Seven Colors

クルリン

文字の大きさ
1 / 1

プロローグ

しおりを挟む
「目を・・・・さい。・・・・・・が・・した。」

どこからか声が聞こえてきた。しかし、周りには誰の気配もしない。それに目を開けようにも開けられない。
どうなっているんだ…

体は…かろうじて動かす事が出来るが、目を開けられないから、どこにいるのか、何があるのか分からない。

どうしたものかと考えていると、目を閉じていても分かるくらい眩しい光を感じた。

光の方に何があるか分からない。
だが、ここでじっとしていても仕方がない。
考えるよりも先に足が、ゆっくりと一歩ずつ光に導かれるような感じで歩いていた。

目が開けない状況に多少の不安はあったが、不思議な事に心が躍っている感覚があったので、自分の心を信じ歩みを進める。

どれだけの時間が経ったか覚えていないし、分からないが、どんどん光が強くなるのを感じた。光が強くなるにつれて、少しずつ目が開けられるようになっていた。

「ここで止まり、目を開けなさい」

また声が聞こえたが、さっきとは別の声。
懐かしいような、優しいようなそんな声に従い、目を開けることにした。

目を開けるが、さっきまで目を閉じていた事もあり、視界はとてもボヤけている。
段々と視界が開けていき、辺りを見回すと、天国とも思えるような光に包まれた空間に、一際目を見張る扉を見つけた。

扉、正確に言えばお城とかにある門のような形をしているが、建物らしき物は見当たらない。ナントカドアのように、ただそこにあるだけ。

扉の近くにいって色々見たが、やはり何もない。ふと、扉の上が気になり目線をあげると何か文字が書いてある。

[WHEEL of FORTUNE]

ウィールオブフォーチュン。運命の輪?
かろうじて読む事が出来たが、他の文字は全く読めない、というより世界のどの文字にも当てはまらない。

周りを見渡すが来た道も分からない。進むべき道も無い、扉があるだけ。
ここまで来たんだ。扉を開けたら何かあるかもしれない。そんな気持ちでドアノブに手をかけようとした時、ドアノブが舵輪のような形をしている事に気がついた。

なるほど、これが運命の輪。何に納得したか自分でも分からないが、改めてドアノブを回し扉を開ける。

その瞬間、先ほどより強烈な光に自分が包まれ、それと同時に意識が薄らいでいく。

「ありがとう。」この一言と共に何かが動き出す音が聞こえたような気がした。

しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

むしゃくしゃしてやった、後悔はしていないがやばいとは思っている

F.conoe
ファンタジー
婚約者をないがしろにしていい気になってる王子の国とかまじ終わってるよねー

いまさら謝罪など

あかね
ファンタジー
殿下。謝罪したところでもう遅いのです。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

〈完結〉遅効性の毒

ごろごろみかん。
ファンタジー
「結婚されても、私は傍にいます。彼が、望むなら」 悲恋に酔う彼女に私は笑った。 そんなに私の立場が欲しいなら譲ってあげる。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

てめぇの所為だよ

章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。 『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。

卒業パーティでようやく分かった? 残念、もう手遅れです。

ファンタジー
貴族の伝統が根づく由緒正しい学園、ヴァルクレスト学院。 そんな中、初の平民かつ特待生の身分で入学したフィナは卒業パーティの片隅で静かにグラスを傾けていた。 すると隣国クロニア帝国の王太子ノアディス・アウレストが会場へとやってきて……。

処理中です...