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「全く…女性がこんな時間に一人で男の部屋に行くなんて…何を考えているんですか!」

「す、すみません…」

リリアナは謝ってばっかりだ…としゅんとすると…

ハク様がグッと顔を歪める…。
話を変えるべくハクが…

「…それで?報告とは?」

「はい…今日の作業が終わりました。シュカさんからまた明日も来ていいと言われたので…あのまま働いてもよろしいでしょうか?」

「いいもなにもお前にはあれしか出来ないだろうが」

「そ、そうですね…」

再度落ち込むと…頭を下げてさがろうとする。

「お忙しい中すみませんでした…失礼します…」

リリアナが部屋を出ようとすると

「待て…」

「また一人で歩こうとするな!ファイ!」

「はーい」

ファイがいつの間にかリリアナの後ろに立っていた。

リリアナがびっくりしてよろけると…ファイがさり気なく腰を引いてリリアナを支える…。

「リリアナ大丈夫?」

綺麗な顔が心配そうに見つめてくる…

「うん、ファイありがとう…大丈夫だよ」

「ファイ、その娘を部屋まで連れてってやれ」

「はーい!わかりました」

ファイは嬉しそうに答えるとリリアナの手を握って歩き出した…。


暗い廊下をファイに手を引かれながら歩いて行く。

「ファイ、一人で歩けるよ?」

繋いだ手を握りながら聞くと…

「駄目だよ~リリアナはすぐ転ぶんだもん、それとも…僕と手を握るのは嫌?」

ファイが足を止めるとリリアナを悲しそうに見つめる…。

「ううん!そんな事無いけど…人の姿のファイになかなか慣れなくて…」

なんだか近いファイに困ったように微笑むと…

「なら…」

ファイがいつもの小鳥の姿になるとリリアナの肩に止まる。

【これならどう?】

「ふふ…いつものファイだ…ありがとう」

リリアナはファイに頬擦りをした…。

一応ファイのお供で部屋に戻ると…

【リリアナ…ハク様は言い方はキツイけど本当は優しい方なんだよ…城を勝手に歩くなって言うのは…リリアナを心配してなんだ…】

「えっ…」

【魔族の中には人間に悪意を持ってる奴も沢山いるんだ、リリアナが一人で歩いてる時にそんな奴に会ったりでもしたら…】

ファイの周りが冷たくなる…

【ハク様の言い方もあれだけどね】

ファイが茶化して言うと…

「うん…ありがとうファイ、ちゃんと気をつけるね」

【そうして…リリアナに何かあったら…僕もブラッドもルシファー様だって悲しむよ…】

そう言うとリリアナの頬についばむキスを落とすと…

【おやすみ…】

そう言うとファイは部屋を出ていった…。
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