異世界・野獣暴れ旅 ~スローライフに憧れて~

送り狼

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第3章 鍛練

第70話 装備品

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「予算は?」

「気にしないで」

 にっこりと頬笑むビアンカに、メリッサは察した。

「ちょっと待ってて」

 何も言わずに僕の体型を見たメリッサは、一つ頷いて店の奥に消える。

「ああ見えてこの町の冒険者を見てきた娘なんだ。腕と目利きは信頼出来るよ」

 ビアンカの紹介だから信用する、とは口にせず、僕はビアンカに視線を合わせ小さく頷いた。

 店の奥からメリッサが出てきたのは、パスタが余裕で茹で上がるくらいだった。

「革鎧はそれでイイとして、剣士に邪魔にならない手甲と脛当、それとベルト、鉢鉄、革靴」

 持ってきた品の名称を告げながら、次々とカウンターの上に並べ始めた。

 手甲は肘から手首までを被うタイプで、筋金が三本入っている。

 脛当も同じデザインで、共に革ヒモで編み締めるようになっていた。

 鉢金は額部分に鉄板が仕込まれ、こちらは革と同じ色の布で縛る。

 革靴も編み上げ式の短いブーツだった。

 ベルトはただの革の帯である。

 僕が剣士だと言うコトを考慮に入れて、鞘を支える帯として準備してくれたのだろう。

 太刀の鞘は固定出来ない。

 太刀を固定してしまうと、動きが制限され、太刀の良さが半減してしまう。

 太刀を抜く時や納める時、腰の捻りと上半身の開きを連動させて、滑らかな流れで行うが、鞘を固定してしまえば流れを阻害される。

 そう言う意味でも、メリッサが革の帯を用意したのは流石だと思った。

 ただし、革の帯が鞘の動きを邪魔しないかは確めないと分からない。

「手甲が八、鉢金が二、脛当が二、革靴が十一、ベルトが一、しめて銀貨二十四枚」

 ビアンカは腰の袋から銀貨を取り出し、カウンターの上に並べる。

「毎度ありっ」

「シチロー、装備着けてみて」

 装着の仕方や細かい修正など、やっぱり着てみないコトには分からないらしい。

 僕はビアンカとメリッサの手伝いを受けながら、一つひとつを確認しながら装着していった。

 着なれていないコトを除けば、メリッサが選んだ装備品のサイズは、僕の身体にピッタリだった。

「おーおー初々しいねぇ。早く慣れるように、普段から着ていた方がイイよ」

 今はまだ、装備を着けていると言うより、装備に着られているって感じが否めない。

 まるでスーツを着た高校生だ。

 それでも一端の冒険者には見えるらしく、僕はちょっと気分が高揚していた。

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