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第3章 魔王退治に魔王が同行するってどういう事?
その14
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巨大なバラの花びらがひらひらと地面に落ちると、そこから薔薇ダルマが生まれた。
確かに、あの巨大な薔薇をなんとかしないとキリがなさそうだわ。
街中に自由に散らばっていた薔薇ダルマ達は、何かを察したのか中央の巨大な薔薇へと集まり始めた。
オルレンシアさんは胸元の通信機(通信石?)を使って指示を出していく。
一体でも多くの薔薇ダルマを巨大薔薇から遠ざけないと、ゾイドさんの魔法が成功しない。
私はゼロさんの助けを借りながらゾウさんで浄化を続ける。
だけど、さっきからなんだか息苦しい。
ゾウさんが疲れるのはわかるけど、なんで私までこんなに疲れてきているのかしら。
「ヤヤコくん、魔力の使いすぎじゃ。少し休んだ方がよい」
「だ、大丈夫です…」
魔力というのがどういうものなのかイマイチわからないけれど、この疲労感は魔法の使いすぎって事なのね。
別にゾウさんを大量に召喚している訳でもないのに疲れるということは、維持しているだけでも魔力を消費していたという事なのかしら。
持久走でもしているかのような疲労感に、なんとなくだけれど今休んだらもう立ち上がれないような気がする。
ほら、あれってゴールで止まるともう動けなくなっちゃうじゃない。
なんだかあんな感じ。
魔法のいい使い方、後でゼロさんに教えてもらおうっと。
どれくらい時間稼ぎをしていたのかはわからないけれど、足元を光る線が走った。
へろへろの私を抱えてゼロさんが距離を取る。
光る線から光が立ち上がり、巨大薔薇を包み込んだ。
大きな魔法陣、これが例の『こうふじん』なのね。
魔法陣の中に炎の渦が現れ、巨大薔薇を焼き始めた。
まるで炎で出来た龍が踊っているかのよう。
それ程熱さは感じないけれど、この量の炎は怖さを感じるには十分だった。
降り注いでいた花びらや薔薇ダルマ達は次々燃えて崩れていき、巨大薔薇も徐々に崩れ始める。
巨大薔薇が完全に灰になった頃には、空はすっかり明るくなっていた。
「どうやら、完全に沈黙したようじゃな。不幸の感情も感じん。一件落着というやつじゃの」
「よかった…」
安心したら、なんだか急に体の力が抜けちゃった。
目の前も…なんだかすごく……くら…い……。
※ ※ ※
「事後処理が済んだら事情を…って、なんですの、それ。もしかして眠っておりますの?」
通信機でテキパキと指示を出しつつ夜々子達の元へやって来たオルレンシアは、ゼロにもたれ掛かるようにして眠る夜々子に頬を引きつらせた。
「一応役には立ったのだ、多めに見てやってはもらえんだろうか」
苦笑するゼロにオルレンシアははぁ、とため息をつく。
「人手が足りませんの。ゼロ、貴方も手伝いなさい。事情もじっくり聞かせていただきますわよ」
「もちろん」
「その役立たずはその辺にでも置いておきなさい」
「はは…」
夜々子を邪魔にならない場所に寝かせ、ゼロは瓦礫の撤去作業に加わった。
確かに、あの巨大な薔薇をなんとかしないとキリがなさそうだわ。
街中に自由に散らばっていた薔薇ダルマ達は、何かを察したのか中央の巨大な薔薇へと集まり始めた。
オルレンシアさんは胸元の通信機(通信石?)を使って指示を出していく。
一体でも多くの薔薇ダルマを巨大薔薇から遠ざけないと、ゾイドさんの魔法が成功しない。
私はゼロさんの助けを借りながらゾウさんで浄化を続ける。
だけど、さっきからなんだか息苦しい。
ゾウさんが疲れるのはわかるけど、なんで私までこんなに疲れてきているのかしら。
「ヤヤコくん、魔力の使いすぎじゃ。少し休んだ方がよい」
「だ、大丈夫です…」
魔力というのがどういうものなのかイマイチわからないけれど、この疲労感は魔法の使いすぎって事なのね。
別にゾウさんを大量に召喚している訳でもないのに疲れるということは、維持しているだけでも魔力を消費していたという事なのかしら。
持久走でもしているかのような疲労感に、なんとなくだけれど今休んだらもう立ち上がれないような気がする。
ほら、あれってゴールで止まるともう動けなくなっちゃうじゃない。
なんだかあんな感じ。
魔法のいい使い方、後でゼロさんに教えてもらおうっと。
どれくらい時間稼ぎをしていたのかはわからないけれど、足元を光る線が走った。
へろへろの私を抱えてゼロさんが距離を取る。
光る線から光が立ち上がり、巨大薔薇を包み込んだ。
大きな魔法陣、これが例の『こうふじん』なのね。
魔法陣の中に炎の渦が現れ、巨大薔薇を焼き始めた。
まるで炎で出来た龍が踊っているかのよう。
それ程熱さは感じないけれど、この量の炎は怖さを感じるには十分だった。
降り注いでいた花びらや薔薇ダルマ達は次々燃えて崩れていき、巨大薔薇も徐々に崩れ始める。
巨大薔薇が完全に灰になった頃には、空はすっかり明るくなっていた。
「どうやら、完全に沈黙したようじゃな。不幸の感情も感じん。一件落着というやつじゃの」
「よかった…」
安心したら、なんだか急に体の力が抜けちゃった。
目の前も…なんだかすごく……くら…い……。
※ ※ ※
「事後処理が済んだら事情を…って、なんですの、それ。もしかして眠っておりますの?」
通信機でテキパキと指示を出しつつ夜々子達の元へやって来たオルレンシアは、ゼロにもたれ掛かるようにして眠る夜々子に頬を引きつらせた。
「一応役には立ったのだ、多めに見てやってはもらえんだろうか」
苦笑するゼロにオルレンシアははぁ、とため息をつく。
「人手が足りませんの。ゼロ、貴方も手伝いなさい。事情もじっくり聞かせていただきますわよ」
「もちろん」
「その役立たずはその辺にでも置いておきなさい」
「はは…」
夜々子を邪魔にならない場所に寝かせ、ゼロは瓦礫の撤去作業に加わった。
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