助けたキツネが恩返しにきました。もふもふはいるだけで幸せです。

2.キツネの子

「えっと大したものはないけど、どうぞ」

ジャックはミルクをキツネの子に入れてあげると少し迷ってテーブルにおいた。

「ここでいいかな？それとも地面の方がいいかい？」

「ここで大丈夫！」

キツネの子はまた人の子供の姿になると椅子に腰掛けた。

「やっぱり本当に化けれるんだね」

「うん！で、でも他の人には内緒にしててくれる？」

「わかったよ」

なんか憎めなく可愛いキツネの子にジャックは笑って頷いた。

「それで君はなんでここに来たの？」

ミルクをごくごくと飲んでいたキツネの子に話しかけると慌てて顔をあげた。

その口には可愛い白い髭が出来ていた。

「そうだった！ぼくねお兄さんを助けに来たの」

「助け？」

ジャックは助けられるような事は思いつかなかった。

「お兄さん怪我したでしょ？だから少しでも役にたちたくて…」

「ああ、そんな事気にしなくていいよ。それよりも君は怪我はなかったのかな？」

「うん！ぼくは大丈夫、お兄さんが助けてくれたから」

「なら良かった。俺は大丈夫だからそれを飲んだら家に帰りな、もう村に近づかないようにするんだよ。あのルルドって子供はすぐに暴力を振るうからね」

「あの子ルルドって言うんだ…怖かった」

キツネの子は思い出したのかブルっと震えていた。

「そうだろ、お礼なら言って貰ったから十分だ。気をつけて帰るんだよ」

ミルクを飲み終えたみたいなので帰らせようとするがキツネの子はなかなか席を立とうとしない。

「どうした？人の話をしたから怖くなったかな？」

送って行こうかと言うとキツネの子はブンブンと首をふる。

「ぼ、ぼく、恩を返さないと帰れないの…だからお兄さんの怪我が治るまでここでお手伝いさせてください」

「えっと…」

ジャックは困ってどうしようかと頭を抱えた。

「ちゃんと役にたつよ！ご飯だって用意できるし掃除もできるよ」

必死な様子のキツネの子にジャックはなんだか可哀想になりその首を縦に振ってしまった。

「わかったよ、じゃあ治るまでお世話になろうかな」

そう言うとキツネの子は嬉しそうに椅子の上に立った。

「やった！ぼくね、ココって言うのジャックよろしくね」

「よろしく、ココ」

ジャックは嬉しそうに自分の名前を言うココが可愛くてその頭を撫でてしまった。

するとココはボワっ！と髪の毛が逆だった。

「あっごめん。触られるのは嫌だったかな？」

ジャックは慌てて手を引っ込めた。

「ううん、ジャックに撫でられのすき！」

ココはもっと撫でてと頭を差し出してくる。

「こ、こうか？」

ジャックはもう一度頭を撫でてやると気持ちよさそうにココは頭を揺らす。

「えへへ…」

嬉しそうにはにかんでいるとポンッ！と頭の上に耳が立った。

「え？」

しかし驚くのもつかの間今度はおしりからしっぽも生えてくる。

「ココ、なんか耳としっぽが出てきたぞ？」

「えー？」

ココはニコニコと笑いながら自分のしっぽを見つめた。

「あっ！しまった！」

キッ！と顔を引き締めると耳としっぽが消えた。

「ぼくまだ子供だから気を抜くと耳としっぽが出ちゃうんだ」

恥ずかしそうにモジモジとしている。
どうも上手く化けられない事が恥ずかしかったみたいだ。

「そうなのか、でも耳としっぽがあっても可愛いかったぞ。俺は出てても好きだな」

「ほ、本当？」

「ああ」

そう言って笑ってやると嬉しそうにしてポンッ！とまた耳としっぽをだした。

「本当はこの方が楽なの、ジャックが好きでよかったー」

「そうなのか、なら家ならその姿でいいよ。でも人が来たり外の時はバレないように気をつけなよ」

「うん！」

ココはわかったと手を上げて大きな声で返事をした。