ほっといて下さい 従魔とチートライフ楽しみたい!

三園 七詩

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番外編【ネタバレ注意】

番外編 ミヅキのお手柄

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「ふふふ、今日は三つ山を越えたこの町を落としてやろうか……」

笑いながら町を見下ろす影が月明かりに浮かんでいた。

彼らは旅をしながら町や村を襲い金品や食料を奪う強盗団だった。

彼は次にある町に目をつけてしばらく滞在して町の様子を観察する事にした。

「まぁまぁの規模の町だな……」

「ギルドもあるし、冒険者も多いようだな」

町を歩けば冒険者に行き合う、彼らを全て相手にするのはさすがに手に余る。

そこで嘘の依頼を出して彼らを町の外に追いやってから作戦を遂行することにした。



「最近遠出の依頼が多いですね」

「そうじゃな、まぁ金が潤うからいいじゃろ」

セバスとギルマスのディムロスは依頼を確認して仕事が出来そうな冒険者に振り分けて行った。

「ほとんどの冒険者達に仕事が回って来ますね」

「少し町が静かになっていいな」

ギルマスは気にした様子もなく笑うが依頼書を眺めてセバスは訝しげな顔をしていた。






「ベイカーさんも依頼で仕事に行くの?」

ミヅキの家でも仕事の話題が持ち上がっていた。

「ああ、2、3日留守にするけど大丈夫か?」

「もちろんだよ!  それにシルバ達がいるもんね」

私は問題ないとシルバの首に抱きついた。

【僕もいるよー】

シンクも私の頭に止まると体を擦り寄せる。

「しかしコジローも他の知り合いもみんな依頼で2、3日戻らないみたいだ。本当に大丈夫か?」

ベイカーさんに執拗く言われ、大丈夫だからと荷物を持たせて仕事に向かわせた。

「大丈夫だから、お仕事頑張ってね!」

家の前まで手を振って見送る。

ベイカーさんは何度も何度も振り返って手を振り返していた。

「あーあ行っちゃった」

私はベイカーさんが見えなくなると少し寂しくてシルバに寄りかかった。

【俺達も依頼に向かおう、確か森にキノコを取りに行くんだよな】

【そうだね!  私達もお仕事しよう!】

私は用意をするとシルバ達と森に向かうことにした。

町中を歩くとなんだかシーンとしている。
市場の前を通るといつもやってるお店も今日は閉まっていた。

ちょうど店を閉めようとしているお肉屋さんに行き交い話を聞いてみる。

「それが冒険者達がほとんど出払ってて店に客が来ないんだよ。だからせっかくならと休みにして俺達も出かけることにしたんだ。だからここら辺も2、3日はお休みだよ」

「そうなんだ」

なんかお店まで休みとなるとゴーストタウンのように静まり返ってしまう。

少し寂しくなるとシンクが擦り寄って頬を撫でてくれた。

【僕らがいるよ】

【ああ、俺達はいつも一緒だ】

シルバも明るく声をかけてくれる。

【そうだね、たった2日くらいだもんね。私達も仕事してればあっという間だよね】

【【そうさ】】

私は少し元気を貰うとシルバ達と森へと急いだ。

【さてと、ここら辺だよね】

森の奥にいきキノコが生えていると思われる場所の近くに来た。

周りをよく観察すると木の根元に数本キノコが生えている。

【あれだ!】

私はキノコを見つけると依頼の本数分集めた。

【はー、これでいいかな?】

キノコを収納にしまうと町に戻ろうかとシルバ達に声をかける。

【そろそろ帰ろうか?】

【もうか?せっかく森に来たんだ。少し狩りでもしないか?】

シルバの提案にシンクも乗り気になっている。

【うーん、みんなもいないしいいかな】

私は少しだけねと頷くとシルバ達が嬉しそうにする。

【じゃあミヅキ乗れ!】

シルバに跨ると森の奥へと走り出した。

狩りを十分に楽しみ帰ろうとすると、シルバが人の気配を感じとった。

【ん、なんか人がいるな】

シルバが足を止める。

【近くで依頼受けてる人かな?】

知ってる人かもと私が少し淡い期待をするとシルバがその場所に向かってくれた。

「こんにちはー」

私は人影が見えると大きな声で声をかける。

するとその人は驚いた様子で慌てた振り返った。

「だ、誰だ!」

警戒した様子に私はシルバから降りて声をかけた。

「驚かしてすみません、私この先の町の冒険者です。知り合いかと思って声をかけてしまいました」

慌てて謝り頭を下げた。

「町の?」

男の人は少し眉を顰めると私をみてニコッと笑った。

「そうだったのか。俺もその町のことは気になっていたんだ……色々と教えてくれないか?」

「そうなんですか!いい町なんですよ、私でよければなんでも教えますよ」

町の事に興味を持ってもらい嬉しくて私は頷いた。

その人と歩きながら町に向かい話す事になった。

「君はその歳で冒険者なんだね」

「はい、でもまだまだ下っ端のFランクですが……なので今日はキノコの採取の依頼に来てました」

「なるほどね。でも強そうな従魔を連れてるね」

「シルバは強くて可愛いんです。もちろんシンクも」

私が二人を撫でるとトロッとした顔で嬉しそうにしている。

「ははは……」

男はその様子に鼻で笑った。

強そうに見えたが気のせいだったようだ。
女の子に甘える姿は今にも倒せそうなほどに気が抜けている。

Fランクの冒険者ならこの程度の従魔しか従えられないのだろう。

今や架空の依頼で町の高ランクの冒険者は町から遠いところに出払っている。

罠と気が付き戻って来る頃には町はものけのからとなっている手筈だった。

「ふふ、今回も楽勝だな」

あとは仲間達に連絡を取り今夜にでも町を襲おうとほくそ笑んでいた。

【ミヅキ、あいつ笑ってるぞ。気持ち悪い】

シルバは目を細めて男を睨みつける。
そんなシルバの顔を優しく撫でて自分の方に向かせた。

【こら、町に越して来てくれるかもしれないんだからそんな怖い顔しないの】

シルバに笑いかければ優しい笑顔を返してくれる。

シルバの機嫌も良くなったのでキノコ狩りにせいをだした。

森の奥に行けば行くほどキノコの数も大きさも上がる。

私はどんどん森の奥に進むとシルバが何かに気がついた。

【ミヅキ、何かいるぞ】

シルバに制止させられて指摘する方に視線を向けた。

【んー、何かな?】

シンクが様子を見てくると奥に向かって飛び立った。

「あれ?従魔が飛んで行ったけどどうかしたのかな?」

男の人はシンクの行動に疑問を感じたようだ。

「あっ、この先に何かいるみたいなので様子を見に行ってくれました」

「へーそんなことができるんだ」

関心した様子でシンクが飛んで行った方を見つめる。

すると視線の先に火柱が突然現れた。

「え……」

男の人が呆然と立ち尽くしている。

【シンク何かあった?】

私は火柱がシンクのものと分かり声をかけた。

【弱い魔物がいたからやつけたよ。あっごめん一匹逃がしてそっちに行っちゃった。シルバお願い】

【しょうがないな】

シルバは私の前に立つと魔物がやってくるのを待った。
地響きと共に木よりも大きな猪のような熊のようなけむくの魔物が興奮した様子でこちらに向かってくる。

木々をなぎ倒しまっすぐ私達の元に突進する。

「うわぁぁぁ!」

一緒にいた男性は突然の魔物に逃げ出そうとするが足が動かないのか固まっていた。

【シルバ、大丈夫?】

【当たり前だ、こんなの朝飯前だ】

シルバは慌てる様子もなく魔物をじっと見つめると目の前に土魔法で大きな壁を作った。

魔物は突然現れた壁に止まることも出来ずに突進する。

普通の壁なら砕けたかもしれないがシルバの作った壁は厚く、魔法で強化されていた。

自分の体重と加速で魔物は壁に押しつぶされるようにぶつかり呆気なくその場に倒れた。

「へっ……」

男性はその様子にヘロヘロっとその場に座り込んだ。

「大丈夫ですか?うちの子がやつけてくれたから大丈夫ですよ」

「あっ……でもこれって……」

男性は魔物を恐る恐る指さす。

「A級の魔物のテリブルベアーじゃ……」

「へー!あれって熊だったんだ」

牙が生えてるから猪かと思った。

私の関心した様子に男性は黙ってしまった。

「じゃとりあえず収納してギルドに報告しようか」

私はシルバがやつけた魔物を収納にしまう、程なくシンクも戻ってきたのでそろそろ町に帰ることにした。

「お兄さんはどうします。一緒に町に行きますか?」

私が声をかけるとブンブンと首を横に振った。

「お、俺は!いや私はまだ行くところがあるので……」

「そうですか?もし町に来たら案内しますのでギルドにでも声掛けてくださいね」

「君……名前は?」

「Fランク冒険者のミヅキです」

「F……」

男性はゴクリと生唾を飲むとゆっくり頷いた。

男性と別れて町に向かっていると遠くから声をかけられた。

「ミヅキー!」

「ん?ベイカーさん」

聞き覚えのある声に振り返るとベイカーさんが数人の冒険者と町に向かって歩いていた。

「あれ?もう帰ってきたの?」

依頼で遠くの町に言っているはずなのにもう帰ってきたことに疑問に思う。

「それがセバスさんがなんか依頼に違和感を感じるって言ってな、少し早めに行って依頼の確認をしてきたんだ」

「それで?」

「そんな依頼はないって言われてな、他の奴らも同様で早めに町に帰ることにしたんだ。町はどうだ?変わった様子はないか?」

「んー、みんな居なくて静かだけど変わった様子もないよ。私もさっきまで依頼にいってて今帰るところ」

私達は少し急いで町に戻るが町は朝と同じように静かだった。

「みんなは町を回ってなにかないか確認してくれ、俺はミヅキとギルドに報告に行く」

「「「はい」」」

私達は別れて様子を確認することになった。しかし町は静かなだけで変わった様子はなかった。

ギルドも架空依頼が大量にきたくらいで他に被害はなかった。

「いったいなんの嫌がらせなんだ?」

ベイカーさん達は不思議な様子に首を傾げる。

「まぁ町に被害もなかったんなら良かったね」

「そうだな」

私が笑うとベイカーさんも肩の力が抜けたように笑う。

「それでミヅキはどんな依頼だったんだ?」

「私はキノコ採取だよ!  あっでも魔物にあったからシルバが狩ってくれた」

「へーなんの魔物だ?」

私は熊の魔物を出した。

「これ……」

その魔物をみてベイカーさん達冒険者があんぐりと口をあける。

「すごいよねー」

私が笑うとベイカーさんはなにか言おうとしてその言葉を飲み込んだ。

「ミヅキだもんな……」

ベイカーさんの言葉に他の人たちも苦笑いする。

私が何さ!

「まぁいいや、ギルドに提出して家に帰ろうぜ、なんか今日は疲れたよ。飯食って帰ろう」

ベイカーさんがご飯屋に行こうと言うが私は今市場も人がほとんど居なくて食べ物屋もやってないと言うとショックで膝をつく。

他の冒険者も急にお腹が空いたのかガクッと肩を落とした。

「あっ!じゃあこの魔物でバーベキューしようよ!」

私は先程の魔物をチラッと見せた。

「食えるのか!?」

「うん、さっき鑑定で確認した!」

私はこっそりとベイカーさんにウインクする。

「でかした!よし俺が捌いてやる、みんなも手伝えば少しなら食わしてやるぞ」

「「「やったー!」」」

ベイカーさんの指示の元あっという間に捌かれた魔物は捌く時間よりも短い間にみんなの胃袋へと収まっていった。

満腹で家に帰る私達は変な依頼のことなどすっかりと忘れていた。


その頃……

「た、大変だ!この町はまずい」

男はFランクのテイマーと別れたあと仲間の元に向かっていた。

A級の魔物をいとも簡単に倒す魔獣を連れた子供……それでもFランクだと言う。
あそこの町ではBランクでも化け物級なのかもしれない……

ここは今は手を出すべきではない。
もっと入念に計画を立ててから……

俺は仲間を呼び出しすぐに町から離れようと考えていた。

ようやく集合場所に近づくと何やら様子がおかしい。
いつもなら見張りが何人かいるはずなのに誰とも会わないのだ。

木や草でカモフラージュされた隠れ家に飛び込むとそこには床に倒れ込む仲間がいた。

そして部屋の真ん中には仲間を冷ややかな瞳で見下ろす男が椅子に腰掛けていた。

「誰だ」

俺は警戒して武器を掴む。

「おかえりなさい、あなたで最後のようです」

その男はスっと立ち上がるとニコッと笑う……その笑みは黒く背筋が寒くなった。
一旦逃げよう、そう思い足を動かした瞬間に男は首に激痛が走り意識を手放した。




私は例の熊肉を持って再びギルドを訪れていた。

「セバスさんいますか?」

冒険者の人からセバスさんも戻ってきたと聞き、取っておいた肉を使った料理を差し入れに渡そうとギルドに顔を出したのだ。

「セバスさん、いますか?」

「ミヅキさん」

セバスさんは忙しそうに職員と話していたのに私に気がつくと話を中断してこちらに歩いてきた。

「聞きましたよ、依頼の途中で魔物にあったとか……怪我はないですか?」

心配そうに私の姿を確認する。

「大丈夫です。シルバ達がいますから」

怪我はないと力こぶを作って見せた。

「そうですね」

セバスさんは納得したように笑い私の頭に手を置いた。

「それでも無理はしないで下さいね」

「はい!あっあとその魔物のお肉で料理を作りました。良かったらお仕事の合間に皆さんで食べて下さいね」

私は料理をセバスさんに押付けるとお仕事の邪魔にならないように早々に帰ることにした。

「んー、セバスさんいい匂いですね!」

職員が目ざとくミヅキさんの持ってきた料理に気がついた。

「皆さんに……とのことですから後で頂きましょう」

「やった!そうと分かればさっさとこの仕事終わらせましょう。えっと後はこれですね」

職員が書類を手に取りため息をつく。

「何考えてたんですかね。架空の依頼なんて本当にいい迷惑だ」

これまでの架空依頼をした男達をセバスは捕まえていたのだ。

「全くです。まぁ被害が無くて良かったですが……」

セバスは窓辺によると外をかけるミヅキの後ろ姿を見つめてにっこりと笑った。

「さて、尋問をさっさと終わらせてミヅキさんからの食事を頂きましょうかね」




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