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冒険者へ
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「スミはまだ学校?」
「ええ。そうそう!こっちも大変だったのよ。あら、おいしい。ん?お酒入ってるわね。じゃあスミの分も私が」
喜々として食べてます。それくらいの酒ならスミでも大丈夫だと思うけど。アルコールはほとんど飛んでるし、風味付けのようなものだし。
「大変って?まさかギルド?」
「ええ」
うわー。こっちに来たか。申し訳ない。
「ご迷惑を」
「あら、いいのよ。面白かったし、途中までは」
気になる言い方だわ。その表情も。もったいぶらず早く説明を~。
「例の受付嬢とギルドマスターが来たのよ、何回か。ここにいないって言っても納得しなくて。三回目来たときはさすがの私もイラッとしたわ。でね、あのお嬢様と鉢合わせしたのよ。うふ」
紅茶くれたお嬢様か。
まさかこの宿に貴族が来るとは思ってなかったろうなあ。
「もうあの二人真っ青だったわよ。まさかニイナさんが高位な貴族令嬢と知り合いだとは思わなかったでしょうから。しかもニイナさんがいないのが、ギルドのせいと知って頭上に雷が見えたわ」
トルードさん、面白がって口をはさんでばらしたんだろうねぇ。
「で、その後スミが誘拐されちゃって。私、久しぶりに本気を出しちゃったわ」
「は?なっなん」
!びっくりしすぎて、息が。
「落ち着いて、ほら。大丈夫。何ともなかったから。私がいるのよ?無事に決まってるでしょ?」
「でっでもでもっ」
トルードさんが私の肩に手をおいて目をじっと見る。
「スミに怪我はないし、変なトラウマもないから」
いやいや、そんなことあるわけない。誘拐されて何も思わなかったなんて。
「そりゃびっくりはしてたわよ?私だって怒りで街を壊すとこ…えっと。それよりも~」
街をなんだって?聞き間違いじゃなければ街倒壊と。
「マルサンがね」
奥様?
「ちょうどその日に帰宅してて。人の怒りをみると自分の怒りって静まっていくものなのね。初めて知ったわ」
ん?
「もうキレたマルサンたら超カッコよかったんだから~」
へ?のろける場面?!おかしいな。
「惚れ直したわ~」
うっとりと思いだしてないで、詳しく教えてよー。めっちゃ気になる。
「犯人はわかっていたから、例の受付嬢とその手下よ。お粗末よね?捕縛もあっという間。皇宮から騎士団が来たかと思ったら、もうその場で処罰決定してたし。その手際のよさったら!もう本当素敵だったわー」
展開が早すぎてよく飲み込めないんだけど…。
外交官で皇宮勤めの奥様の指示で即事件は解し、スミも無事だった。
てことでいいの?
「あの奥様は?」
ぜひ面会をしたい。させていただきたい。
「もう次の仕事で他の国へ行っちゃったわ」
アクティブー。というかめっちゃ仕事忙しそう。…皇宮という職場ってブラックじゃないよね?
「スミはマルサンに抱きしめられて目を白黒させてたわー」
おかしかった~なぜかスミに私蹴られたけど、とトルードさんはケラケラと笑った。
男の子の思春期を笑っちゃいけませんよ、お父さん。
「ただい…。いたの?」
「おかえり。スミ君、本当にごめんなさい」
帰ってきたスミに頭をさげて謝る。私のせいで。
「なに、いきなり?ああ。話したのか」
「マルサンがいかにカッコよかったかを」
「あーはいはい。もう聞き飽きた」
頭をあげると、ひらひらと手を振るスミがいた。
聞き飽きた、て何十回も聞かされたんだろうなー。
「オレのは?」
テーブルの上のティーセットを見る。まずそこ気づく?
「お酒が風味付けに入ってるからって」
トルードさんを指さす。
「はあ?」
「まだお子さまには早いでしょ?」
そんな小さい子じゃないんだから大丈夫だと思うけどなー。
「本人に聞かないで勝手に食うとか信じらんね。他にないの?」
「お詫びもかねて作らさせていただきます!」
「お詫びとかいいから。本当に。びっくりはしたけどさ。一人で逃げられると思ったし」
とりあえず出したクッキーを早速口に放り投げている。
「え?」
「だってあいつら弱そうだったしさ」
「相当焦ってた様子よね。まー、ムリもないわ。ギルドマスターがでてくるわ、令嬢も怒らせるわ。あとは無いわよね、どうみたって。自業自得でしょうけど」
「それよりもオレのせいでこの街が壊されたらどうしよう、て思ってたし」
ん?さっきも街倒壊の単語でたなぁ。
「大丈夫よ~その時はうまくごまかすわ」
サムズアップの仕方が間違っています。
「本当に私のせいでごめんね」
「もういいって。じゃ、うまいもんくれよ」
おっとこまえー。おばちゃん泣きそうよ。
うんうん、作るよ。お菓子は明日作るからね!
とりあえず夕飯は、海の幸で豪華にいこう、相変わらず他のお客さんいないけど大丈夫?ちょっと心配になる。私は気軽だけど。
魚焼いたから匂いがあれだけど、二人は気に入ってたくさん食べてくれたのでよかった。フライもしめの漬け丼も。
「ええ。そうそう!こっちも大変だったのよ。あら、おいしい。ん?お酒入ってるわね。じゃあスミの分も私が」
喜々として食べてます。それくらいの酒ならスミでも大丈夫だと思うけど。アルコールはほとんど飛んでるし、風味付けのようなものだし。
「大変って?まさかギルド?」
「ええ」
うわー。こっちに来たか。申し訳ない。
「ご迷惑を」
「あら、いいのよ。面白かったし、途中までは」
気になる言い方だわ。その表情も。もったいぶらず早く説明を~。
「例の受付嬢とギルドマスターが来たのよ、何回か。ここにいないって言っても納得しなくて。三回目来たときはさすがの私もイラッとしたわ。でね、あのお嬢様と鉢合わせしたのよ。うふ」
紅茶くれたお嬢様か。
まさかこの宿に貴族が来るとは思ってなかったろうなあ。
「もうあの二人真っ青だったわよ。まさかニイナさんが高位な貴族令嬢と知り合いだとは思わなかったでしょうから。しかもニイナさんがいないのが、ギルドのせいと知って頭上に雷が見えたわ」
トルードさん、面白がって口をはさんでばらしたんだろうねぇ。
「で、その後スミが誘拐されちゃって。私、久しぶりに本気を出しちゃったわ」
「は?なっなん」
!びっくりしすぎて、息が。
「落ち着いて、ほら。大丈夫。何ともなかったから。私がいるのよ?無事に決まってるでしょ?」
「でっでもでもっ」
トルードさんが私の肩に手をおいて目をじっと見る。
「スミに怪我はないし、変なトラウマもないから」
いやいや、そんなことあるわけない。誘拐されて何も思わなかったなんて。
「そりゃびっくりはしてたわよ?私だって怒りで街を壊すとこ…えっと。それよりも~」
街をなんだって?聞き間違いじゃなければ街倒壊と。
「マルサンがね」
奥様?
「ちょうどその日に帰宅してて。人の怒りをみると自分の怒りって静まっていくものなのね。初めて知ったわ」
ん?
「もうキレたマルサンたら超カッコよかったんだから~」
へ?のろける場面?!おかしいな。
「惚れ直したわ~」
うっとりと思いだしてないで、詳しく教えてよー。めっちゃ気になる。
「犯人はわかっていたから、例の受付嬢とその手下よ。お粗末よね?捕縛もあっという間。皇宮から騎士団が来たかと思ったら、もうその場で処罰決定してたし。その手際のよさったら!もう本当素敵だったわー」
展開が早すぎてよく飲み込めないんだけど…。
外交官で皇宮勤めの奥様の指示で即事件は解し、スミも無事だった。
てことでいいの?
「あの奥様は?」
ぜひ面会をしたい。させていただきたい。
「もう次の仕事で他の国へ行っちゃったわ」
アクティブー。というかめっちゃ仕事忙しそう。…皇宮という職場ってブラックじゃないよね?
「スミはマルサンに抱きしめられて目を白黒させてたわー」
おかしかった~なぜかスミに私蹴られたけど、とトルードさんはケラケラと笑った。
男の子の思春期を笑っちゃいけませんよ、お父さん。
「ただい…。いたの?」
「おかえり。スミ君、本当にごめんなさい」
帰ってきたスミに頭をさげて謝る。私のせいで。
「なに、いきなり?ああ。話したのか」
「マルサンがいかにカッコよかったかを」
「あーはいはい。もう聞き飽きた」
頭をあげると、ひらひらと手を振るスミがいた。
聞き飽きた、て何十回も聞かされたんだろうなー。
「オレのは?」
テーブルの上のティーセットを見る。まずそこ気づく?
「お酒が風味付けに入ってるからって」
トルードさんを指さす。
「はあ?」
「まだお子さまには早いでしょ?」
そんな小さい子じゃないんだから大丈夫だと思うけどなー。
「本人に聞かないで勝手に食うとか信じらんね。他にないの?」
「お詫びもかねて作らさせていただきます!」
「お詫びとかいいから。本当に。びっくりはしたけどさ。一人で逃げられると思ったし」
とりあえず出したクッキーを早速口に放り投げている。
「え?」
「だってあいつら弱そうだったしさ」
「相当焦ってた様子よね。まー、ムリもないわ。ギルドマスターがでてくるわ、令嬢も怒らせるわ。あとは無いわよね、どうみたって。自業自得でしょうけど」
「それよりもオレのせいでこの街が壊されたらどうしよう、て思ってたし」
ん?さっきも街倒壊の単語でたなぁ。
「大丈夫よ~その時はうまくごまかすわ」
サムズアップの仕方が間違っています。
「本当に私のせいでごめんね」
「もういいって。じゃ、うまいもんくれよ」
おっとこまえー。おばちゃん泣きそうよ。
うんうん、作るよ。お菓子は明日作るからね!
とりあえず夕飯は、海の幸で豪華にいこう、相変わらず他のお客さんいないけど大丈夫?ちょっと心配になる。私は気軽だけど。
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