『冷徹公爵との【愛なし契約結婚】は、溺愛の家族愛に変わりました~「地味で何の価値もない」と捨てた実家は、もう遅い

腐ったバナナ

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17話

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 ハーウェル伯爵家への反撃が完遂し、公爵邸は真の幸福に包まれていた。公爵は、エミリアとの愛を公の場で誓い、彼女を真の公爵夫人として、領民にも紹介する日を心待ちにしていた。

 公爵の愛は、もはや独占欲というよりも、極限の庇護と溺愛へと変わっていた。彼は、執務の合間に頻繁にエミリアの元を訪れ、彼女の体調を尋ね、少しでも彼女が疲労を示すと、すぐに休息を命じた。

「エミリア。庭園での作業は、ロバートに任せなさい。君はただ、私の隣で休んでいればいい」

 公爵の心の声:(彼女の身体は、この公爵家で最も大切にすべき宝だ。微塵たりとも傷つけたくない)

 エミリアは、公爵の過剰なまでの気遣いを微笑ましく思っていたが、最近、自分自身の体に小さな変化が起きていることに気づいていた。朝のわずかな吐き気、食欲の増進、そして、公爵の重い愛が、以前よりもさらに温かく感じられること。

 そして、ある日の朝。

 エミリアは、公爵の執務室を訪れ、彼の傍らに寄り添った。

「公爵様。わたくし、あなた様にお伝えしたいことがございます」

「どうした、エミリア。体調が優れないのか?すぐに医者を呼ぶぞ!」

 公爵は、すぐさま警戒の心の声を発し、立ち上がろうとした。

 エミリアは、優しく公爵の手を握り、彼を椅子に座らせた。

「違います、公爵様。これは、嬉しい予感です。わたくし、おそらく……あなた様との、新しい命を授かったようです」

 その瞬間、クライヴ公爵の冷徹な仮面は、完全に剥がれ落ちた。彼の瞳は大きく見開かれ、表情は驚愕から、筆舌に尽くしがたい歓喜へと変わった。

 公爵の心の声は、エミリアの能力でも捉えきれないほどの、激しい感情の奔流となった。(命!私とエミリアの子供!私の、私たちが築いた家族の、証し!絶対に、絶対にこの命を守る!)

 公爵は、震える手でエミリアの腹部にそっと触れ、そして、彼女の顔を両手で包み込んだ。

「エミリア……感謝する。君は、私に全てを与えてくれた。領地の安寧、家族の温もり、そして、二度と失うことのない希望を」

 彼の声は震えており、その瞳には、深い愛と、喜びの涙が滲んでいた。

 その日以来、「氷の公爵」は、「極限の過保護公爵」へと変貌した。

 公爵は、エミリアの傍を片時も離れようとしない。

 ロバート執事とオスカー騎士団長には、公爵夫人への24時間体制の警護を命令。

 エミリアが階段を登る際には、必ず公爵が背後から彼女を抱きかかえて「絶対安全のサポート」を行う。

 エミリアの献立は、全て公爵自身が確認し、「栄養が偏ってはいないか」「リスクはないか」と、過剰なまでに分析する。

「エミリア。君は、ただ私とアルフレッドの隣で、ゆっくりと休んでいればいい。公務は、私が一人でこなす。君と、この子の安全が、私の人生における最優先事項だ」

 エミリアは、公爵の過剰なまでの溺愛と庇護を、心からの愛として受け入れた。王都で「地味で無能」と蔑まれた彼女は、今、公爵の揺るぎない愛と、新しい命という、最高の幸福に包まれていた。
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