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追加#ある執事の業務報告書。
しおりを挟むそれにしても未来の奥様の思い間違いと言いますと。とても可愛らしいもので、訂正するのは心苦しかったのですが。
聞くは一時の恥、聞かぬは一生の恥と申します。
これが旦那様であれば、男子は恥をかいて乗り越えてこそ一人前の紳士となるので、そのままにしているのも楽し……いや、獅子は我が子を千尋の谷に突き落とすと申します。旦那様が立派になるためには、致し方ない通過点なのです。
最近はそのような一般常識での勘違いは無くなってしまったので、可愛げがな……そうそうこの格言、獅子が住むような草原には谷などどこにあるのかと思ったことが有りましたが。よくよく調べてみると、獅子とは伝説の霊獣のことだそうで、麒麟と同じような間違いですね。
……と、つい脱線してしまいました。
流石はコルネーリア様です。
指摘されたと開き直ったり、誤魔化したり……私に八つ当たりなどもせず。落ち込みはしましたが、すぐさま屋敷の皆に謝罪しにいくという、立派な行いをされました。
上に立つ者、下の者には立派な立ち振る舞いを求められます。そうでなければいけません。
あ、そうそう、「ひつじ」はいいのです。
ある意味親愛の証のあだ名だと自負しておりますので。
――そういえば、旦那様はお菓子を買い込んでおられましたね、甘いものはお好きではないのに。後日、ゴミ箱の中で何も口をつけずに捨てられていたものを発見した時には、苦言を申し上げさせていただきました。
王都一の有名店の包装。
菓子職人が、腕によりをかけて作られた一品を、ゴミ箱に直行させるなどという行為は、流石に褒められたものではないのです。
旦那様の名誉のため……というよりは、少し素直になるために努力していただかないと、これから本当にお嬢様を奥様にお迎えした時に、よりよい夫婦生活が送れそうにもないのには困ったものです。
婚約者という立場に甘えていては話になりません。
旦那様よりもお嬢様に年の近い、ベンを敵視している場合ではないと思うのですが。
……という訳で、私はこの件に関しては口を噤ませていただく所存でございます。
応援ありがとうございます!
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