミリア様に報告しておきます。今後許可があるまでこのケントに近づくのを禁止します」

「「え!」」

「シルビオ!私達よりもその男の肩をもつの!」

「あなただって男が嫌いでしょ!」

「ええ、自分の事しか考えない男は殺したいくらい大っ嫌い。でもケントはそんな男達と違うわ」

え…

シルビオの言葉に賢人自身が一番驚いた。

「誰か!この二人を反省するまで牢に連れて行って!」

周りで騒ぎを見ていた人が二人を連行していく。

姿が見えなくなってようやくほっと胸を撫で下ろす。

するとシルビオが自分の方を向いた。


「あ、ありがとう…」

助けて貰ったお礼を言うと、シルビオがキッと賢人を睨む。

「仕方ないじゃない!私がみんなに言ったせいなんでしょ!」

「は?逆ギレかよ」

賢人はムッとした。
確かにこんな面倒な事になったのはシルビオのせいだ!

「ああ、わかった!もう俺はこの村を出ていく!男の村にいた方がマシだ!」

賢人はもう全てが嫌になったて叫んだ!

すると着替えを終えたイブがちょうど小屋から出てきて言い合う俺達を見て不安そうな顔をする。

「ケント…あのむらにいくの?」

イブが泣きそうな顔をした。

「いや…イブは大丈夫だよ…でも俺は、少し考えさせてくれ。今日はイブはシルビオさんの家で寝てくれ…少し一人になりたい」

「ケント!」

イブに呼ばれるがごめんと視線を逸らして小屋へと入った。
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