42 / 57
1章
30. 婚約!!!???
しおりを挟む
ふわふわ。
またこれは夢だ。
私の手は小さく皺だらけになった。
どんなに大きなことをやり遂げても最後はいつも同じだ。
人生を悔いなく生きてきたが、やはり虚しさに襲われる。
私を慕ってくれる者は大勢いて、息が浅く細くなっていく間に、入れ替わり立ち代わり懐かしい人たちが訪ねて来る。
もう立ち上がり出迎える事も出来ない。
時には帰って行くのを見送れずに眠ってしまう事もある。
また一人。いつでも一人。終わってしまう時はいつだって一人だ。
寂しい。
私、寂しかったのね。
寂寥感。
なんで?
寝起きになんで寂しさに襲われなきゃならないの?
理不尽だわ。
シャッ、シャッといつものようにカーテンが開けられていく中で目が覚める。
涙が出ていないか目じりを触って確かめたが、さらさらだった。
そう、夢は夢ね!
忘れよう!
重い身体を無理やり起こして、這うように浴室に移動した。
出て来る頃にはスッキリです。
朝風呂、気持ちいい!
さて今日は、本格的に衣裳の仕立て直しを始めます。
ラインを作って流れ作業でばーーーーっと作るのです。
私は今日もホールへの階段を駆け下りる。
邸は昨日、夜会が行われたとは思えないくらい綺麗にいつも通りです。
食堂に入ると既に私以外は揃っていた。
おや、皆さん早いですね。
「こっちにおいで」
朝の挨拶を終えるとお父様に呼ばれた。
近づくと肩を抱かれる。
いつものギューハグとは違う。
テーブルの上に手紙が広げられる。
フォレスト侯爵家の家紋が刻印された手紙だ。
「フォレスト侯爵家からソフィアに婚約の申し込みが来たよ」
―――え?
テーブルの上には上等な紙に滲みの無い綺麗なインクで書かれた婚約申込書。
署名欄にファルコ・フォレストとレオン・フォレストの名が書かれており、拇印まで押されている。
その下にはエドガーライトー・シルエットの署名拇印も既にされていて、その下のスペースは空欄になっている。
もう一枚の手紙には婚約式についての詳細が書かれている。
王都からフォレスト侯爵家が来訪して婚約式が行われる予定で、それは私の誕生日の前日になっている。
私はお父様を見て、お母様を見た。
真剣なお顔と優しいお顔。
お兄様たちも真剣なお顔で、最後に見たレオン様は、いつも通りにこにこ笑っております。
レオン様と、私が?
婚約?
私は立ち眩みがした。
肩に置かれたお父様の手をどかすと、一歩下がり二歩下がり、気付くと食堂を飛び出していた。
「ソフィア!?」
皆が呼びかける声は無視します。
行くところなんて自室しかないのだけど、とにかく落ち着きたい!
何ですか?
この超展開!
キャー!
キャーーーーーーー!!!
自室に戻り前室からリビングに入る扉に鍵をかけて、完全に1人で部屋に籠った。
ソファーで身もだえる事しかできない。
だって、婚約!?
過去に経験のない事態です!!
いや、この年で経験あるはずないのだけど、当事者となって結婚とか考えたことありません。妄想した事ありません。夢に見たことありません。
どう、どう、どう、どうすれば良いのでしょうか!?
ぐー〇る先生はいないのか!?
取り敢えず本を探ります。
何かヒントを!
でも自室に持ち込んでいる本には恋愛要素がゼロです。
『魔力の歴史』とか、『昔の生活道具』とか、ここに至って何も役に立ちません。
本は万能ではなかったの?
婚約って・・・何をするのでしょう?
あの婚約申込書にサインをするだけ?
そうしてどうするの?
結婚するの?
いつ!?
え?
レオン様と!?
結局いつまで経っても落ち着くことなど出来ず、朝食を食べ逃してしまいました。
コンコン。
前室からノックされます。
シャロンが心配したかな?
でも放っておいて。
「ソフィア嬢、お話しをしましょう」
ぎゃーーーー!!!
レオン様でした!!
無理無理―――!!
「ソフィア嬢。扉越しで構いません。人払いもしています。声を聞かせて下さい」
レオン様の心配そうな声がします。
そうね、皆心配しているわね。
でもでも。
「ソフィア嬢、蹴破りますよ?」
レオン様、優しい声で物騒です。
蹴破られるのは好みません。
私はしぶしぶ扉に歩み寄ると
「それは困ります」
と扉の向こう側に向かって言った。
すると安堵の気配が伝わってくる。
「良かった、ソフィア嬢」
優しいレオン様の声です。
こんなパニック状態でも、この声を聞くと安心してしまいます。
ただ、状況に気持ちが追い付けません。
つまり。レオン様と顔を合わせるのはとんでもなく恥ずかしいのです。
またこれは夢だ。
私の手は小さく皺だらけになった。
どんなに大きなことをやり遂げても最後はいつも同じだ。
人生を悔いなく生きてきたが、やはり虚しさに襲われる。
私を慕ってくれる者は大勢いて、息が浅く細くなっていく間に、入れ替わり立ち代わり懐かしい人たちが訪ねて来る。
もう立ち上がり出迎える事も出来ない。
時には帰って行くのを見送れずに眠ってしまう事もある。
また一人。いつでも一人。終わってしまう時はいつだって一人だ。
寂しい。
私、寂しかったのね。
寂寥感。
なんで?
寝起きになんで寂しさに襲われなきゃならないの?
理不尽だわ。
シャッ、シャッといつものようにカーテンが開けられていく中で目が覚める。
涙が出ていないか目じりを触って確かめたが、さらさらだった。
そう、夢は夢ね!
忘れよう!
重い身体を無理やり起こして、這うように浴室に移動した。
出て来る頃にはスッキリです。
朝風呂、気持ちいい!
さて今日は、本格的に衣裳の仕立て直しを始めます。
ラインを作って流れ作業でばーーーーっと作るのです。
私は今日もホールへの階段を駆け下りる。
邸は昨日、夜会が行われたとは思えないくらい綺麗にいつも通りです。
食堂に入ると既に私以外は揃っていた。
おや、皆さん早いですね。
「こっちにおいで」
朝の挨拶を終えるとお父様に呼ばれた。
近づくと肩を抱かれる。
いつものギューハグとは違う。
テーブルの上に手紙が広げられる。
フォレスト侯爵家の家紋が刻印された手紙だ。
「フォレスト侯爵家からソフィアに婚約の申し込みが来たよ」
―――え?
テーブルの上には上等な紙に滲みの無い綺麗なインクで書かれた婚約申込書。
署名欄にファルコ・フォレストとレオン・フォレストの名が書かれており、拇印まで押されている。
その下にはエドガーライトー・シルエットの署名拇印も既にされていて、その下のスペースは空欄になっている。
もう一枚の手紙には婚約式についての詳細が書かれている。
王都からフォレスト侯爵家が来訪して婚約式が行われる予定で、それは私の誕生日の前日になっている。
私はお父様を見て、お母様を見た。
真剣なお顔と優しいお顔。
お兄様たちも真剣なお顔で、最後に見たレオン様は、いつも通りにこにこ笑っております。
レオン様と、私が?
婚約?
私は立ち眩みがした。
肩に置かれたお父様の手をどかすと、一歩下がり二歩下がり、気付くと食堂を飛び出していた。
「ソフィア!?」
皆が呼びかける声は無視します。
行くところなんて自室しかないのだけど、とにかく落ち着きたい!
何ですか?
この超展開!
キャー!
キャーーーーーーー!!!
自室に戻り前室からリビングに入る扉に鍵をかけて、完全に1人で部屋に籠った。
ソファーで身もだえる事しかできない。
だって、婚約!?
過去に経験のない事態です!!
いや、この年で経験あるはずないのだけど、当事者となって結婚とか考えたことありません。妄想した事ありません。夢に見たことありません。
どう、どう、どう、どうすれば良いのでしょうか!?
ぐー〇る先生はいないのか!?
取り敢えず本を探ります。
何かヒントを!
でも自室に持ち込んでいる本には恋愛要素がゼロです。
『魔力の歴史』とか、『昔の生活道具』とか、ここに至って何も役に立ちません。
本は万能ではなかったの?
婚約って・・・何をするのでしょう?
あの婚約申込書にサインをするだけ?
そうしてどうするの?
結婚するの?
いつ!?
え?
レオン様と!?
結局いつまで経っても落ち着くことなど出来ず、朝食を食べ逃してしまいました。
コンコン。
前室からノックされます。
シャロンが心配したかな?
でも放っておいて。
「ソフィア嬢、お話しをしましょう」
ぎゃーーーー!!!
レオン様でした!!
無理無理―――!!
「ソフィア嬢。扉越しで構いません。人払いもしています。声を聞かせて下さい」
レオン様の心配そうな声がします。
そうね、皆心配しているわね。
でもでも。
「ソフィア嬢、蹴破りますよ?」
レオン様、優しい声で物騒です。
蹴破られるのは好みません。
私はしぶしぶ扉に歩み寄ると
「それは困ります」
と扉の向こう側に向かって言った。
すると安堵の気配が伝わってくる。
「良かった、ソフィア嬢」
優しいレオン様の声です。
こんなパニック状態でも、この声を聞くと安心してしまいます。
ただ、状況に気持ちが追い付けません。
つまり。レオン様と顔を合わせるのはとんでもなく恥ずかしいのです。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
主人公の義兄がヤンデレになるとか聞いてないんですけど!?
玉響なつめ
恋愛
暗殺者として生きるセレンはふとしたタイミングで前世を思い出す。
ここは自身が読んでいた小説と酷似した世界――そして自分はその小説の中で死亡する、ちょい役であることを思い出す。
これはいかんと一念発起、いっそのこと主人公側について保護してもらおう!と思い立つ。
そして物語がいい感じで進んだところで退職金をもらって夢の田舎暮らしを実現させるのだ!
そう意気込んでみたはいいものの、何故だかヒロインの義兄が上司になって以降、やたらとセレンを気にして――?
おかしいな、貴方はヒロインに一途なキャラでしょ!?
※小説家になろう・カクヨムにも掲載
幼い頃に、大きくなったら結婚しようと約束した人は、英雄になりました。きっと彼はもう、わたしとの約束なんて覚えていない
ラム猫
恋愛
幼い頃に、セレフィアはシルヴァードと出会った。お互いがまだ世間を知らない中、二人は王城のパーティーで時折顔を合わせ、交流を深める。そしてある日、シルヴァードから「大きくなったら結婚しよう」と言われ、セレフィアはそれを喜んで受け入れた。
その後、十年以上彼と再会することはなかった。
三年間続いていた戦争が終わり、シルヴァードが王国を勝利に導いた英雄として帰ってきた。彼の隣には、聖女の姿が。彼は自分との約束をとっくに忘れているだろうと、セレフィアはその場を離れた。
しかし治療師として働いているセレフィアは、彼の後遺症治療のために彼と対面することになる。余計なことは言わず、ただ彼の治療をすることだけを考えていた。が、やけに彼との距離が近い。
それどころか、シルヴァードはセレフィアに甘く迫ってくる。これは治療者に対する依存に違いないのだが……。
「シルフィード様。全てをおひとりで抱え込もうとなさらないでください。わたしが、傍にいます」
「お願い、セレフィア。……君が傍にいてくれたら、僕はまともでいられる」
※糖度高め、勘違いが激しめ、主人公は鈍感です。ヒーローがとにかく拗れています。苦手な方はご注意ください。
※『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。
「25歳OL、異世界で年上公爵の甘々保護対象に!? 〜女神ルミエール様の悪戯〜」
透子(とおるこ)
恋愛
25歳OL・佐神ミレイは、仕事も恋も完璧にこなす美人女子。しかし本当は、年上の男性に甘やかされたい願望を密かに抱いていた。
そんな彼女の前に現れたのは、気まぐれな女神ルミエール。理由も告げず、ミレイを異世界アルデリア王国の公爵家へ転移させる。そこには恐ろしく気難しいと評判の45歳独身公爵・アレクセイが待っていた。
最初は恐怖を覚えるミレイだったが、公爵の手厚い保護に触れ、次第に心を許す。やがて彼女は甘く溺愛される日々に――。
仕事も恋も頑張るOLが、異世界で年上公爵にゴロニャン♡ 甘くて胸キュンなラブストーリー、開幕!
---
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました
蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈
絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。
絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!!
聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ!
ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!!
+++++
・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)
そのご寵愛、理由が分かりません
秋月真鳥
恋愛
貧乏子爵家の長女、レイシーは刺繍で家計を支える庶民派令嬢。
幼いころから前世の夢を見ていて、その技術を活かして地道に慎ましく生きていくつもりだったのに——
「君との婚約はなかったことに」
卒業パーティーで、婚約者が突然の裏切り!
え? 政略結婚しなくていいの? ラッキー!
領地に帰ってスローライフしよう!
そう思っていたのに、皇帝陛下が現れて——
「婚約破棄されたのなら、わたしが求婚してもいいよね?」
……は???
お金持ちどころか、国ごと背負ってる人が、なんでわたくしに!?
刺繍を褒められ、皇宮に連れて行かれ、気づけば妃教育まで始まり——
気高く冷静な陛下が、なぜかわたくしにだけ甘い。
でもその瞳、どこか昔、夢で見た“あの少年”に似ていて……?
夢と現実が交差する、とんでもスピード婚約ラブストーリー!
理由は分からないけど——わたくし、寵愛されてます。
※毎朝6時、夕方18時更新!
※他のサイトにも掲載しています。
甘い匂いの人間は、極上獰猛な獣たちに奪われる 〜居場所を求めた少女の転移譚〜
具なっしー
恋愛
「誰かを、全力で愛してみたい」
居場所のない、17歳の少女・鳴宮 桃(なるみや もも)。
幼い頃に両親を亡くし、叔父の家で家政婦のような日々を送る彼女は、誰にも言えない孤独を抱えていた。そんな桃が、願いをかけた神社の光に包まれ目覚めたのは、獣人たちが支配する異世界。
そこは、男女比50:1という極端な世界。女性は複数の夫に囲われて贅沢を享受するのが常識だった。
しかし、桃は異世界の女性が持つ傲慢さとは無縁で、控えめなまま。
そして彼女の身体から放たれる**"甘いフェロモン"は、野生の獣人たちにとって極上の獲物**でしかない。
盗賊に囚われかけたところを、美形で無口なホワイトタイガー獣人・ベンに救われた桃。孤独だった少女は、その純粋さゆえに、強く、一途で、そして獰猛な獣人たちに囲われていく――。
※表紙はAIです
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる