四季の姫巫女(完結)

襟川竜

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第参幕 霊具

第七話

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「れいぐ、れいぐ…」
秋桜館の庭を掃除しながら、冬は呪文のように口にする。
手を動かしつつも周囲に視線を向けて「れいぐ」を探す。
だが、そもそも「れいぐ」がわからない。
『それ、なんの呪文なの?』
「うーん…。わからない」
『わからないの?』
「うん」
頷けば、幽霊のお姉さんは苦笑を浮かべた。
「ねえ、お姉さんは『れいぐ』って何か知ってる?」
『私がいた時代には「れいぐ」なんていう言葉はなかったから』
「そっか…」
やっぱり自力で見つけるしかないみたい。
宿祢は迦楼羅丸様との修行に行っちゃったし、与えられたメニューの中には「れいぐ」の文字はない。
突然わたしが「れいぐ」について聞いたら、ことり様は不審に思うかも。
そうしたら弥生様に迷惑がかかるだろうし…。
うーん、どうしたらいいんだろう。
「れいぐ、れいぐ…」
『もう…』
ちらちらと雪が降ってきた事もあって、わたしは庭の掃除を切り上げる。
かき集めた落ち葉をゴミ袋に入れてゴミ庫へ。
その途中で道場を通り過ぎた。
「ん?」
微かに開いていた戸の隙間。
その間から見えたのは、二人の姫巫女。
あれは確か…啼々星ななほし初枝はつえ様と妹の絹枝きぬえ様だ。
二人とも修業かな?
向き合い、お互いに薙刀を打ち合っている。
でも、なんだろう、何かがおかしい。
練習用の薙刀とは違って、なんか、白いような…。
確かに室内に光は入っているけれど、木製の薙刀が白く光るはずがない。
けれど二人が持っている薙刀は確かに白く光っている。
これって、どういう事なんだろう…?
『あら?あれは…』
「知ってるの?」
『霊力を目に見えるように具現化している…のかしら?』
「具現化?霊力を?」
『ええ。あの二人が放つ霊力と、それぞれが手にしている武具の波長が同じなのよ。だから、多分だけれど、霊力を具現化し、それを武具にしているのではないかしら』
「そんな事できるの?」
『私はやった事がないけれど、弟が出来たのよ。迦楼羅だって、妖力で刀を作れるでしょう』
「確かに…」
そういわれれば、迦楼羅丸様は妖力を刀の形にしていたっけ。
…どうやっているのかはわからないけれど。
『ねえ、冬。もしかして』
「うん。もしかしてあれが『れいぐ』…」
『まだ断定はできないけれど、可能性は高いわね』
「他にもやっている人達がいるかもしれない。もっと見てみなくちゃ」
お姉さんと頷き合い、まずはゴミ庫へ。
その間も周囲を見回してれいぐを使用している人がいないか探す。
戸や窓の隙間から鍛錬場を覗くけれど、座禅や瞑想など、なかなかれいぐを使っている人がいない。
そう簡単にはいかないって事だね。
よーし、がぜんやる気が出てきたよっ。
絶対にれいぐが何かを突き止めて、使えるようになるんだから。
待っていてくださいね、弥生さん。
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