上 下
76 / 125

76

しおりを挟む
「ルーダ!」

ファイがご機嫌にルーダの部屋に向かい、ノックも無しに部屋を開ける。

「あっ…ファイ…」

ルーダが突然の訪問に驚くと…

「ハク様からの言伝だよ、明日ムーマを第二島に連れて行ってくれだって」

「だ、第二島に!なんで俺が!?しかもムーマを?あいつ何したんだよ…」

「リリアナに酒を飲ませた」

「何!」

ルーダがファイに詰め寄る。

「大丈夫なのか?リリアナって…」

声を落とし…周りを伺うと…

「リリアナって…人間だろ?人間の子供は酒はダメなんじゃないのか?」

他の者に聞こえないようにコソコソと話す。

「まぁあいつはそれを知らなかったけど…それでもこんな時間にリリアナを連れ回して…あんな肌を出した服を着せやがって…まぁ…似合ってたけどね…」

「はっ?」

話がそれた…

「いや…着替えさせて酒が飲める店に連れてったんだ…」

「そ、それで?リリアナは大丈夫だったのか?」

「大丈夫、眠りこけちゃったから部屋にブラッドが送り届けてるよ…」

「そ、そうか…」

ルーダがホッと胸を撫で下ろす。

「だ、か、ら、ムーマをおしおきの為に第二島にね!」

「まぁ…自業自得だな…でも俺明日リリアナ達と出かけるのに…」

「何処に行くの?」

ファイが興味深そうにしていると

「食堂のみんなでリリアナに町を案内してやろうって…」

「ふーん…じゃルーダの変わりに僕が行くから大丈夫だよ!安心してルーダはムーマをおくりとどけてきな!ハク様の命令だからね!」

「そ、そんなぁ~」

有無を言わさぬファイの笑顔にルーダはガックリと肩を落とした…

ファイが来た時と同じようにご機嫌で帰って行くと…

「はぁ…明日皆んなと行きたかったなぁ…しかも第二島…」

体がブルッと震える…

「どうしよう…俺も厳重に装備しておかないと…しかし…あいつも馬鹿だなぁ…」

ムーマを思うと…

「あれ?もしかして…俺も間違えればそうなってたって事か?」

自分がリリアナに会って最初にやらかした事を思い出す。

「俺…よく助かったな…」

今になり体が震える…

「リリアナがフォローしてくれたからだな…」

あの時にリリアナがブラッド様から庇ってくれたんだ…

「俺…リリアナにもう頭が上がらねぇな…」

しかしその事があまり嫌では無いことにルーダは苦笑する…

「まぁ…職場が一緒だ…また行く機会はあるだろ…」

ルーダは残念な気持ちを誤魔化し、明日の為に眠りについた。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

夢喰い

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:7

目覚めたら公爵夫人でしたが夫に冷遇されているようです

恋愛 / 完結 24h.ポイント:16,763pt お気に入り:3,109

時間が戻った令嬢は新しい婚約者が出来ました。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:177pt お気に入り:5,839

王太子に愛する人との婚約を破棄させられたので、国を滅ぼします。

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:1,283

転生不憫令嬢は自重しない~愛を知らない令嬢の異世界生活

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:29,153pt お気に入り:1,869

毒花令嬢の逆襲 ~良い子のふりはもうやめました~

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:105,372pt お気に入り:3,111

処理中です...