ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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13章

750.

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「ねぇその父上ってどんな人なの?その人が私を連れてこさせたの?」

黙ってスタスタと歩くアナテマに私は後ろから声をかけた。

しかしアナテマは何も話す気はないのか黙って歩き続けている。

「なんの用でこんなことしたのかな、すごい迷惑なんだけど。文句言ってもいいよね」

私は無視されてもブツブツと文句を言っているとアナテマが突然ピタッと足を止めた。

「わっ、何?  着いたの?」

しかしそこは廊下の途中で部屋の扉など何も無い。

アナテマがくるっと振り向くとようやく口を開いた。

「お前、父上の事も忘れたのか?本当に何も覚えてないのか」

「覚えてないって言ってるじゃん」

私の答えにアナテマは不機嫌そうな顔で私の顔色をうかがっている。

嘘をついているか疑っているみたいだ。

でも嘘なんてない、本当に何も知らないから…

私は堂々とアナテマを見つめ返した。

「まぁいい父上の前ではそのぺちゃくちゃ動く口を閉じていろよ。指示があるまで口を開くな!」

「えー!」

「開くな!」

アナテマはムーに向かって手をかざした。
まるで言うことを聞かないとムーに何かすると言うかのように…

「わかった」

私は渋々頷いて口をとんがらせるとムーを抱き上げて腕の中に隠した。

その後は黙ってアナテマの後をついて行く。

しばらく進むと廊下の奥に私では開けられなさそうな大きな扉がみえた。

まさか…あれ?

まさかでなくてもあれのようだ…

しかしどうやって開くんだ?

誰が開けるのかと見ているが扉の前にいる門番は動きそうもない、アナテマはそのままスタスタと扉に向かって歩いていく。

すると扉がスーッと音もなく開き出した。

え?どんな仕掛け?

私は扉を通り過ぎながら内側を見るが誰もいない。

「おい、前を見ろ」

キョロキョロと仕掛けを探そうとする私にアナテマが小さな声で囁いた。

私は仕掛けもわからずに前を向くと…そこには独創的な趣味の悪い椅子に腰掛ける男性がいた。

その近くには顔を隠した甲冑を来ている兵士が両脇にズラっと並んでいる。

中央に座る男性を見た時ゾワッと全身に鳥肌が立つ。

もう一度じっくりと見てみるが会った時は無いと思う…しかし全身があの人を知っていると言うように体が震えた。

「父上、連れてきました」

アナテマはその人を父と呼ぶと私の前から離れて部屋の端に移動した。

この時ばかりはアナテマに前にいて欲しいと思った。

【ミヅキ、大丈夫か?】

【ミヅキどうしたの?】

【なぜ震えているんだ】

シルバ達が急に顔色を悪くした私を心配してそばに擦り寄ってくれた。

みんなの温もりを感じて体の体温が戻ってきた。

そうだ私にはこんなにも頼りになるみんながいる、何も恐れる事はない。

というか私ってあの人を恐れていたの?

もう一度じっと見つめると目が合った。

真っ黒でうねるような髪を垂らして、アナテマと同じ真っ赤な瞳でこちらをじっと見つめてくる。

あの感情のない瞳に見つめられると思わず目を逸らしたくなった。

すると目の前にフワフワの黒い影が視界を塞いだ。

【シルバ…】

シルバが私の目の前に立ってくれる。

【俺のミヅキをそんなにジロジロと見られるとは不快だ】

【シルバ、聞き捨てならないね!  じゃなくてでしょ】

シンクは私の頭にふわっと座るとその綺麗な羽で視界を塞ぐ。

【見たくなきゃ見なくていいんだぞ、ミヅキは好きなものを見てろ、私達とかな】

プルシアがシルバの上に座って自分の艶々な体を見せた。

【そうだよ!】

コハク達もそばにきてウンウンと頷き尻尾を豪快に振っている。

【みんな…】

私の震えはいつの間にか止まっていた。

【本当にありがとう!  もう大丈夫!】

私はシルバを撫でるとその隣に立って男を見つめ返した。

「あなたが私を呼んだ人ですか?」

そう声をかけると周りにいた人達が狼狽えて騒ぎ出す。

「こいつ、ヴォイド様になんと不敬な…」

「今すぐこうべを垂れてその口を閉じろ!」

周りにいた兵士達が私達に剣先を向けた。

「グルルル…」

シルバが敵意を向けられて唸り出すと中央の男がスっと右手をあげた。

その瞬間兵士達は元いた場所にサッと戻り何事も無かったかのように立っている。

「うるさいから黙っていろ」

地を這うように低い声は何だかいつまでも耳に残っているような声だった。

今のセリフも私に言ったのか兵士達に言ったのかわからないがなんか声を出す気になれなかった。

「ルナ、本当に私を覚えていないのか?」

ヴォイドと呼ばれた男性は私を見ながら聞きなれない名前を口にした。

ルナ?

誰のことだと後ろを振り返るが誰もいない、と言うかこの空間に女は私だけのようだ。

「わ、私ルナじゃありません。ミヅキです」

「口答えを…!」

兵士の一人がたまらずに一歩前に出る。

「ぎゃあああ!」

するとその場で頭を抱えて倒れ込んだ。

「私が黙ってろと言ったが聞こえなかったのか?そんな無能な耳は要らんな…」

ヴォイドがそうつぶやくと周りの兵士が倒れている兵士を掴んで立ち上がらせると兜を取って押さえつけた。

「すみません!すみません!どうかお許しを…私はヴォイド様を思って…」

「私の為なら何をしてもいいと?そんな自分勝手な者はいらない」

ヴォイドは興味無さそうにやれとばかりに手を振った。

すると懇願する兵士の耳を掴んで剣を振り上げる。

まさか…切り落とすき?

私は嫌だと目をつぶった。

「止めて!」

思わず叫ぶと部屋はシーンとしている。

そっと目を開くと兵士の耳はそのまま付いていた。

よかった…と胸をなで下ろすしてヴォイドを見れば止めろとばかりに兵士を止めていた。

「まぁ今日は大目に見てやろう、今すぐ部屋から連れて行け」

「ハッ!」

気絶していたのか兵士はダランと足を伸ばして引きずられながら連れていかれた。
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