ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

文字サイズ
特大
499 / 656
14章

631.蟲の森

ベイカー達はミヅキとシルバ達を真ん中に四方に別れる事になった。

「いいかミヅキのそばに蟲の魔物を絶対に近づけるなよ」

「そうするとどうなるんだ?」

ロバートが聞くと…

「シルバが暴れる」

「それは…怖いな…」

シルバの恐ろしさを知ってるだけにロバートはゴクリと唾を飲んだ。

「そしてミヅキがいなくなる」

「それも…困る」

ロバートが心配そうに顔を曇らせる。

「獣人は大丈夫なのに蟲は駄目なのか?基準がわからん…でもこんな所で一人になったら大変だ…俺は俺の出来ることをするよ」

「頼む」

ベイカーは頷くと自分の持ち場にかけて行った。

みんなが散らばった所でシンク達と楽しく話をしていたミヅキにシルバが声をかける。

【ミヅキ、すまんが力を貸してくれ】

【ん?私?いいよ~もう目を開けてもいいの?】

【ああ大丈夫だ】

シルバはいま一度回りを確認して蟲が近くにいないことを確認する。

ミヅキはシルバの背中から体を起こしてそっと目を開くと…

「眩しい…」

ずっと目を閉じていたので久しぶりの陽の光に目をシパシパさせる。

【あれ?さっきの森の中だね、どうしたの?】

ミヅキはシルバに聞くと

【どうもこの階の下へと続く階段が見つからんらしい、ミヅキならどっちかわかるかもしれないと思ってな】

【え?私ここに来たこと無いよ?】

ミヅキが周りを見回すがやはり身に覚えはない…それよりもなんだがゾクゾクと背中がむず痒くなった…

【な、なんかすごくここに居たくない感じがするんだけど…シルバ…ベイカーさん達はどこ?】

ミヅキはシーンと変に静まり返った森を見つめた…

そこにはシルバ達と自分しかおらず不安になる。

【ベイカー達は魔物を倒しに行ってるだけだ、呼べばすぐに来る距離にいるぞ】

【そ、そうなんだ】

ミヅキはほっとすると落ち着いて周りを確認する。

じっと森の奥を見つめると…

【あっち…がいいかな?】

適当に指をさした。

【わかった】

シルバは素直にスタスタと進み出すと

【えっ!ほ、本当にそんなんで進むの?適当に冗談で言ったのに~】

ミヅキが慌てると

【ミヅキが言うなら間違いない】

シルバの方が自信満々にミヅキが示した先を目指して歩き出した。

その頃ベイカー達は…

「うん…動き出したな…」

シルバの気配を追って動き出す、すると進む先に蟲が現れる。

「おっとそっちに行かれると困るんだ」

ベイカーは蟲を真っ二つにすると先を急いだ。

コジローとアラン、ディムロスもロブも問題なく蟲を退治しながらシルバの気配を追っていたが…

「嘘だろ…」

ロバートの前に現れたのは先程の巨大な蜘蛛よりも何倍も大きな鬼蜘蛛だった。

「これってこの階の主…とかじゃねぇよな…」

ロバートはミヅキから貰ったメリケンサックを握りしめる。

鬼蜘蛛はイライラしているのか地面を何本もの脚で踏み鳴らし、頭にある無数の目が赤く光っていた。

「まさかさっきのが子供で俺達に殺られて怒ってる…とかじゃねぇよな…」

鬼蜘蛛はロバートの拳を見つめると気持ちの悪い声を出して襲いかかってきた!

「キシャー!」

先程のロブが受けた何倍もの太さの糸をロバート目掛けて放つ。

ロバートはそれを拳で打って軌道を逸らそうとするが

「しまった!」

糸の粘りに拳がくっ付いてしまった。

鬼蜘蛛は糸を振り回すとロバートを地面に叩きつけた。

「ぐっわ!」

ロバートは思いっきり背中から地面に叩きつけられる、どうにか離れたいが手が糸に絡まり逃れられそうもない。

「やばい…何度も食らったら…」

鬼蜘蛛は今度は糸を自分の方に引き寄せる…ロバートも踏ん張って抵抗するがジリジリと鬼蜘蛛との距離は縮まっていく。

鬼蜘蛛は口と思われる場所をパカッと開くとカシャカシャと牙を鳴らした。

ロバートはドンドンとその口に近づいていく…

「くそ…」

ここまでかと諦めかけたその時…

「風刃!」

風の刃が糸を切った!

ロバートはすかさず離れて鬼蜘蛛から距離を取ると…

「ミヅキ!」

そこには青い顔でシルバに乗るミヅキがいた!

「ロ、ロ、ロバートさん…だ、大丈夫?」

ガタガタと震えて鬼蜘蛛を見上げている。

「ミヅキ!お前こそ大丈夫か!?顔色が普通じゃないぞ!」

ロバートが駆け寄ろうとすると鬼蜘蛛が行く手を阻むように動き出した。

「ぎゃーあー!動いた!あ、脚が12本もある!赤い目も12個体からうぶ毛みたいな毛が生えてるー!!しかもカシャカシャ音がするー!」

「そんなに怖いならじっくり見るな!」

ロバートが叫ぶと

「見てないと何されるかわかんないでしょ!こっちに来たら全速力で逃げるからロバートさんも逃げてね!」

「いや!こいつは多分俺を狙ってる。ミヅキこそ怖いなら逃げろ!」

「そ、そんな事出来ない!ロバートさんが危ないもん!さっきだって食べられそうだったよ!」

「あれは油断したからだ!」

ロバートが言うと

【ミヅキ、俺が一撃でしとめるから目を閉じてろ】

シルバが飛びかかろうと姿勢を低くすると

【ま、待って!返り血浴びたらどうするの!?毒あるかもよ!血が緑色かもしれない!いや…体液が紫かも…】

ミヅキがシルバの上でブツブツと呟き出した。

【じゃあ僕が燃やそうか?】

シンクが聞くと

【駄目!焼き蜘蛛の匂いなんて嗅いだら…】

ミヅキの顔色が青から白に変わった。

「そんなになるのになんでここに来たんだ!」

ロバートが叫ぶと

「だって!なんかすごく嫌な予感がしたんだもん!案の定駆けつけてみたらロバートさん食べられそうになってるし!」

ミヅキが叫び返すと鬼蜘蛛の視線がミヅキの方に向いた。

「ひっ…」

ミヅキはシルバの毛をギュッと掴むと硬直した…鬼蜘蛛はそんなミヅキの姿を見てヨダレをダラダラと垂らした。

ふぅー…

ミヅキはその姿に気を失い後ろに倒れ込んだ…

ポヨン!

ミヅキがシルバから落ちるのをムーが体で受け止めると

【ムー…ミヅキをしっかりと抱えておけよ…】

シルバが唸るとムーがブルっと震えた…

【やばーい!シルバが凄い怒ってる~】

シンクはクスクスと笑うと気を失ってるミヅキの元に行きその体の上に止まった。

【ミヅキにはこんな奴らの姿など見せたくなかったのに…】

ギリギリと牙を噛み締めると鬼蜘蛛を睨みつける。

【しかしミヅキが向かってくれと言われれば私達は言う事を聞くしかないだろ?】

プルシアが仕方なさそうにシルバを見ると

【あんなに震えながらもあいつを助けに行くと聞かなかったからな…】

倒れたミヅキに慌てて駆け寄るロバートを見ると…

【まぁミヅキが気を失ってる今がチャンスだ…その姿がもう二度とミヅキの目に触れないようにしてくれる】

シルバがキッと鬼蜘蛛を睨みつけると

【私も協力しよう】

プルシアが元の大きさになるとシルバの隣に並んだ。

二人は鬼蜘蛛をその姿が処滅するまで攻撃をくわえた。
感想 6,830

あなたにおすすめの小説

【完結】私の出産日に初恋の人を選んだ夫、あなたを彼女に返品します 表紙

【完結】私の出産日に初恋の人を選んだ夫、あなたを彼女に返品します

「子供っぽい嫉妬はやめろ」私が命懸けで出産した日、夫のヴィンセント侯爵は初恋の人の所へ行ってしまった。理由を説明して欲しいと言うと、子供っぽい嫉妬をやめろと厳しい声で言われてしまう。しかも初恋の相手がいきなりやってきて「侯爵様は昔から私を命懸けで助けてくれるんです」と悪びれもせずに言い放った。妻よりも初恋相手を優先する夫は必要ないので私は夫を初恋相手へ返品した。すると生まれてから一度も人に頭を下げたことのないヴィンセントが、ボロボロになって私に頭を下げてきて⋯⋯。
恋愛 連載中 長編
文字数:94,149
過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜 表紙

過保護すぎる家族に囲まれて育ったら、外の世界が危険すぎました 〜冷酷公爵の父と最強兄たちに溺愛される日々〜

過保護な父と兄たちに囲まれて育った少女。 初めての外は危険だらけ——のはずが、全部“秒で解決”。 溺愛×コメディ×ほんのり成長の、ほっこり家族物語。
恋愛 完結 短編
文字数:20,369
転生先で冒険者専門のお弁当屋さん始めます〜助けてくれた冒険者兄弟にお礼をしたかっただけなのに、大繁盛してしまいました〜 表紙

転生先で冒険者専門のお弁当屋さん始めます〜助けてくれた冒険者兄弟にお礼をしたかっただけなのに、大繁盛してしまいました〜

保育士として働いていた莉子は、ある日の仕事中に暴走してくる車から子どもたちを守り、死んでしまう。 しかし、目が覚めるとそこは深い森の中。 ここはどこだろうと彷徨い歩いているうちに狼のような獣に襲われかけたものの、間一髪のところで冒険者の兄弟、ベクターとゼノに助けてもらった。 家族が宿屋をやっているから、と行くあてもない莉子を拾ってくれた二人。 やってきたのは、リーベル王国の国境付近にある街、ベルン伯爵領。 そこにある人気の宿屋に身を置くことになった莉子は、様々な事情を知りながら身を寄せることへのお礼のため、ベクターとゼノにお弁当を作ろうと決意して──?
ファンタジー 連載中 長編
文字数:124,638
異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか? 表紙

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!
ファンタジー 完結 長編
文字数:148,101
『死ぬほど愛されたい』と願ったら、最強の公爵家に転生して家族の愛が重すぎます!〜赤ちゃん令嬢は『慈愛の眼』で今日もデレを解析中〜 表紙

『死ぬほど愛されたい』と願ったら、最強の公爵家に転生して家族の愛が重すぎます!〜赤ちゃん令嬢は『慈愛の眼』で今日もデレを解析中〜

元・社畜SE、今世は国宝級の赤ん坊!? 最強の父様とお兄様が過保護すぎて、一歩歩くだけで国が揺れちゃいます!
ファンタジー 完結 長編
文字数:187,096
悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません 表紙

悪役令嬢ですが、兄たちが過保護すぎて恋ができません

乙女ゲームの悪役令嬢・セレフィーナに転生した私。 破滅回避のため、目立たず静かに生きる――はずだった。 しかし現実は、三人の兄による全力溺愛&完全監視生活。 外出には護衛、交友関係は管理制、笑顔すら規制対象!? さらに兄の親友である最強騎士・カインが護衛として加わり、 静かで誠実な優しさに、次第に心が揺れていく。 「恋をすると破滅する」 そう信じて避けてきた想いの先で待っていたのは、 断罪も修羅場もない、安心で騒がしい未来だった――。
恋愛 完結 短編
文字数:14,447
初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました 表紙

初夜のあとに愛する人がいると言われたので祝福で身体の時間を一日戻しました

夫婦となって初めて迎えた夜、セレンティアは夫リオールから「俺には、愛する人がいる」と告げられる。 彼が初夜を済ませた理由は、三年後に白い結婚として婚姻無効を申し立てられないようにするためだった。 けれどリオールは知らなかった。セレンティアの祝福《一日回帰》が、自分自身の身体にも使えることを。 セレンティアは自分の身体の時間を一日前へ戻し、三年間、侯爵家の妻として務めを果たすことを決める。 夫に愛されるためではない。三年後、白い結婚としてこの家を出ていくために。
恋愛 完結 短編
文字数:12,593
捨てられた三歳の聖女ですが、辺境伯家に拾われたら家族全員が過保護でした 表紙

捨てられた三歳の聖女ですが、辺境伯家に拾われたら家族全員が過保護でした

神殿で無能と決めつけられ、三歳で捨てられた少女リリア。 辺境伯家に保護された彼女は、厳つい辺境伯やお兄様たち、領民にまで溺愛されながら幸せな日々を送ることに。 けれど実はリリアは、数百年に一人現れる伝説級の聖女だった。 これは捨てられた幼女聖女が、たくさんの愛に包まれながら成長していく物語。
ファンタジー 完結 短編
文字数:36,970