人助けサークル CR-X

ドラマチック東京

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6.繰り返す過去

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高屋ジャンクションで高速を降り、国道375号線に乗り換える。そして、郷原ICで降り、目指すは灰ヶ峰。
灰ヶ峰に行く途中、コーナーが連続する峠道を通った。俺は走り屋の血が騒いだが、あの事件を思い出して、俺は安全運転を心がけた。
灰ヶ峰に着いた時、時刻は17時になっており、呉の港と夕焼けがマッチして素晴らしい景色であった。俺はすっかりこの景色に見惚れて、1時間ぐらいここにいた。
しかし、この美しい時間も束の間で、俺は明日の予定を思い出した。そのため、俺はもう帰ることにした。
俺はCR-Xで帰路をぼーっと運転していると、久しぶりに峠を攻めたくなったので、俺はこの峠をアクセル全開で走ってみた。
峠を走っているうちに、昔の懐かしい思い出を思い出す…
あの事件のことは忘れて、俺は走りに没頭した。
だが、そんな楽しい時間が打ち破られたのは、一瞬のことだった。
しばらく走っていると、住宅街に降った。そこには、手を繋いで仲良く歩いているカップルがいた。だが、そのカップルの片方の男は後ろ姿が非常に高里に似ていたのだ。俺はそれをスルーして行こうとしたが…
「じゃあまた会おうね!今日は楽しかったよ、陽一クン…♡」
「ああ、またね。」
女の子が、車道へ飛び出したその時…
  あ

 れ


  で


 し


 さ


 き

  ゃ
というメッセージが脳裏によぎった。
その瞬間、ガツッとした鈍い音が聞こえた。その音が鳴るのと同時に、俺は現実に戻った。
俺は何故か、惰性でその女の子を轢いてしまっていたのだ。
そして、俺の目の前には、女の子が血を出しながら虚な目をして倒れていた。
あの高里によく似た男の子は、絶望したような表情でこちらを見ていた…

俺は逃げた。
高速道路へと車を飛ばして、1秒でも早く、周りにバレないようにすぐに長崎へと帰ろうとした。
高速道路では時速140kmで飛ばして、ようやく長崎に帰ってきた。
俺は長崎で、21年間苦楽を共にしてきたCR-Xを売った。
それから、俺はバレる事を恐れて人前に出ることを恐れたが、あのスーパーでは働き続けた。だって俺は店長だし、俺が急に行方をくらましたらみんなは迷惑するだろうし、俺はもう人を困らせたくないから…
しかし、ある時、バイトの子からこんな質問をされた。
「すいません、店長、昔CR-Xっていう車持ってませんでしたか?赤いやつ」
「ああ、そうだけど。それがどうかしたの?」
「もしかして…店長って、呉の轢き逃げ事件の犯人なんですか?笑」
「どういうこと…」
「知らないんですか?最近掲示板で有名になってるんですよ!赤いCR-Xに恋人を殺された高校生!わたし、最近調査してるんですよ!私人逮捕が趣味なんで!」
「…」
「ま、どうせ釣りですよねー、最近そういうの多いし。人の死をネタにしてでも反応して欲しいんですかね?最近の高校生ってやつは…」
「…」
バレてしまった。俺がやる事は、ただ一つだけ…
「下村さん…すまないけど、カッターを貸してくれないか?」
「ああ、いいですけど。何につか…」

ズズッ

制服をたくしあげ、胸元を裂く、血が吹き出す。

「店長、何してるんですか!」
「いや、俺実はその事件の犯人なんだけど…もう、バレちゃったから、死んだ方がマシかなぁって…」
「はやまらないでください!」
「いや、もういいよもういいよ。実は俺、それ以上にもう既に20人ぐらい殺してっから…」
「何言ってるんですか、店長!そんなわけ…」
「本当のことなんだ…あの事がバレた以上、俺はもう生きたくない。俺がこのまま生き続けても、また同じ過ちを繰り返すだけなんだから…」

ザクッ!

俺は胸元を刺した。そして、他界した。

「店長!!!」

結局、俺にとって「善意」や「人助け」とは何だったんだろうか。俺は人殺しの快楽に目覚め、何人もの人を「善意」や「人助け」で殺してしまっていた。
俺はこの自伝を、今を生きる善意で人を傷つけてしまう、可哀想な人々に捧げようと思う。そうすれば、きっと変わってくれるはずだから…



変なオチになっちゃって睡魔さん

2024/4/25 市川一朗
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