貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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155.バルトとジュリア

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「す、すみません…キャシー様が眩しくて…それにその獣が気になってローズさんに気が付かず…ローズさん今日はよろしくね…」

ジュリアが素っ気なく挨拶を返すとバルトを見つめて

「ところでこんなところに獣を連れてこられたら困るのだけど…部屋に閉じ込めるか檻に入れておくかしといていただけるかしら…」

迷惑そうにすると

「あら、ジュリアさん酷い事をおっしゃるわ。こんなに可愛らしい子なのに、毛並みも綺麗で触りたくなりません?」

そう言われてジュリアはバルトに近づくと

「シャー!」

バルトがそれ以上近づくなと威嚇する!

「きゃ!や、やっぱり野蛮な獣だわ!」

ジュリアが逃げると

「こら!バルト!すみませんジュリア様決して噛み付いたりはしないので…」

「嘘よ!絶対に噛み付こうとしていたわ!」

ジュリアが騒ぐと…

「そうかしら?」

キャシーがバルトの頭に手を近づける…

「キャシー様!危ないですよ」

ジュリアが声をかけるがキャシーは構わずにバルトを撫でると

ーゴロゴロ…

喉を鳴らしながらキャシーの手に擦り寄るように甘えている。

「か、可愛いわ…」

キャシーが思わずつぶやくと、他の令嬢達も気になり近づいてきた。

「ロ、ローズさん…私も触らせて頂いてもいいですか?」

思い切って声をかけてくる。

「バルトいいかな?」

ローズがバルトに聞くと、仕方なさそうに頭を差し出した。

令嬢は恐る恐るバルトに触ると…

「すごい…上質なベルベットの生地ののような毛並みです!気持ちいい…」

令嬢は頬を赤らめ満足そうに撫でると

「ありがとうございます」

バルトとローズに礼を言う。

「あの!私も!」

「あっ!ずるい、ローズ様私もいいでしょうか?」

次から次へと触りたいと集まってくる!

バルトは大人しく触られていると…

「ずっと触って見たかったんです!思った通りすべすべですね!可愛い!」

令嬢達は一撫ですると満足そうに顔を綻ばせてバルトの素晴らしい毛並みについて語り合っている。

「この毛並みはちょっとお目にかかれないですね!」

「本当に気持ちよかったわ!ローズさんありがとうございます」

バルトが褒められて悪い気しないローズは笑顔を返す…しかし心配そうにバルトを見ると

「バルト…ごめんね。そんなに触られるの好きじゃないのに…」

ローズがそっと撫でると

(ローズの為ならな…)

ふっと軽く笑うとローズの肩に乗って髪に隠れると…

「な、なんで私だけ…」

ジュリアが悔しそうに睨んでいる!

「皆さんが触れるのに私だけってどういう事ですか!」

ジュリアが触ろうと手を伸ばすと…

「シャー!」

やはりバルトはジュリアにだけ威嚇をする…

ークスクス…

令嬢達が思わず笑うと…

「ほ、ほら失礼よ、笑ったりしたら」

「だ、だって…ジュリア様だけ威嚇って…」

笑っているとジュリアがキッと睨みをきかせる!

「あ、では…これで」

「失礼致します」

令嬢達はそそくさと自分の席に戻っていった…ジュリアは悔しそうにバルトを睨みつけた!
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