二人とも好きとはよくも言ってくれるね

サドラ

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二人とも好きとはよくも言ってくれるね

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彼女が浮気している…そんな噂を僕は高校の教室で聞いた。その彼女の彼氏だというのに。
「本当なのかな?」
「知らないよ、でもそういう噂が立ってるんだって」
「そうか……」
僕は何も言えなかった。確かに最近彼女とは会っていないし連絡もしていない。でも結構ベッタリだったじゃないか。そんな事を言うわけにもいかない。それにもし仮にそうだとしても何か問題があるのか?ただの噂だろ?
「まぁいいや、それより今日カラオケ行かない?」
「ごめん、今日バイトなんだ」
「えー!また!?最近多くない?」
噓だ。バイトは高一で辞めた。大学受験があるし。でもそんなこと言えないから仕方がない。
「そうなんだよ、ちょっと忙しくてさ」
「ふぅん、じゃあまた今度誘うね!」
「うん、ありがと」
でも今は浮気しているという噂の僕の彼女についてのことで精一杯だ。どういうことだろう。浮気しているだって?あんなに僕にベッタリで、キスとか〇〇クスとか迫ってきたのに!?
いつまでも断る僕に飽きてしまったのか?ということは他に好きな人ができたんだな。でもあの子ならどんな男だろうと簡単に落とせそうな気がする……。
考えても答えなんて出るはずもなく、とりあえず家に帰ることにした。
ベッドに転がる。意味が分からない感情が僕を蝕む。なぜこんな気持ちになるんだろう。嫉妬かな。よくわからない。とにかく会いたいと思った。声を聞きたい。顔を見たい。触れ合いたい。そして……
「ああもうっ!なんでこんなこと考えてるんだよ!」
自分で自分の考えを否定したかった。
「こうなったら勝負だ!」
彼女に電話を掛ける。
「あ、もしもし?」
意外と元気に答える彼女がいた。
「最近連絡くれなかったじゃん。寂しかったんだよ~?」
すべてが上辺に聞こえる。
「それは、ごめんね。明日さ、久々に会おうよ。」
「え?いいねいいね!どこにする?」
そんな感じで明日会うことになった。
「お待たせ~」
「ううん全然待ってないよ」
久しぶりに会った彼女はとても可愛くて眩しいくらい輝いていた。思わず見惚れてしまうほどに。
「じゃあさっそく行こうか!」
「そうだね」
その日のデートは普通に楽しめた。浮気しているという噂は嘘だろうか。
しかし、1週間後、友達から浮気現場の証拠写真が送られてきた。今日そいつとデートしているらしい。覚悟はしていた。だが実際に見ると辛い。
友達には「わざわざありがとう」と返しておき、僕は現場へ向かった。そこには仲睦まじげにしている男女の姿があった。僕はその二人に声をかけた。
「やあ」
浮気現場に突入するシチュエーションはドラマとかでもあまり見ていない。だからこそ強い手を使いたい。
彼女は表情をこわばらせている。彼氏は少し驚いた様子だったがすぐに平静を取り戻したようだ。
「何ですか?この人は誰です?」
彼は僕に向かって言う。無理もない。悪いことをしているとは思っている。だが悪いのは彼女だ。僕は彼に言った。
「僕だよ。君と付き合っている彼女さんとお付き合いさせていただいております。」
「あなたは一体何を言っているんですか?」
彼の言葉を無視して僕は続けた。
「君の彼女を横取りしたわけじゃない。彼女は浮気しているって言いたいんだ。」僕はそう言ってスマホの写真を見せた。それを見て彼が息を飲むのがわかった。
「これは……」
「浮気だよね?」
「そんな…」
一方の彼女は無言を貫いている。僕の言葉が正しいということだ。
「どうなんだ?君は俺と付き合ってるんじゃなかったのか?」
「違う!私は彼と付き合っていない!!」
「でもキスをしていたじゃないか。それも何度も」
「あれは事故で……」
「事故ねぇ……。それで?」
「…ごめんなさい…」彼女は泣きながら謝った。これで終わりだ。認めたのだから。
「「じゃあ全部吐いてもらおうか」」
浮気相手の彼と重なった。結構似たタイプらしい。
「初めは、普通に恋していたの。だけど、好きな人とよく似た人が現れて、段々その人にも魅力を感じ始めて……。二人とも好きになったんです。そして、浮気しました。本当にごめんなさい。」
「……なるほどね。まぁいいや。じゃあ、俺はもう行くんで。さよなら。」
「はい、さようなら。」
「あ、あぁぁあ…」
泣き崩れる彼女を置いて、僕ともう一人の青年は去っていった。
彼女とは両方切れた。これでいい。
未練はないわけじゃない。浮気なんて許されない。だからこれでいい。「二人とも好き」だなんてよく言ったものだ。
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