聖女として白龍の生贄になると思ったらなぜか騎士様と契約結婚することになって愛されています

鳥花風星

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役立たず

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「ヴアアアア!」

 魔物達と王都の騎士達が一斉に戦い始めた。あちこちで剣と魔物の爪や刃がぶつかり合う音がする。白龍使いの騎士と白龍は聖女を守るようにして身構えいつでも戦える状態だ。

 さすがは王都の騎士団、次々と魔物を倒していく。だが、魔物は減るどころか森の奥から絶え間なく現れてくる。

「どうなっているの、一向に減る様子が見られない……」

 シキ様が顔を曇らせ呟いた。本当に一体どういうことだろう、こんな不思議なことが起こるのはやっぱり瘴気の影響なのかしら?

「森の奥に魔物がわいて出る場所があるようだね。ここからそんなには遠くない」

 目を瞑り何かを探っているような様子の白龍ウェズ様が言う。

「そこを潰さない限りはキリがない、と言うわけか」

 ユーズ団長が渋い顔で言うと、ケインズ団長の元へ走り出した。

「ケインズ!森の奥にどうやら魔物がわいて出る場所があるらしい!」

 魔物を斬りつけながらユーズ団長は叫んだ。その言葉を聞いてケインズ団長は一瞬眉を顰めてから周りを見渡す。

「前衛部隊は俺に続いて森の奥へ!後方部隊は背後を頼む!」

 ケインズ団長の声に騎士達が一斉に頷いた。

「俺たちも続くぞ!」

 ユーズ団長がそういうと、ランス様達も魔物を倒しながら走り出す。

「セシル、俺のそばから絶対に離れないでね」

 ランス様の言葉に、私はただ頷くことしかできなかった。




氷結強刃アイスクラスター!」

 王都の騎士に襲い掛かろうとする魔物に、複数の氷の刃が突き刺さる。ルル様が魔法で攻撃したのだ。ベル様とシキ様も他の騎士様達に混じって走りながら剣を振るっている。ランス様達だけではなくベル様達がここぞという時に加勢しているおかげで、王都の騎士様達は戦いやすくなっているようだ。

「聖女様達もなかなかのモンだな。役立たずで足手まといだなんて言った馬鹿どもはきっと猛反省してるだろうよっ、と」

 剣を奮いながらケインズ様がニヤリとして言う。

 その様子を眺めていると、胸の奥がどんどん重くなっていくような気になってくる。

(私は、魔法も剣も使えずに、ただランス様達に守ってもらっているだけ……)

 騎士様達の後を必死で追いながら、私は自分の不甲斐なさに情けなくなっていた。だってそうでしょう、私はまだ何も役に立っていない。


———そう、あなたは他の聖女と違って何もできない、ただの役立たず


 ふと、どこからか知らない女性の声が聞こえた気がした。

「誰?」

 声に気を取られて思わず立ち止まったその時。

「危ない!!!!」

 気がつくと目の前に魔物が大きな口を開けて私に食らいかかろうとしていた。

「!!!!!」

 ズシャアアアアア!

 思わず瞑った両目を開くと、目の前に剣を持ったランス様がいて、その足元には魔物が真っ二つに分かれて倒れている。

「セシル、大丈夫?!」

「は、はい……」

 ランス様にそう返事をするのが精一杯だった。突然の出来事に手も足も声も震えてしまっている。どうしよう、ただでさえ何もできないのにこれでは足手まといだわ。

「他の聖女様と違って何もできないただ守られているだけの聖女様か」

 すれ違いざまに聞こえる王都の騎士様の声。ランス様が騎士様を睨みつけているけれど、私の心はますます重くなっていく。

(私、ここにいて本当にいいのかしら)

(いない方がいいのかもしれない)

(でも、まだ周りの力を増幅させる魔法を発動していないわ)

(いいえ、周りの力を増幅させる魔法だってこんな状況ではうまく発動できないかもしれない、むしろきっとできないわ)

(そうよ、私なんか必要ない)



———そう、あなたはそこにいるべき人間ではないわ



 また聞こえてきた声に、意識を囚われそうになった、その時。

 フワッと肩に手がかけられ自分の内側から軽くなるのがわかる。

「セシル、今ここに意識を集中するんだ。できるだろう」

 見上げると、私の両肩を後ろから優しく抱いて微笑むミゼル様がいた。





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