異世界・野獣暴れ旅 ~スローライフに憧れて~

送り狼

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第3章 鍛練

第72話 視線の大事

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「今何を考えたか当ててみましょうか?」

 ガシッと僕の後頭部を鷲掴みし、ビアンカが表情を無くしていく。

『バカだなぁキミ以外の何を考えるコトがあるんだい?』

 脳内で有らん限りのファニートークがコレでもかってくらい溢れるが、その悉くが僕の口から流れるコトはなかった。

 現実の僕の頭蓋骨がミシミシと悲鳴をあげ、ファニートークの代わりに苦鳴が口を吐いていたからだ。

 僕の視線の移動で察したようだ。

 女性にとってチラ見はガン見ってコトだな。

 微妙に頭が潰れない力加減に、僕は意識を手放した。

 気が付いた時には、僕は道具屋のイスに座っていた。

「・・・っ!あれ、お姉さんは?」

「・・・誰のコトだい?」

 僕の問に答えたのは、ビアンカと話していた道具屋のオッサンだった。

 ビアンカはそっぽを向いている。

「ぽやぽやふわふわのお姉さん・・・あれ?」

 確か自己紹介してもらったハズだが・・・。

「そんなコトより、自分の装備品なんだから、しっかり選びなよ」

「あ、うん」

 ビアンカに促され、僕は店内に飾られた道具の数々を物色する。

 旅に必要なものと言うコトで、マントと水筒、バッグ、針と糸は必須らしい。

 マントは魔物の鞣し革で出来たモノを、水筒は魔物の胃袋を加工したモノ、バッグは肩掛けタイプのモノを選んだ。

 マントは銀貨三十三枚、水袋が五枚、バッグは十五枚、針と糸はサービスしてもらった。

 マントと水袋とバッグは分かるが、針と糸は必須なのかと頭を捻った僕に、

「針は色々使えるでしょ?布を縫ったり、皮膚を縫ったり、毒を塗ったり、水ぶくれを刺したり」

 いくつか穏やかじゃない色々があったけど、大丈夫か!?

 まぁそう言う意味なら、糸にも色々な使い道があるわな。

「さて、次ね次」

「あ、ちょっと、ビアンカ?」

「次は雑貨屋よ」

 店主に挨拶をした記憶も自己紹介した記憶もないんだが、ビアンカはサクサクと僕の手を引っ張って店を出る。

 オッサンだからイイか。

「ここが雑貨屋。店主のオルガさん」

 シワシワの婆さんを紹介された。

 先ほどまでの無理矢理感が嘘みたいに消え、のんびりした雰囲気に包まれる。

 ビアンカに至ってはお茶なんか飲んでるし。

「どうしたの、シチロー?座ってお茶に呼ばれなよ。お茶受け美味しいよ?」

「・・・」

 この落差はなんだ?

「宜しくね、シチローちゃん。私、オルガって言うのよ?お茶、どうぞ」
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