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レベル15 ホラー映画は永遠に ~2,3年前ならタイムリーだったかもしれないのに~
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レベル15
ある人は言った。
おばけなんてないさ。
おばけなんて嘘さ。
でももしおばけがいたら・・・。
いる。しかもわんさか・・・。友達になんかなれそうにもない。
俺たち一行が窓の外に目をやると、そこにはおばけたちが闊歩している。どうしておばけだと分かるかというと、まず顔色がすごく悪い。土色だし、よだれも垂らしているし、そしてうなっている。
おばけだ。
関わってはいけないやつだと確信した俺とロメロ、そして殴っていいやつだと確信したアケミ。それぞれテンションは違うが、共通認識は同じのはずだ。
なんとかしなくては。
その時、宿屋の主人が部屋に入ってきた。
「見てしまったか」
俺たちだって別に見たくはない。しかし、逃げも隠れもしないものを隠していないのだから見つかって当たり前だ。宿をカモフラージュし、迷彩を着て隠れようとする前に隠すものがあっただろう。
「何を隠そうあれは!」
こちらの反応をうかがうためか、その先を言おうとしない。腰に手を当て、渾身のドヤ顔だ。本当は見てほしかったけど、「見せて」と言われて「しょうがねえなあ。気づいちまったんならしょうがねえなあ」と言いたいのが丸出しだ。昼間見た時、あんなにキラキラしていなかったもの。
ただ、何か言わないと先に進めなさそうなので、俺は尋ねた。
「あれは、何なんだ?」
「・・・・・・」
一転、つまらなそうに俺を見る。どうしたと言うのだ。
「怖いだろう・・・?」
「え?あれが?」
確かに最初は怖かったが、十秒もあれば慣れた。怖いというより、関わりたくないだけだ。おばけだとは思うが、一見するところ顔色が悪くてよだれをたらしているだけなのだ。こっちにはアケミがいる。つまり、安心安全なのだ。
「怖いだろう?え?怖いんだろう?怖いって言えよ」
「ああ、怖い」
「もっと怖そうに!」
俺は咳ばらいをした。
「ウ、ウワァ!何ダ、アレハ!」
アケミが噴き出し、俺は赤面した。ロメロは聞いていない。
「とにかくだ、あのお化けは何なんだ?」
「お化け?いや、あれはお化けじゃない。あれは・・・」
いちいちドヤ顔を決めないと発表できないのかこのじいさんは。
俺はロメロとアケミに合図を送り、三人力を合わせて驚いた。
「あ、あれは?!」
じいさんはとても嬉しそうな顔をした。
「何を隠そう、あれは・・・」
もう一回やるのか?アケミが目を見開き、拳を振りかざしてメンチを切ると宿屋の主人は咳ばらいをした。
「何を隠そう、ゾンビだ!」
「なんだそれ」
「何?お前さん、ゾンビを知らねえのか?」
ゾンビというのは、「生ける屍」のことだそうだ。基本的には知性がなく、のろのろと動きながら集団で襲ってくるらしい。ゾンビに襲われると同じくゾンビになってしまうようだ。昔から存在はしていたが、あくまでモブキャラ的な扱いでしかなかったが、今から五十年ほど前からどんどんと勢力を拡大しているという。昔はのろのろと歩くだけだったのだが、近年では走ったりするものも多く、武器を扱ったり天井にへばりついて長い舌で攻撃してくるものも出現したらしい。が、最近は原点に戻ろうという動きもあるらしく、動きが緩慢なゾンビが主流になっている、ということだった。よく分からないがそういうことだ。
「生ける屍ってなんだ。屍という定義は死んでいる、つまり生きていない」
俺が言うと、宿屋の主人が実に嫌そうな顔をした。
「じゃああれはなんだってんだ。ええ?」
「俺も初めて見たからよく分からんが、動いている時点で死んでないことは確かだろう。感染症か何か、恐ろしい病気かもしれない」
「お前さん、友達いねえだろう・・・・・・」
「・・・・・・」
悲しきかな、現状友達と呼んで同意してくれるのはロメロとアケミくらいだ。友達がいない、という点においてはふたりいるからノーだが、その状況で「いや、いる」というのもなんだか恥ずかしい。
「いいかボーイ。男の子ってのはなあ、夢も現実もごちゃまぜにして、今目の前で起こっていることに燃え滾ってなんぼの生きもんなんだぜえ?」
「そのとーり!!」
アケミとロメロが元気に叫ぶと、宿屋の主人も一緒になってテンションをぶち上げた。
「《Yo。目のまえにいるのは大量のゾンビ。徘徊しているぜ魑魅魍魎のように。対するはロメロとタロー、最高のコンビ。そして後ろに控えるアケミは最強の猛威。囲まれた状況は最悪、でも戦々恐々の中開幕、する俺たちのバトルまさにサバイバル!》」
展開は変わらないが、みんなのテンションは目まぐるしく変わる珍妙な状況の中で、俺はじいさんに聞いた。
「で、どうすりゃいいんだ」
「決まっておる。逃げるんだよ」
「どこに?」
「昔はデパートなんかが相場だったんだが、最近は刑務所跡だったり、コミュニティーだったり終着駅だったり色々あるが・・・。ま、とりあえず隣村がいいだろう」
「逃げれるのか?」
「遅いからな」
確かに動きはとても緩慢だから、走ったら簡単に逃げられるだろう。
「逃げるっていうと、殴っていいってことだね?!」
アケミが元気に言った。
「逃げる=殴る」はどういう理屈か分からないが、逃げる上で必要な手段であればそれも有りだろう。
「もちろんだ!」
俺が言うと、アケミがじいさんを殴った。じいさんは派手に音を立てて倒れ込んでしまった。
なぜ・・・?
「じいさんを殴る必要はあったのかYO、Sis?」
ロメロが真っ当な発言に、アケミは「だって逃げるんでしょ?」とあっけらかんと答えると、突然渋い表情を作った。
「逃げるのよ。そう、支払いという名の、悪霊からね」
俺たちは急いで宿屋から出た。
ゾンビとやらは外で見ていた時よりも遅く、キャッキャウフフの小走りで逃げられる程度のスピードだったから、おれたちは「大量のゾンビからの逃避行」とは思えない気楽さで逃げ出し、簡単に撒くことが出来た。
しかし・・・。
「止まれ」
逃げ込んだ林の中で、背後から男の声がした。
俺たちが振り向くと、そこにはカウボーイハットを被った男と、ボーガンを構える長髪の男が立っていた。
ある人は言った。
おばけなんてないさ。
おばけなんて嘘さ。
でももしおばけがいたら・・・。
いる。しかもわんさか・・・。友達になんかなれそうにもない。
俺たち一行が窓の外に目をやると、そこにはおばけたちが闊歩している。どうしておばけだと分かるかというと、まず顔色がすごく悪い。土色だし、よだれも垂らしているし、そしてうなっている。
おばけだ。
関わってはいけないやつだと確信した俺とロメロ、そして殴っていいやつだと確信したアケミ。それぞれテンションは違うが、共通認識は同じのはずだ。
なんとかしなくては。
その時、宿屋の主人が部屋に入ってきた。
「見てしまったか」
俺たちだって別に見たくはない。しかし、逃げも隠れもしないものを隠していないのだから見つかって当たり前だ。宿をカモフラージュし、迷彩を着て隠れようとする前に隠すものがあっただろう。
「何を隠そうあれは!」
こちらの反応をうかがうためか、その先を言おうとしない。腰に手を当て、渾身のドヤ顔だ。本当は見てほしかったけど、「見せて」と言われて「しょうがねえなあ。気づいちまったんならしょうがねえなあ」と言いたいのが丸出しだ。昼間見た時、あんなにキラキラしていなかったもの。
ただ、何か言わないと先に進めなさそうなので、俺は尋ねた。
「あれは、何なんだ?」
「・・・・・・」
一転、つまらなそうに俺を見る。どうしたと言うのだ。
「怖いだろう・・・?」
「え?あれが?」
確かに最初は怖かったが、十秒もあれば慣れた。怖いというより、関わりたくないだけだ。おばけだとは思うが、一見するところ顔色が悪くてよだれをたらしているだけなのだ。こっちにはアケミがいる。つまり、安心安全なのだ。
「怖いだろう?え?怖いんだろう?怖いって言えよ」
「ああ、怖い」
「もっと怖そうに!」
俺は咳ばらいをした。
「ウ、ウワァ!何ダ、アレハ!」
アケミが噴き出し、俺は赤面した。ロメロは聞いていない。
「とにかくだ、あのお化けは何なんだ?」
「お化け?いや、あれはお化けじゃない。あれは・・・」
いちいちドヤ顔を決めないと発表できないのかこのじいさんは。
俺はロメロとアケミに合図を送り、三人力を合わせて驚いた。
「あ、あれは?!」
じいさんはとても嬉しそうな顔をした。
「何を隠そう、あれは・・・」
もう一回やるのか?アケミが目を見開き、拳を振りかざしてメンチを切ると宿屋の主人は咳ばらいをした。
「何を隠そう、ゾンビだ!」
「なんだそれ」
「何?お前さん、ゾンビを知らねえのか?」
ゾンビというのは、「生ける屍」のことだそうだ。基本的には知性がなく、のろのろと動きながら集団で襲ってくるらしい。ゾンビに襲われると同じくゾンビになってしまうようだ。昔から存在はしていたが、あくまでモブキャラ的な扱いでしかなかったが、今から五十年ほど前からどんどんと勢力を拡大しているという。昔はのろのろと歩くだけだったのだが、近年では走ったりするものも多く、武器を扱ったり天井にへばりついて長い舌で攻撃してくるものも出現したらしい。が、最近は原点に戻ろうという動きもあるらしく、動きが緩慢なゾンビが主流になっている、ということだった。よく分からないがそういうことだ。
「生ける屍ってなんだ。屍という定義は死んでいる、つまり生きていない」
俺が言うと、宿屋の主人が実に嫌そうな顔をした。
「じゃああれはなんだってんだ。ええ?」
「俺も初めて見たからよく分からんが、動いている時点で死んでないことは確かだろう。感染症か何か、恐ろしい病気かもしれない」
「お前さん、友達いねえだろう・・・・・・」
「・・・・・・」
悲しきかな、現状友達と呼んで同意してくれるのはロメロとアケミくらいだ。友達がいない、という点においてはふたりいるからノーだが、その状況で「いや、いる」というのもなんだか恥ずかしい。
「いいかボーイ。男の子ってのはなあ、夢も現実もごちゃまぜにして、今目の前で起こっていることに燃え滾ってなんぼの生きもんなんだぜえ?」
「そのとーり!!」
アケミとロメロが元気に叫ぶと、宿屋の主人も一緒になってテンションをぶち上げた。
「《Yo。目のまえにいるのは大量のゾンビ。徘徊しているぜ魑魅魍魎のように。対するはロメロとタロー、最高のコンビ。そして後ろに控えるアケミは最強の猛威。囲まれた状況は最悪、でも戦々恐々の中開幕、する俺たちのバトルまさにサバイバル!》」
展開は変わらないが、みんなのテンションは目まぐるしく変わる珍妙な状況の中で、俺はじいさんに聞いた。
「で、どうすりゃいいんだ」
「決まっておる。逃げるんだよ」
「どこに?」
「昔はデパートなんかが相場だったんだが、最近は刑務所跡だったり、コミュニティーだったり終着駅だったり色々あるが・・・。ま、とりあえず隣村がいいだろう」
「逃げれるのか?」
「遅いからな」
確かに動きはとても緩慢だから、走ったら簡単に逃げられるだろう。
「逃げるっていうと、殴っていいってことだね?!」
アケミが元気に言った。
「逃げる=殴る」はどういう理屈か分からないが、逃げる上で必要な手段であればそれも有りだろう。
「もちろんだ!」
俺が言うと、アケミがじいさんを殴った。じいさんは派手に音を立てて倒れ込んでしまった。
なぜ・・・?
「じいさんを殴る必要はあったのかYO、Sis?」
ロメロが真っ当な発言に、アケミは「だって逃げるんでしょ?」とあっけらかんと答えると、突然渋い表情を作った。
「逃げるのよ。そう、支払いという名の、悪霊からね」
俺たちは急いで宿屋から出た。
ゾンビとやらは外で見ていた時よりも遅く、キャッキャウフフの小走りで逃げられる程度のスピードだったから、おれたちは「大量のゾンビからの逃避行」とは思えない気楽さで逃げ出し、簡単に撒くことが出来た。
しかし・・・。
「止まれ」
逃げ込んだ林の中で、背後から男の声がした。
俺たちが振り向くと、そこにはカウボーイハットを被った男と、ボーガンを構える長髪の男が立っていた。
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