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フラフラと歩くリリアナをブラッドが支えながら家から出てきた…

「「リリアナ!」」

ナッツとリードが家から出てきたリリアナに駆け寄ると…

「ブラッド様!何したんですか!」

「事によっては我々は許しませんよ!」

「な、なんだよ…何も…してない…ただお礼を言っただけだ…なぁ、リリアナ」

ブラッドがリリアナに微笑むと

「あっ…うん…そ、そう!大丈夫だよ!」

リリアナは火照る顔を抑えてナッツ達に笑いかける。

二人はジトっとした目で二人を見るが…

リリアナは恥ずかしそうにしてるし、ブラッドは満足そうに笑っている。

「さぁもうお疲れただろ?リリアナ家で休みな」

「疲れたぁ~?」

「疲れることしたの!?」

「ち、違う!なんでそう突っかかるんだよ!今日は出かけて来たんだろ?」

ブラッドが慌てて答えると

「リリアナを家に送ってくる、お前らももう休め!」

ブラッドはリリアナを引き寄せ腰に手をあてると闇の中に入って行った…

「逃げた…」

「逃げたね…」

二人が顔を見合わせる。

「僕らが送ればよくない?」

「ですよね…ブラッド様動揺してる?それとも…」

二人はブツブツと文句を言いながら闇へと消えて行った…。

あっという間にリリアナの部屋に着くと…

「じゃ俺は帰るから…ちゃんと部屋に鍵をかけて休むんだぞ」

「うん…」

リリアナはブラッドと離れる事に寂しさを覚え元気なさそうに返事をする。

そんな様子に

「そんな顔をしないでくれ…帰れなくなる」

ブラッドが困った様にリリアナの髪を撫でると…

「早く…大人になってくれないと…本当に困る…」

ボソッと呟くと…

「えっ?」

リリアナがブラッドを見つめると

「なんでも…無い。腹が減ったなぁって…」

ブラッドが誤魔化すと…

「あっ!そうだ!お昼のサンドイッチをお土産に持ってきたの!ブラッド…食べる?」

「リリアナの手作りか?」

「うん」

「もらおう」

ブラッドが受け取ると、一口でガブッと食べる。

「おっ!肉が入ってるな!美味い!」

ペロリと平らげると

「まだあるよ?」

リリアナがファイが作ったサンドイッチを出すと

「ありがとう」

ブラッドは受け取りまた直ぐに口に運ぶと…

「グッフォッ!」

変な声を出す…

「ブラッド?どうしたの?」

リリアナがびっくりして見ていると

「な、なんでも…無い…う、美味いよ…」

口に手を当てて美味い美味いと言い聞かせている…

(なんだこれ…すっごく辛い…これ…ファイ特性の激辛ソースじゃ…)

ブラッドがそっとサンドイッチの中味を確認しようとすると

「美味しくなかった?」

リリアナが聞いてくる、ブラッドは慌てて

「いや!美味いよ!ただ…何が挟まってるのかと思って…」

「それは…なんだろ?一口食べてもいいかな?そうすれば分かるかも!」

「ダメだ!」

ブラッドが強めに答えると

「ご、ごめんなさい…」

リリアナが怒られたと思い謝ると

「いや違う、怒って無いぞ…ほら…折角リリアナが作ってくれたから…俺が…全部食べたいんだ…」

そう言うと一口で激辛サンドイッチを口に入れる。

「それは…ファイがブラッドの為に作ってくれたやつだね!ファイにも美味しそうに食べてたよって言ってあげないと!」

リリアナが嬉しそうにしているのを…口の中の感覚が無くなりながら眺めていた…。

「おやすみ…」

ブラッドはぐったりとしながらリリアナに挨拶をして帰って行った…

一人ポツンと部屋に残られたリリアナは…

「あっ…ルシファー様の分はどうしよう…」

誰に言うわけでもなくボソッっと口に出した。
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