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イブが覚悟を決めて手を出そうとすると…バラバラ!と何かが上から降ってくる。

「な、なんだ!」

女達が落ちてきたものを見ればそれはケントが売っていた飴やチョコに似た物だった。

「ほーら!お前らの好きな飴とチョコだぞ!」

声のする方を見ればケントが笑いながら飴とチョコを投げつけていた。

「あ、飴だ!」

「チョコ!!私のよ!」

女達はイブやシルビオをそっちのけで落ちている飴とチョコを拾う。

その間もケントはそれを投げ続けていた。

「拾え拾え!好きなだけ拾え!」

ちらっとイブの方をみると目があった。

イブはその瞬間ケントが助けに来てくれたのだとわかった。

「シルビオさん!今のうち!」

ケントが撒き散らす飴とチョコに女達がどんどん集まってくる。

ケントの事など忘れてお菓子を拾うのに夢中だった。

「あいつを捕まえなさい!拾うのは後にして!」

エミリアが女達にケントを捕まえるように命令するが誰も言うことを聞かない。

「止めなさい!」

近くの女の服を掴んで止めさせようとすると…

「うるさい!ならあんたが捕まえなさいよ!私はチョコを拾ってんのよ!」

女はエミリアを押し倒した。

「きゃ!」

エミリアが倒れるとその上を女達は構わずに上に乗ってチョコを拾うのに夢中になっている。

「ぎゃあああ!」

エミリアの叫びを聞きながらイブはどうにか村の入り口へと移動する。

「イブ!こっちだ!」

ケントがいつの間にか入り口に移動してイブに向かって手招きをする。

「ケ、ケント!」

イブは必死にシルビオさんを引きずりながらケントの元に向かった。

「こんな女、見捨てていいんだぞ」

イブはブンブンと首を振る。

「だめ!それをしたら…ケントがケントじゃなくなる気がする」

「俺の為?」

イブはこくこくと頷いた。

「お願い!シルビオさんを助けてあげて!」

「くそっ!」

ケントは傷だらけのシルビオをイブから受け取り肩に担いだ。

「俺だって病み上がりなのに!」

賢人はグッと足に力を入れると前に出る。

動く!

足が一歩一歩と前に出た。

「イブは自分で歩けるな?」

「うん!」

賢人は頷くと北に向かって走り出した!



「チョコチョコ!ぜーんぶ私のよ!」

「やった!久しぶりの飴!嬉しー!」

ケント達が逃げ出したのに女達は誰も構わない。

ケントが撒き散らしたチョコに飴が山ほどある!

これだけあればしばらくはあんな男必要なかった。

「もう我慢できない!こんだけあるんだもんひとつだけ…」

一人が飴の包みを開けるとおもむろに口に放り込む。

「ん~!」

甘くて美味しい飴に頬を押さえると…

「うえっ!」

急に飴を吐き出した。

「な、何これ…不味い…」

吐き出したあとも舌に残る不快感に顔を歪める。

「何ー?その飴だけ腐ってたんじゃないのー?」

馬鹿にしたように笑うともう一人大量に飴を拾った女が包みを開けて舐めてみた。

「うっ…おえ!」

すると少し舐めて同じように吐き出した。

周りでは同じように舐めた女達が飴を吐き出していた…

「か、からーい!」

「ひー!ひー!」

違うところではチョコを食べた女が口を押さえてヒーヒー唸っている。

「このチョコ全然甘くない!辛いわ!」

「ど、どれが美味しいのはないの!」

女達は拾った飴とチョコを全て開封した。
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