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第四章 ムーリト・リンレール
その1 属性バトル初心者講座
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「シャーナさん、水の術は使用しないでくださいね」
「わかっています」
アルカディアさんが弓を構え、シャーナがムーリトを庇うように立ち、杖を構える。ムーリトは目にいっぱいの涙をため込んでいるが、ぶつぶつと呪文を唱えていた。
巨大ガエルのギョロリとした目が俺達を捉え、その口が開かれる。次の瞬間、勢いよく舌が飛び出してきた。俺がジャンプでかわすと、舌はさっきまで立っていた位置に突き刺さる。俺はその舌の上に着地し、一気に駆け上がる。
その目玉に一撃入れてやろうと思ったんだけど、巨大ガエルは前足で俺をはたきにかかってきた。俺は体を捩り、何とかかわす。追撃の前足を、アルカディアさんが矢を放って牽制し、俺はその間に地面に降りると、再び距離を詰める。
「はっ」
地を蹴り、空中で体をひねって側頭部に蹴りを入れる。けど、
「うわっ とと…」
ぬるり、と表面がぬめっている。まさかガマの油、とか言わないよね?
そのせいで俺の攻撃は効いていないらしく、ギョロリとした目が俺を捉えた。
「ミスト」
ムーリトの声が響き、あたりに白い霧が立ち込める。
「今の内に奥へ」
ムーリトの声が聞こえ、何かが動いたのが霧と風の動きでわかった。俺は着地と同時に走り出し、巨大ガエルの横をすり抜けるようにして洞窟の奥へと走る。
霧を抜けると、箒に乗ったムーリトとシャーナ、それから俺を待っていてくれたアルカディアさんが見えた。牽制の為か、アルカディアさんは弓を構えている。霧の中から巨大ガエルが出てこないのを見て、俺と一緒に走り出した。
どれほど走ったのかはわからないが、止まってというムーリトの声に、俺達はようやく足を止めた。
ムーリトは箒からシャーナを降ろし、帽子を脱ぐと、その中に手を突っ込んだ。
「ねぇ… これからどうするの?」
何とか息を整えて、俺は誰にともなく尋ねた。
入り口は巨大ガエルに破壊され、簡単には出られない。しかも巨大ガエルには、ぬめる体のせいで俺の攻撃は効かない。アルカディアさんの矢も、シャーナの術も効かない。
だからと言って、洞窟の奥はあの研究者達が召喚したたくさんの魔物達で溢れかえっているはずだ。この洞窟は一方通行だったし、他の出入り口もない。
前門のカエル、後門のカエルってやつだ。
「……」
アルカディアさんは腕を組んで考える。シャーナも必死に頭をひねっているようだ。
「方法が、ないわけじゃないけど…」
ムーリトが帽子に手を突っ込んだまま言った。混ぜるような、不思議な手つきをしている。
「本当に?」
「うん… あ、あった」
そういってムーリトは帽子から手を引き抜く。その手には、小石のようなものが握られていた。
「入り口を開けるには…その、時間がかかるし、えっと…だからね、先に…その、召喚された魔物達を…魔界に還すのが一番だと思うの」
「そんな事できるの?」
「うん」
「魔術書には、召喚と召還の術が大体の場合、セットで表記されています。現在は世界の境界が曖昧になっていますから、長時間召喚しておく事は可能です。ですが、別の領域の生物が長時間滞在するのは、世界のバランスに関わる事です。あまり良い事とは言えません」
「えーっと…」
アルカディアさんの説明は、きっとわかりやすいものなんだろうけど…。何が何だかさっぱりだ。
「わかりやすく言えば、呼び出したなら還す事もできるって事よ」
シャーナが噛み砕いて説明してくれた。
なるほど。『召喚』が『呼び出す』って意味で、『召還』が『返す』って意味か。
「とにかく、蛙紳士達を召還できれば、この洞窟内のバランスは元に戻せます」
「そうすれば、あの巨大ガエルも消えるってことですね」
「ええ」
俺の問いに、アルカディアさんは頷いた。
「けど、その為にはあの小部屋に行く必要があるけど…」
「うん…。だから、これを…」
「これは?」
ムーリトが俺達に見せてくれたのは、赤く色の付いた小石だった。
「おや、封石ですね」
「ふうせき?」
「ええ、魔法具の一種です。術をこの石の中に入れる事が出来るのです。術の使えない人間でも呪文を唱えずに術が使える便利な道具なのですよ」
「今は…術は一般に普及しているから…その、あんまり使わなくなったんだけど…」
「赤い色、という事は、これは火系統の術が込められているのね」
「うん…。これがあれば…その、蛙紳士達を…倒せる…かも…しれないから…」
「倒せなくても、召還の時間稼ぎにはなりますね」
「は、はい…」
よくわからないけれど、少しならカエル人間達に対抗できるって事だよね。
術関係の話は聞いたって絶対に理解できそうにないし、俺は俺の出来る事をやろう。
「術関係はムーリトに任せるよ」
「え?」
「俺は何をすればいい?どう時間稼ぎをしたらいい?」
「そうですね…。ムーリトさん、封石はどれくらいありますか?」
「あ、えっと…」
アルカディアさんに聞かれ、ムーリトはまた帽子を漁りはじめた。まさか、帽子の中に入れていたのかな?
「これで全部…です」
そういって取り出したのは、大体20個の赤い石だった。
「他はあまり効果のなさそうなものなので…」
「なるほど…」
ふむ、とアルカディアさんは再び考え始めた。
「ねえ、ムーリト。これ一つもらえるかしら?」
「え? いいけど…どうするの?」
「私も今回は役に立てそうにないから、時間稼ぎに回りたいの」
「その小石で、どうやって時間稼ぎするの?」
「こうするのよ」
俺の問いかけに、シャーナはムーリトから受け取った小石を杖の先端に取り付けた。
「私はよく水を凝縮させて刃を出す術を使うでしょ?」
「あの槍みたいな剣みたいなやつ」
「そう。あれは水の術だからカエル共には効果ないけれど、こうやってこの石の力を借りて刃を具現化すれば、多少は効くようになるわ」
「へー」
「今見せてあげたいけれど、この大きさの石じゃ持続時間は短そうだからやめておくけれど」
「…シャーナ、気を付けてね? あんまり力を使いすぎると、すぐに効力を失うから…」
「わかっているわ」
「アルカディアさんは…その……使い方、わかりますか?」
「ええ。ありがたく使わせていただきますね」
ムーリトから何個か石を受け取り、アルカディアさんは頷く。
「ソルト君は?」
「俺、さっぱりわからない」
「ちょっとした解除の呪文を覚えるだけですが…。そうですね、ソルトさんには敵のかく乱をお願いしましょう」
「了解っ」
「ムーリトさん、召還の術は使えますか?」
「は、はい。…こ、攻撃系統でなければ、大体は…」
「術式に関係なく?」
「い、一応、全系統の術式は…その、頭に…入っています…から…」
「では、召還をお願いします」
「は、はい。…自信ないけど…」
「大丈夫よ、ムーリト。いざとなったら私がフォローに回るわ」
「私も、出来る限りのフォローは致します」
「う、うん。…や、やってみます」
「よし、それじゃ小部屋に行こう!」
「そ、その前に…ソルト君」
「ん?」
「て、手を…出してくれる?」
「えっと…こう?」
俺は言われるがまま、ムーリトに両手を差し出す。ムーリトは俺の両手に小石を一個ずつ置き、何やらぶつぶつと呪文を唱え始めた。すると小石が白く輝き、更に形を変え、俺の両中指に絡みつく。光が消えると、赤い色をした指輪が中指に嵌っていた。
「これで、少しの間は…えと…火属性の攻撃が…できる…から」
「へー。殴るだけでいいの?」
「気を込める…と、いうか…集中させる…と、いうか…」
「なるほど、何となくわかった。この指輪に氣力を注げばいいんだね」
「う、うん…そういうこと」
自分の言いたい事がうまく伝わった事に安堵したのか、ムーリトの頬が若干緩んだ。
これで俺も少しは戦力になれるみたいだし、気合入れていこう。
「よし、まずは小部屋を目指そう!」
「わかっています」
アルカディアさんが弓を構え、シャーナがムーリトを庇うように立ち、杖を構える。ムーリトは目にいっぱいの涙をため込んでいるが、ぶつぶつと呪文を唱えていた。
巨大ガエルのギョロリとした目が俺達を捉え、その口が開かれる。次の瞬間、勢いよく舌が飛び出してきた。俺がジャンプでかわすと、舌はさっきまで立っていた位置に突き刺さる。俺はその舌の上に着地し、一気に駆け上がる。
その目玉に一撃入れてやろうと思ったんだけど、巨大ガエルは前足で俺をはたきにかかってきた。俺は体を捩り、何とかかわす。追撃の前足を、アルカディアさんが矢を放って牽制し、俺はその間に地面に降りると、再び距離を詰める。
「はっ」
地を蹴り、空中で体をひねって側頭部に蹴りを入れる。けど、
「うわっ とと…」
ぬるり、と表面がぬめっている。まさかガマの油、とか言わないよね?
そのせいで俺の攻撃は効いていないらしく、ギョロリとした目が俺を捉えた。
「ミスト」
ムーリトの声が響き、あたりに白い霧が立ち込める。
「今の内に奥へ」
ムーリトの声が聞こえ、何かが動いたのが霧と風の動きでわかった。俺は着地と同時に走り出し、巨大ガエルの横をすり抜けるようにして洞窟の奥へと走る。
霧を抜けると、箒に乗ったムーリトとシャーナ、それから俺を待っていてくれたアルカディアさんが見えた。牽制の為か、アルカディアさんは弓を構えている。霧の中から巨大ガエルが出てこないのを見て、俺と一緒に走り出した。
どれほど走ったのかはわからないが、止まってというムーリトの声に、俺達はようやく足を止めた。
ムーリトは箒からシャーナを降ろし、帽子を脱ぐと、その中に手を突っ込んだ。
「ねぇ… これからどうするの?」
何とか息を整えて、俺は誰にともなく尋ねた。
入り口は巨大ガエルに破壊され、簡単には出られない。しかも巨大ガエルには、ぬめる体のせいで俺の攻撃は効かない。アルカディアさんの矢も、シャーナの術も効かない。
だからと言って、洞窟の奥はあの研究者達が召喚したたくさんの魔物達で溢れかえっているはずだ。この洞窟は一方通行だったし、他の出入り口もない。
前門のカエル、後門のカエルってやつだ。
「……」
アルカディアさんは腕を組んで考える。シャーナも必死に頭をひねっているようだ。
「方法が、ないわけじゃないけど…」
ムーリトが帽子に手を突っ込んだまま言った。混ぜるような、不思議な手つきをしている。
「本当に?」
「うん… あ、あった」
そういってムーリトは帽子から手を引き抜く。その手には、小石のようなものが握られていた。
「入り口を開けるには…その、時間がかかるし、えっと…だからね、先に…その、召喚された魔物達を…魔界に還すのが一番だと思うの」
「そんな事できるの?」
「うん」
「魔術書には、召喚と召還の術が大体の場合、セットで表記されています。現在は世界の境界が曖昧になっていますから、長時間召喚しておく事は可能です。ですが、別の領域の生物が長時間滞在するのは、世界のバランスに関わる事です。あまり良い事とは言えません」
「えーっと…」
アルカディアさんの説明は、きっとわかりやすいものなんだろうけど…。何が何だかさっぱりだ。
「わかりやすく言えば、呼び出したなら還す事もできるって事よ」
シャーナが噛み砕いて説明してくれた。
なるほど。『召喚』が『呼び出す』って意味で、『召還』が『返す』って意味か。
「とにかく、蛙紳士達を召還できれば、この洞窟内のバランスは元に戻せます」
「そうすれば、あの巨大ガエルも消えるってことですね」
「ええ」
俺の問いに、アルカディアさんは頷いた。
「けど、その為にはあの小部屋に行く必要があるけど…」
「うん…。だから、これを…」
「これは?」
ムーリトが俺達に見せてくれたのは、赤く色の付いた小石だった。
「おや、封石ですね」
「ふうせき?」
「ええ、魔法具の一種です。術をこの石の中に入れる事が出来るのです。術の使えない人間でも呪文を唱えずに術が使える便利な道具なのですよ」
「今は…術は一般に普及しているから…その、あんまり使わなくなったんだけど…」
「赤い色、という事は、これは火系統の術が込められているのね」
「うん…。これがあれば…その、蛙紳士達を…倒せる…かも…しれないから…」
「倒せなくても、召還の時間稼ぎにはなりますね」
「は、はい…」
よくわからないけれど、少しならカエル人間達に対抗できるって事だよね。
術関係の話は聞いたって絶対に理解できそうにないし、俺は俺の出来る事をやろう。
「術関係はムーリトに任せるよ」
「え?」
「俺は何をすればいい?どう時間稼ぎをしたらいい?」
「そうですね…。ムーリトさん、封石はどれくらいありますか?」
「あ、えっと…」
アルカディアさんに聞かれ、ムーリトはまた帽子を漁りはじめた。まさか、帽子の中に入れていたのかな?
「これで全部…です」
そういって取り出したのは、大体20個の赤い石だった。
「他はあまり効果のなさそうなものなので…」
「なるほど…」
ふむ、とアルカディアさんは再び考え始めた。
「ねえ、ムーリト。これ一つもらえるかしら?」
「え? いいけど…どうするの?」
「私も今回は役に立てそうにないから、時間稼ぎに回りたいの」
「その小石で、どうやって時間稼ぎするの?」
「こうするのよ」
俺の問いかけに、シャーナはムーリトから受け取った小石を杖の先端に取り付けた。
「私はよく水を凝縮させて刃を出す術を使うでしょ?」
「あの槍みたいな剣みたいなやつ」
「そう。あれは水の術だからカエル共には効果ないけれど、こうやってこの石の力を借りて刃を具現化すれば、多少は効くようになるわ」
「へー」
「今見せてあげたいけれど、この大きさの石じゃ持続時間は短そうだからやめておくけれど」
「…シャーナ、気を付けてね? あんまり力を使いすぎると、すぐに効力を失うから…」
「わかっているわ」
「アルカディアさんは…その……使い方、わかりますか?」
「ええ。ありがたく使わせていただきますね」
ムーリトから何個か石を受け取り、アルカディアさんは頷く。
「ソルト君は?」
「俺、さっぱりわからない」
「ちょっとした解除の呪文を覚えるだけですが…。そうですね、ソルトさんには敵のかく乱をお願いしましょう」
「了解っ」
「ムーリトさん、召還の術は使えますか?」
「は、はい。…こ、攻撃系統でなければ、大体は…」
「術式に関係なく?」
「い、一応、全系統の術式は…その、頭に…入っています…から…」
「では、召還をお願いします」
「は、はい。…自信ないけど…」
「大丈夫よ、ムーリト。いざとなったら私がフォローに回るわ」
「私も、出来る限りのフォローは致します」
「う、うん。…や、やってみます」
「よし、それじゃ小部屋に行こう!」
「そ、その前に…ソルト君」
「ん?」
「て、手を…出してくれる?」
「えっと…こう?」
俺は言われるがまま、ムーリトに両手を差し出す。ムーリトは俺の両手に小石を一個ずつ置き、何やらぶつぶつと呪文を唱え始めた。すると小石が白く輝き、更に形を変え、俺の両中指に絡みつく。光が消えると、赤い色をした指輪が中指に嵌っていた。
「これで、少しの間は…えと…火属性の攻撃が…できる…から」
「へー。殴るだけでいいの?」
「気を込める…と、いうか…集中させる…と、いうか…」
「なるほど、何となくわかった。この指輪に氣力を注げばいいんだね」
「う、うん…そういうこと」
自分の言いたい事がうまく伝わった事に安堵したのか、ムーリトの頬が若干緩んだ。
これで俺も少しは戦力になれるみたいだし、気合入れていこう。
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