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2日目
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次の日の朝、
「あまい、いいにおいがする」
と、言いながらジョイが台所に入って来た。いつもならパジャマのまま降りて来るのに、今日は既に服を着替えている。
しかも、今までは食べるの専門だったのに、料理を運ぶのをせっせと手伝っている。
次に今までは名前を呼び捨てだったエリスに
「姉さん、」
と、呼びかけてきて、エリスは驚いて、危うくお茶を吹き出しそうになり、その次にはお茶が気管に入り大いに咳き込んでしまった。
「お母さん、ルーシーの様子を見に行って来る」
エリスはウエンディに言って、家の外へ出た。
そうして物置小屋から自転車を出す時、木の前に立っているジョイに声をかけた。
だが返ってきた返事は、今までのジョイからはおよそ想像しがたいものだった。
(生きてるせみより、死んだせみを探してるって、どう言うこと)
物置小屋にこもっている弟も謎だったが、出てきた弟も謎だった。
そんなことを考えながら自転車を押すエリスを、木にとまっている白い鳥がじっと見ていた。
*
今日のルーシーは、熱は下がったが、まだ体調は戻らない様子だった。
「明日には会えると思うんだけど、せっかくきてくれたのに悪いわね」
ルーシーの母は申し訳なさそうに、エリスに言った。
「いいえ、とんでもない。これ良かったらどうぞ」
今朝焼いたばかりのクッキーが入った入れ物をわたすと、「お大事にして下さい」と、声をかけて、エリスはルーシーの家を出た。
(どうしようかしら)
その時、カタンと窓が開く音がして、エリスは顔を上げた。
『ルーシー!』
と、かけようとした声を飲み込んだ。
どこか遠くを見つめるルーシーの目は硬質で何もみていないようにも見えた。
風が吹いてルーシーの長い髪が揺れる。ルーシーの目の前のサルスベリの木の白い花も揺れている。
昼の熱い風がエリスの方にも吹いてきた。何故だかゾクっとしてエリスは身震いをした。
風に乗ってフワッと白い鳥が飛び立ったことにエリスは気づかなかった。
*
その夕方、エリスは熱を出してベッドに寝ていた。
「姉さん、大丈夫?」
弟のジョイは甲斐甲斐しく頭を冷やすものやお粥などを運んで来てくれた。
母のウエンディが夜遅くまで、額のタオルを取り替えてくれていた。
「明日にはお父さんも帰って来るわ。おみやげが楽しみね」
と、熱にうなされるエリスを励ますようにつぶやいた。
「昨日はジョイも微熱があったみたいだし、悪い風邪が流行っているのでなければ良いけれど」
*
夜半過ぎ、エリスはじっと天井を見ていた。けれど、その瞳は瞬きもせず、何も目に写してないようだった。
「あまい、いいにおいがする」
と、言いながらジョイが台所に入って来た。いつもならパジャマのまま降りて来るのに、今日は既に服を着替えている。
しかも、今までは食べるの専門だったのに、料理を運ぶのをせっせと手伝っている。
次に今までは名前を呼び捨てだったエリスに
「姉さん、」
と、呼びかけてきて、エリスは驚いて、危うくお茶を吹き出しそうになり、その次にはお茶が気管に入り大いに咳き込んでしまった。
「お母さん、ルーシーの様子を見に行って来る」
エリスはウエンディに言って、家の外へ出た。
そうして物置小屋から自転車を出す時、木の前に立っているジョイに声をかけた。
だが返ってきた返事は、今までのジョイからはおよそ想像しがたいものだった。
(生きてるせみより、死んだせみを探してるって、どう言うこと)
物置小屋にこもっている弟も謎だったが、出てきた弟も謎だった。
そんなことを考えながら自転車を押すエリスを、木にとまっている白い鳥がじっと見ていた。
*
今日のルーシーは、熱は下がったが、まだ体調は戻らない様子だった。
「明日には会えると思うんだけど、せっかくきてくれたのに悪いわね」
ルーシーの母は申し訳なさそうに、エリスに言った。
「いいえ、とんでもない。これ良かったらどうぞ」
今朝焼いたばかりのクッキーが入った入れ物をわたすと、「お大事にして下さい」と、声をかけて、エリスはルーシーの家を出た。
(どうしようかしら)
その時、カタンと窓が開く音がして、エリスは顔を上げた。
『ルーシー!』
と、かけようとした声を飲み込んだ。
どこか遠くを見つめるルーシーの目は硬質で何もみていないようにも見えた。
風が吹いてルーシーの長い髪が揺れる。ルーシーの目の前のサルスベリの木の白い花も揺れている。
昼の熱い風がエリスの方にも吹いてきた。何故だかゾクっとしてエリスは身震いをした。
風に乗ってフワッと白い鳥が飛び立ったことにエリスは気づかなかった。
*
その夕方、エリスは熱を出してベッドに寝ていた。
「姉さん、大丈夫?」
弟のジョイは甲斐甲斐しく頭を冷やすものやお粥などを運んで来てくれた。
母のウエンディが夜遅くまで、額のタオルを取り替えてくれていた。
「明日にはお父さんも帰って来るわ。おみやげが楽しみね」
と、熱にうなされるエリスを励ますようにつぶやいた。
「昨日はジョイも微熱があったみたいだし、悪い風邪が流行っているのでなければ良いけれど」
*
夜半過ぎ、エリスはじっと天井を見ていた。けれど、その瞳は瞬きもせず、何も目に写してないようだった。
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