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 シャルルは、突然足を止めると、ピエールをそっと草むらの中におろしました。
「どうしたんだい、シャルル?」
 ピエールは不安そうに尋ねました。もう置き去りにされるのは嫌だったのです。
 シャルルはピエールを安心させるようににっこりとほほ笑むと、「しー」と自分の口に、立てた人差し指を当て、そのまま近くにあったニレの木のかげに姿を隠しました。



「おい、シャルル……」
 ピエールが不安な気持ちでシャルルの名を呼びかけたとき、遠くの方から女の子の声が聞こえてきました。ピエールがハッとすると同時に、耳は風の中に張られた帆のようにピンと立ち、それから小さくぴくぴくと動きました。
「ピエール、ピエール……!」

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