魔法少女だったのに今度は聖女になりました

眠れぬ森のゴリ子

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聖女,力を手に入れる

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特訓から1ヶ月、萌は新たな境地に達していた。

「おりゃぁぁぁぁぁ!!!!」

「おおおぉぉぉ!萌ちゃん!!!ついに聖心力で岩が切れるようになったんじゃな!!!!」

萌の目の前には大きな岩壁が真っ二つに割れていた。

「この大道寺萌にできないこたぁーない!」と得意げに見せつけた。

「さすが我が国の聖女じゃ!」「さすが我が孫じゃ!」「さすが我が麻雀仲間じゃ!」と口々に神官たちは萌を褒めちぎる。

聖心力は聖女や神官が扱える力であり、体の中に流れるマナの動きを活性化し、放出することができるのだ。

聖心力を発動させることはとても難しいことであり、長年修行してもマスターできない人が多い。

今萌がしたことは体の中に流れるはマナを瞬時に手に込めて爆発させ岩を切ったのだ。

それを見ていたエリックは感激した。

「萌ちゃんや。いや、聖女様や。こんなにも早くこの域に達するとは。熱血教師だったころの古い血が騒ぐのう。」

「ふふ、私どう考えても魔法少女より聖女の方が向いているわ」
萌がニヤニヤとしているといきなりバチーンと頬に衝撃がきた。
萌は5メートルほど軽く飛ばされた。瞬時に受け身を取りながら着地する。

「なんなの!ついに魔王なの!でてきなさい!」

周りを見渡すがそこにはエリック最高神官しかいない。

「ばかもーーーん!盛者必衰と言う言葉を知っているか、萌ちゃんよ。才能があるからと言っておごってはいかん!もっとわしにくらえついていくんじゃ!!!最後の試練じゃ。萌ちゃん。わしを倒せ!!!この1ヶ月間、修行をした成果をここで発揮するのじゃ。」

通常のエリック最高神官は目はうるうるとしており人外無害な顔をしていたが今のエリック神官は一回り大きくなり、聖心力が溢れ、戦闘モードに入っていた。

「エリックおじいちゃん。私、本気でいくね。手加減しないから。」

萌は今までの修行を共にしてきたエリック神官の姿を思い出したのか少し感傷に浸ったようであった。

「望むところじゃ!わしこそ手加減はしないぞ!」

その言葉を合図に萌の最後の試練が始まった。






5分後

「イダダダダ!!!!ちょ、ギブギブギブ!もう無理!もう無理じゃ!」

「まだまだぁ!!!!エリック師匠!これはまだ序の口よ♡」

完全に勝負はついていた。エリックはこてんぱんにやられていた。


「いや、もう無理!!!!それ以上技をかけんでくれ!わしが悪かった!あと萌ちゃんのおやつを食べて悪かった!!!そのことでまだ怒ってるんじゃろ?!」

「いいえーこれは最終試験なんだからー。萌は聖女なんだよ?そんなことで怒るわけないじゃーん!それに開始早々にビンタされたことも別に怒ってないよー」

ふふふ、とにこやかな笑みを浮かべながら聖心力を手や足に込める。

そのあとたっぷりエリック最高神官の悲鳴が神殿に響き渡り試験は終了した。






「萌ちゃん、もう君は十分に強くなった。王宮へ行ってその実力を王に見せてくるんじゃ!」

「え?なんか言った?エリックお爺さま、もっと強く仰いでー。」

萌は神殿内の神聖な泉にビーチチェアをおき、可愛らしいフリルの水着を着て寛いでいた。
エリックはというと扇を動かして萌に風を送っていた。

「萌ちゃん、もう十分休んだんじゃないかい?ほら、日差しも強いしさ。」

「えぇ。だってこの前の試合で疲れたんだもーん。それにエリックお爺さまと約束したでしょ?あの試合に勝ったらなんでもしてやるって。」

「それは、そうなんじゃがな…」



それから丸3日エリック神官をこき使った萌はようやく腰を動かし王宮へと向かった。



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