63 / 103
第四幕 愉比拿蛇
第二話
しおりを挟む
「ところで、なぜ泰時殿と誠士郎殿があのような場所に居たのでござるか?」
「は!そういわれれば!というか、なんで秋ちゃんもここにいるの?」
「私は冬さんに用事がありまして。泰時君は『散歩のついで』だそうです」
「僕はお二人をお迎えに」
そういうと秋ちゃんはすっと立ち上がって部屋を出て行った。
お台所の場所を聞かれたから、たぶんお茶を淹れに行ったんだと思う。
わたしは誠士郎様に促されてソファに座る。
泰時様は誠士郎様の隣に移動した。
西洋風の造りになっている客間は、ちょっと落ち着かない。
いつも座布団に正座だったから、椅子にはまだ座り慣れないのよね。
わたしの右斜め後ろに宿祢が立ち、どうせ見えないからと幽霊のお姉さんが左隣に座った。
迦楼羅丸様は腕を組んで壁に寄りかかっている。
「冬さん、封印の勾玉に霊力を注ぐ『注魂の儀式』はご存知ですか?」
「はい、たしか『愉比拿蛇を封印している勾玉に姫巫女達が霊力を注いで封印を強化する儀式』ですよね」
「よく御存じですね」
「結依ちゃ…女中仲間に教えてもらったんです。彼女、姫巫女に憧れていたので」
「そうでしたか」
「それで、その儀式がどうされたのですか?」
「予定よりも早く、二週間後に行われる事になりまして」
「そうなんですか…。それじゃあ、ことり様達お忙しくなるんですね」
「冬さんにも参加していただきますよ」
「はい、わかりま……はい?」
ごく自然な流れで言われて普通に返事しそうになったけど、今のは爆弾発言というやつだと思うの。
あまりにもびっくりしすぎて間抜けな声で聞き返しちゃったよ。
「え?それって、どういう…?」
「だから、お前も儀式に参加するんだ」
「え?……ええええええええ!?」
「なんだかよくわからぬが、凄い事なのでござるか?」
「すすす凄いなんてものじゃないよ!ままま…まだ見習いのわたしが参加できるものじゃないんだから!」
「ということは、冬殿が認められたという事でござるな」
「なんで宿祢はそう解釈するの!」
「違うのでござるか?」
「違いませんよ」
「ま、待ってください誠士郎様!」
わたしだけ状況が飲み込めずに混乱状態。
一度落ち着くべきなんだろうけれど、どうやって落ち着いたらいいのよ。
驚きすぎてなんだか目が回ってきちゃったよ。
『冬、落ち着いて。ちゃんと話を聞かないと』
「そそそそんな事言われても…」
完全にパニック状態でどうしたらいいのかわからない。
そこにタイミングよくお茶を淹れた秋ちゃんが戻ってきた。
「あああ秋ちゃん、どうしたらいいのかなっ」
「お茶でも飲んでみたら?」
「う、うん」
ぬるめに淹れてくれたみたいで、わたしはお茶を一気に飲み干した。
ぷはぁ、と息をつく。
はしたないとは思ったけど、おかげで少し落ち着いた。
使用人として控えようとしていた秋ちゃんを無理やり右隣に座らせて、わたしは誠士郎様に向き直る。
だって、秋ちゃんが傍にいてくれると心強いんだもん。
「封印の勾玉に霊力を注ぐのはしきたり通りに現在の姫神啼々弤ことり様にお願いします。彼女のサポート役に姫守の啼々郡美園様と啼々樰月子様、そして弥生が付きます。その時に外部からの邪魔が入らぬように里に結界を張るのですが、その結界の核となる石柱を守る役目が必要なのです」
「早い話が、その石柱を守る役目にお前が選ばれたという事だ」
「な、なるほど……え?」
「『え?』じゃない。何度も同じ事を言わせるつもりか」
「そ、そういうつもりは…。あの、でもなんでわたしが?わたしはたった今霊具を覚えた身で、しかも見習いですよ?そんな大事な役目なら、もっと相応しい人達がいるはずです」
「私も今年初めて参加しますので勝手はわかりませんが、どうやら封印が相当弱まっているようです。それでいつもよりも儀式を早く執り行う事にしたのですが…。姫巫女達は阿薙火国内を仕事で飛び回っていまして、二週間後の儀式に間に合わなそうなのです。それで、今いる人員で何とかしなければなりません」
「でも、わたしよりも優れた方達はまだいますよね」
「先程も言いましたが、封印が弱まっていて何が起きるのかわかりません。もしも封印のほころびから愉比拿蛇の手の者が溢れ出た場合、応戦する為の戦力が必要になります」
「つまり、優秀な姫巫女達は極力勾玉の近くに配備したいって事ですね」
「そういう事です。もちろん石柱も大事ですので、こちらにも何かあった時に対処できる戦力が必要になります」
「わたしにそんな戦力は…」
「安心しろ、父上達はお前を戦力とは見ていない」
「え?なら、どうしてですか?」
「私が推薦したんですよ。皆様反発されましたが、勾玉から一番遠い場所に設置されている石柱なら任せてもいいそうです」
「す、推薦!?」
「はい」
にっこりと笑う誠士郎様からは悪意など一切感じない。
やれやれという表情を浮かべた泰時様からして、誠士郎様はわたしなら本当にできると思って推薦したみたい。
期待を裏切るようで悪いけれど、わたしには絶対無理だって断言できるわ。
「一番遠い場所ならばあまり危険もないでしょうし、冬さんには迦楼羅丸様も付いていますから、きっと大丈夫ですよ。霊具もちゃんと身につけてくださいましたしね」
確かに迦楼羅丸様がいれば大丈夫だろうけど…。
ちらりと迦楼羅丸様に視線を向ければ、彼は腕を組んだまま黙ってこちらを見ていた。
凄く苛立っているみたいで、怒気がわたしにもわかってしまう。
それもそうだよね。
だって、愉比拿蛇は迦楼羅丸様のパートナー『啼々紫』様を殺した相手だもの。
迦楼羅丸様だって愉比拿蛇に岩に封じ込められちゃったわけだし。
『愉比拿蛇には、関わらないでほしい』
「お姉さん?」
『でも、そういう訳にはいかないのよね』
「え?お姉さん、どこ行くの?」
わたしの声が聞こえていないのか、膝の上で手を握りしめたかと思うと、お姉さんは急に立ち上がって壁をすり抜けてどこかに行ってしまった。
なんか、思いつめたような顔してたけど、どうしちゃったのかな?
「お姉さん殿がどうかなされたのでござるか?」
「よくわからない。どこかに行っちゃった」
「冬、今は話の続きを聞こう」
「うん、そうだね」
お姉さんの事は気になるけれど、今はまず話を聞くのが先だよね。
わたしの公式姫巫女初仕事になるわけだし。
秋ちゃんに促され、わたしは再度誠士郎様に向き直った。
「は!そういわれれば!というか、なんで秋ちゃんもここにいるの?」
「私は冬さんに用事がありまして。泰時君は『散歩のついで』だそうです」
「僕はお二人をお迎えに」
そういうと秋ちゃんはすっと立ち上がって部屋を出て行った。
お台所の場所を聞かれたから、たぶんお茶を淹れに行ったんだと思う。
わたしは誠士郎様に促されてソファに座る。
泰時様は誠士郎様の隣に移動した。
西洋風の造りになっている客間は、ちょっと落ち着かない。
いつも座布団に正座だったから、椅子にはまだ座り慣れないのよね。
わたしの右斜め後ろに宿祢が立ち、どうせ見えないからと幽霊のお姉さんが左隣に座った。
迦楼羅丸様は腕を組んで壁に寄りかかっている。
「冬さん、封印の勾玉に霊力を注ぐ『注魂の儀式』はご存知ですか?」
「はい、たしか『愉比拿蛇を封印している勾玉に姫巫女達が霊力を注いで封印を強化する儀式』ですよね」
「よく御存じですね」
「結依ちゃ…女中仲間に教えてもらったんです。彼女、姫巫女に憧れていたので」
「そうでしたか」
「それで、その儀式がどうされたのですか?」
「予定よりも早く、二週間後に行われる事になりまして」
「そうなんですか…。それじゃあ、ことり様達お忙しくなるんですね」
「冬さんにも参加していただきますよ」
「はい、わかりま……はい?」
ごく自然な流れで言われて普通に返事しそうになったけど、今のは爆弾発言というやつだと思うの。
あまりにもびっくりしすぎて間抜けな声で聞き返しちゃったよ。
「え?それって、どういう…?」
「だから、お前も儀式に参加するんだ」
「え?……ええええええええ!?」
「なんだかよくわからぬが、凄い事なのでござるか?」
「すすす凄いなんてものじゃないよ!ままま…まだ見習いのわたしが参加できるものじゃないんだから!」
「ということは、冬殿が認められたという事でござるな」
「なんで宿祢はそう解釈するの!」
「違うのでござるか?」
「違いませんよ」
「ま、待ってください誠士郎様!」
わたしだけ状況が飲み込めずに混乱状態。
一度落ち着くべきなんだろうけれど、どうやって落ち着いたらいいのよ。
驚きすぎてなんだか目が回ってきちゃったよ。
『冬、落ち着いて。ちゃんと話を聞かないと』
「そそそそんな事言われても…」
完全にパニック状態でどうしたらいいのかわからない。
そこにタイミングよくお茶を淹れた秋ちゃんが戻ってきた。
「あああ秋ちゃん、どうしたらいいのかなっ」
「お茶でも飲んでみたら?」
「う、うん」
ぬるめに淹れてくれたみたいで、わたしはお茶を一気に飲み干した。
ぷはぁ、と息をつく。
はしたないとは思ったけど、おかげで少し落ち着いた。
使用人として控えようとしていた秋ちゃんを無理やり右隣に座らせて、わたしは誠士郎様に向き直る。
だって、秋ちゃんが傍にいてくれると心強いんだもん。
「封印の勾玉に霊力を注ぐのはしきたり通りに現在の姫神啼々弤ことり様にお願いします。彼女のサポート役に姫守の啼々郡美園様と啼々樰月子様、そして弥生が付きます。その時に外部からの邪魔が入らぬように里に結界を張るのですが、その結界の核となる石柱を守る役目が必要なのです」
「早い話が、その石柱を守る役目にお前が選ばれたという事だ」
「な、なるほど……え?」
「『え?』じゃない。何度も同じ事を言わせるつもりか」
「そ、そういうつもりは…。あの、でもなんでわたしが?わたしはたった今霊具を覚えた身で、しかも見習いですよ?そんな大事な役目なら、もっと相応しい人達がいるはずです」
「私も今年初めて参加しますので勝手はわかりませんが、どうやら封印が相当弱まっているようです。それでいつもよりも儀式を早く執り行う事にしたのですが…。姫巫女達は阿薙火国内を仕事で飛び回っていまして、二週間後の儀式に間に合わなそうなのです。それで、今いる人員で何とかしなければなりません」
「でも、わたしよりも優れた方達はまだいますよね」
「先程も言いましたが、封印が弱まっていて何が起きるのかわかりません。もしも封印のほころびから愉比拿蛇の手の者が溢れ出た場合、応戦する為の戦力が必要になります」
「つまり、優秀な姫巫女達は極力勾玉の近くに配備したいって事ですね」
「そういう事です。もちろん石柱も大事ですので、こちらにも何かあった時に対処できる戦力が必要になります」
「わたしにそんな戦力は…」
「安心しろ、父上達はお前を戦力とは見ていない」
「え?なら、どうしてですか?」
「私が推薦したんですよ。皆様反発されましたが、勾玉から一番遠い場所に設置されている石柱なら任せてもいいそうです」
「す、推薦!?」
「はい」
にっこりと笑う誠士郎様からは悪意など一切感じない。
やれやれという表情を浮かべた泰時様からして、誠士郎様はわたしなら本当にできると思って推薦したみたい。
期待を裏切るようで悪いけれど、わたしには絶対無理だって断言できるわ。
「一番遠い場所ならばあまり危険もないでしょうし、冬さんには迦楼羅丸様も付いていますから、きっと大丈夫ですよ。霊具もちゃんと身につけてくださいましたしね」
確かに迦楼羅丸様がいれば大丈夫だろうけど…。
ちらりと迦楼羅丸様に視線を向ければ、彼は腕を組んだまま黙ってこちらを見ていた。
凄く苛立っているみたいで、怒気がわたしにもわかってしまう。
それもそうだよね。
だって、愉比拿蛇は迦楼羅丸様のパートナー『啼々紫』様を殺した相手だもの。
迦楼羅丸様だって愉比拿蛇に岩に封じ込められちゃったわけだし。
『愉比拿蛇には、関わらないでほしい』
「お姉さん?」
『でも、そういう訳にはいかないのよね』
「え?お姉さん、どこ行くの?」
わたしの声が聞こえていないのか、膝の上で手を握りしめたかと思うと、お姉さんは急に立ち上がって壁をすり抜けてどこかに行ってしまった。
なんか、思いつめたような顔してたけど、どうしちゃったのかな?
「お姉さん殿がどうかなされたのでござるか?」
「よくわからない。どこかに行っちゃった」
「冬、今は話の続きを聞こう」
「うん、そうだね」
お姉さんの事は気になるけれど、今はまず話を聞くのが先だよね。
わたしの公式姫巫女初仕事になるわけだし。
秋ちゃんに促され、わたしは再度誠士郎様に向き直った。
0
あなたにおすすめの小説
私と母のサバイバル
だましだまし
ファンタジー
侯爵家の庶子だが唯一の直系の子として育てられた令嬢シェリー。
しかしある日、母と共に魔物が出る森に捨てられてしまった。
希望を諦めず森を進もう。
そう決意するシェリーに異変が起きた。
「私、別世界の前世があるみたい」
前世の知識を駆使し、二人は無事森を抜けられるのだろうか…?
🥕おしどり夫婦として12年間の結婚生活を過ごしてきたが一波乱あり、妻は夫を誰かに譲りたくなるのだった。
設楽理沙
ライト文芸
2026.1.4 73話見直した際、瑛士の台詞《本音/懺悔》を加筆しました。😇
☘ 累計ポイント/ 200万pt 超えました。ありがとうございます。
―― 備忘録 ――
第8回ライト文芸大賞では大賞2位ではじまり2位で終了。 最高 57,392 pt
〃 24h/pt-1位ではじまり2位で終了。 最高 89,034 pt
◇ ◇ ◇ ◇
紳士的でいつだって私や私の両親にやさしくしてくれる
素敵な旦那さま・・だと思ってきたのに。
隠された夫の一面を知った日から、眞奈の苦悩が
始まる。
苦しくて、悲しくてもののすごく惨めで・・
消えてしまいたいと思う眞奈は小さな子供のように
大きな声で泣いた。
泣きながらも、よろけながらも、気がつけば
大地をしっかりと踏みしめていた。
そう、立ち止まってなんていられない。
☆-★-☆-★+☆-★-☆-★+☆-★-☆-★
2025.4.19☑~
遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。
沼野 花
恋愛
【3月中――完結!】
積み上がった伏線の回収目前!!
夫にも子どもにも、私は選ばれなかった。
長年の裏切りを抱え、離縁状を置いて家を出た――。
待っていたのは、凍てつく絶望。
けれど同時に、それは残酷な運命の扉が開く瞬間でもあった。
「夫は愛人と生きればいい。
今さら縋られても、裏切ったあなたを許す力など残っていない」
それでも私は誓う――
「子どもたちの心だけは、必ず取り戻す」
歪で、完全な幸福――それとも、破滅。
“石”に翻弄された者たちの、狂おしい物語。
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
生きるために逃げだした。幸せになりたい。
白水緑
ファンタジー
屋敷内に軟禁状態だったリリアは、宝物を取り戻したことをきっかけに屋敷から逃げ出した。幸せになるために。体力も力もない。成り行きに身を任せる結果になっても、自分の道は自分で選びたい。
2020/9/19 第一章終了
続きが書け次第また連載再開します。
2021/2/14 第二章開幕
2021/2/28 完結
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
つまらない妃と呼ばれた日
柴田はつみ
恋愛
公爵令嬢リーシャは政略結婚で王妃に迎えられる。だが国王レオニスの隣には、幼馴染のセレスが“当然”のように立っていた。祝宴の夜、リーシャは国王が「つまらない妃だ」と語る声を聞いてしまい、心を閉ざす。
舞踏会で差し出された手を取らず、王弟アドリアンの助けで踊ったことで、噂は一気に燃え上がる――「王妃は王弟と」「国王の本命は幼馴染」と。
さらに宰相は儀礼と世論を操り、王妃を孤立させる策略を進める。監視の影、届かない贈り物、すり替えられた言葉、そして“白薔薇の香”が事件現場に残る冤罪の罠。
リーシャは微笑を鎧に「今日から、王の隣に立たない」と決めるが、距離を取るほど誤解は確定し、王宮は二人を引き裂いていく。
――つまらない妃とは、いったい誰が作ったのか。真実が露わになった時、失われた“隣”は戻るのか。
幽閉王女と指輪の精霊~嫁いだら幽閉された!餓死する前に脱出したい!~
二階堂吉乃
恋愛
同盟国へ嫁いだヴァイオレット姫。夫である王太子は初夜に現れなかった。たった1人幽閉される姫。やがて貧しい食事すら届かなくなる。長い幽閉の末、死にかけた彼女を救ったのは、家宝の指輪だった。
1年後。同盟国を訪れたヴァイオレットの従兄が彼女を発見する。忘れられた牢獄には姫のミイラがあった。激怒した従兄は同盟を破棄してしまう。
一方、下町に代書業で身を立てる美少女がいた。ヴィーと名を偽ったヴァイオレットは指輪の精霊と助けあいながら暮らしていた。そこへ元夫?である王太子が視察に来る。彼は下町を案内してくれたヴィーに恋をしてしまう…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる