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第3章 鍛練
第68話 メリッサ
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「道具屋はここの右隣三軒目、雑貨屋は向かい並びの左四軒目、肉屋は東門側、水は井戸から汲んで、服屋は雑貨屋の隣、防具屋は武器屋の隣でギルドの向かい」
ギルドを出たビアンカは、サクサクと指を差しながら僕に店の配置を説明する。
て言うか早い。
取り敢えず店は冒険者を意識しての区割りがされているらしく、分かり易いと言えば分かり易い。
ビアンカも張り切っているのだろう、僕の腕を取って引き摺るように店を回る。
まず近いところで防具屋。
鎧と盾がレリーフされた木の看板が、軒先に吊るされている。
どういう理由かは分からないが、武器屋と防具屋の店舗は鏡合わせをしたように似ていた。
武器屋を出たらすぐに防具屋に入れる間取りである。
武器屋の看板は剣が二本、交差した意匠だった。
武器屋をスルーして防具屋に入ると、入り口の正面にカウンターがあり、店番の少女が頬杖を付いて寝ていた。
入り口からカウンターまでの壁には、大小様々な盾が飾ってあり、左側には幾つかのフルプレートアーマーが立てられている。
壁の棚には左右セットの手甲とアーマーブーツがあり、けっこう賑々しい。
「メリッサ、客だよ」
店番の少女の鼻先を摘まみ、ビアンカは左右に軽く振ってやる。
「いひゃぁぁぁぁ」
一気に目を覚ました少女は、気の抜けた悲鳴を上げて、鼻を摘まむビアンカの手を固定しようと頑張っていた。
「ビアンカっ!この起こし方止めてって、毎回言ってるでしょ!?」
少し赤くなった鼻を押さえ、少女がビアンカを非難する。
毎回寝てるんだ・・・。
長い茶髪が斜め後ろでポニーテールに纏められた、ちょっと変わったヘアスタイルの少女は、ここでようやく、僕の存在に気付いた。
「い・・・らっしゃいませ?」
何で疑問系?
「今度から私とパーティーを組むコトになったシチロー。この娘は防具屋ロドスの娘でメリッサ」
ビアンカはニコニコと笑いながら、僕とメリッサにお互いを紹介する。
「メリッサ・・・パーティー!?」
「シチローです。メリッサ・パーティーさん。よろしくお願いします」
丁寧に頭を下げる僕に、メリッサはジト目を向ける。
「誰よ、メリッサ・パーティーって」
声音も少し冷たかった。
「さっき自分で自己紹介してましたよね?」
「あれは名前じゃなくて、ビィがパーティーを組んだって言うから・・・」
「はい。判ってますよ?」
ギルドを出たビアンカは、サクサクと指を差しながら僕に店の配置を説明する。
て言うか早い。
取り敢えず店は冒険者を意識しての区割りがされているらしく、分かり易いと言えば分かり易い。
ビアンカも張り切っているのだろう、僕の腕を取って引き摺るように店を回る。
まず近いところで防具屋。
鎧と盾がレリーフされた木の看板が、軒先に吊るされている。
どういう理由かは分からないが、武器屋と防具屋の店舗は鏡合わせをしたように似ていた。
武器屋を出たらすぐに防具屋に入れる間取りである。
武器屋の看板は剣が二本、交差した意匠だった。
武器屋をスルーして防具屋に入ると、入り口の正面にカウンターがあり、店番の少女が頬杖を付いて寝ていた。
入り口からカウンターまでの壁には、大小様々な盾が飾ってあり、左側には幾つかのフルプレートアーマーが立てられている。
壁の棚には左右セットの手甲とアーマーブーツがあり、けっこう賑々しい。
「メリッサ、客だよ」
店番の少女の鼻先を摘まみ、ビアンカは左右に軽く振ってやる。
「いひゃぁぁぁぁ」
一気に目を覚ました少女は、気の抜けた悲鳴を上げて、鼻を摘まむビアンカの手を固定しようと頑張っていた。
「ビアンカっ!この起こし方止めてって、毎回言ってるでしょ!?」
少し赤くなった鼻を押さえ、少女がビアンカを非難する。
毎回寝てるんだ・・・。
長い茶髪が斜め後ろでポニーテールに纏められた、ちょっと変わったヘアスタイルの少女は、ここでようやく、僕の存在に気付いた。
「い・・・らっしゃいませ?」
何で疑問系?
「今度から私とパーティーを組むコトになったシチロー。この娘は防具屋ロドスの娘でメリッサ」
ビアンカはニコニコと笑いながら、僕とメリッサにお互いを紹介する。
「メリッサ・・・パーティー!?」
「シチローです。メリッサ・パーティーさん。よろしくお願いします」
丁寧に頭を下げる僕に、メリッサはジト目を向ける。
「誰よ、メリッサ・パーティーって」
声音も少し冷たかった。
「さっき自分で自己紹介してましたよね?」
「あれは名前じゃなくて、ビィがパーティーを組んだって言うから・・・」
「はい。判ってますよ?」
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