貧乏領主の娘は王都でみんなを幸せにします

三園 七詩

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213.失態

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スチュアートとカイルが兵士達に近づくと…尋問室の扉が開き見たくない顔が姿をあらわした…

「これは、これは。カイル様にスチュアート…何故あなた達がこんな所に?」

ボストン大臣は笑いながら部屋へと入ってくると、中の惨状に顔をしかめる…

「これは…聞いてはいたが酷い有様だ…」

まるで初めて見たかの様に部屋を見回すと…

「何しらばっくれている!この男をここに連れてきたのは大臣だと聞いているぞ!」

カイルが怒鳴ると

「確かに私の私兵達に連れてこさせました。こいつらは斥候の疑いがあったので尋問させましたがどうやら斥候では無いようです」

やれやれとボストン大臣がため息をつくと

「ただの街のゴロツキでした…しかしここ最近城下で悪さを働き手配書が出てましたのでその罪も一緒に償わせようとしていたところ…」

チラッと死体を見つめると…

「兵士達の隙をついて自分の首を切ったそうです…全くもって申し訳ない…この件は私の私兵達の失態です」

ボストンがまゆを潜めて謝罪する。

「この事は後で必ず報告致します…がカイル様達は一体その男になんの用があったのですか?」

「…この男には婚約者候補のご令嬢の誘拐の容疑がかかっていた…」

「なんと!だから自害したのかもしれませんね…いや、なんて事だ、それがわかっていればもっと厳重に拘束していたものの…」

ボストン大臣が頭を押さえる。

「お前たち何かその事について聞いてないのか?」

ボストン大臣が兵士達に声をかけると

「申し訳ありません…何も…話を聞く前に…」

兵士達は顔を下げた。

ダンッ!

するとまた誰かが尋問室の扉を乱暴に開けた!

ガンッ!

扉のそばに立っていた大臣が思いっきり扉にぶつかると前につんのめる。

「だ、誰だ!」

頭を押さえて扉からきた人物を睨みつけるとそこには慌てた様子のロイ王子が立っていた…

前に倒れる大臣を睨みつけると…

「これはどういう事だ?」

冷たく言い放った。

「これは…ロイ王子…王子ならもう少し品よく扉を開けてもらいたいですね…」

ブツブツとつぶやくと

「それは悪かった。こんな扉のすぐ近くに立っているとは思わなくてな!」

ロイがバタンッ!と嫌味っぽく扉を再び閉めると

「この有様はなんだ?誘拐犯を尋問中だと聞いたが…まさか殺したのか?」

ロイとカイルがボストン大臣を睨みつける。

「殺した…とは…その様な言い方はどうかと…この者は隙を見て自害致しました」

「同じ事だ、殺したんだろ?それも二度も!尋問する前に死なせるなどボストン大臣の私兵は余程無能だな!これからボストン大臣の私兵には尋問の類は一切禁止とする!また殺されてはかなわんからな…」

ロイが兵士達を睨みつけると…

「グッ…」

大臣が奥歯を噛み締める…

「カイル、その遺体を回収してくれ。こちらで解剖する…残りの残党はカールが回収してくれたそうだ。一緒にそっちの尋問も始めるぞ」

ロイがカイルに言うと

「残党…」

ボストンが顔をあげてロイ王子を見た。

「ああ、もうあなたの私兵達は尋問はできないからな、ここにいては邪魔だ。さっさと斥候でも見つけに王宮から出て行ってくれ」

ロイはそういうとカイルとスチュアートと共に部屋を出ていった。
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