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11話
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秋の風が村を包み、収穫祭の余韻がまだ広場に漂っていた。黄金色の稲穂は刈り取られ、倉には豊かな実りが積まれている。村人たちの笑い声が夜空に響き渡り、安心と喜びに満ちていた。
その一角で、カリナは薬草茶を配っていた。農作業で疲れた人々が「これで身体が軽くなる」と笑顔で受け取り、旅人は「遠くから来てよかった」と感謝を告げる。
「カリナさん、本当にありがとう。あんたが来てから村がずっと元気なんだ」
年配の農夫が頭を下げると、カリナは照れたように笑った。
「そんな、大げさですよ。ただ薬草の力を借りているだけです」
「いやいや、あんたの優しさがあるからこそだ」
そう言って農夫は、安心したように肩を叩いて去っていった。
――あの日、宮廷で「役立たず」と追放された自分が、今こうして人々の役に立っている。
その事実が、彼女の胸を静かに満たしていた。
◆
祭りが終わった夜。
村が静けさに包まれると、カリナは薬草小屋の前に座り、星空を仰いだ。
「……私の人生は、ここから始まったんだわ」
宮廷で浴びせられた侮蔑や冷笑を思い出すこともある。だが今は、それすら過去の一幕に過ぎなかった。あの追放があったからこそ、この地での幸せにたどり着けたのだ。
背後から声がした。
「カリナさん、こんな夜更けにどうしたの?」
村の娘マリーが心配そうに立っていた。
カリナは微笑んで答える。
「ちょっと星を眺めていただけよ。あの時、宮廷を追い出されて……すべて終わったと思った。でも違った。ここで、新しい人生を始められたんだもの」
マリーは驚いた顔をして、それから真剣に言った。
「私たちは、カリナさんが来てくれて本当に幸せだよ。もう役立たずなんかじゃない。むしろ、うちの村の聖女さまだから」
その言葉に、カリナの目が潤んだ。
「ありがとう……。そう言ってもらえるなんて、夢みたい」
◆
翌朝。
カリナは畑に出て、朝露に濡れた薬草に手を伸ばした。
「おはよう、カリナさん!」
子供たちが駆け寄ってくる。
「昨日のお茶、美味しかったよ!」
「また作ってね!」
無邪気な笑顔に囲まれ、カリナは自然と頬が緩む。
「もちろんよ。でも、手伝ってくれたらもっと美味しくできるかもね?」
「やるー!」
子供たちは元気よく返事をし、畑の中を走り回った。
その様子を見ていた村の長老が、ゆっくりと近づいてきた。
「カリナさん。あんたはもう、この村に欠かせない人じゃ。どうか、これからも一緒に歩んでくれ」
カリナは深くうなずいた。
「はい。ここが私の居場所です。もう、誰かに追われるのではなく、自分で選んだ道を生きていきます」
空は青く澄み、風は穏やかで、村には平和な日常が広がっていた。
その中心にいるのは、かつて「役立たず」と追放された一人の聖女――今は薬師として、人々に愛される女性だった。
彼女の第二の人生は、こうして静かに、けれど確かに輝きを放ち続けるのだった。
その一角で、カリナは薬草茶を配っていた。農作業で疲れた人々が「これで身体が軽くなる」と笑顔で受け取り、旅人は「遠くから来てよかった」と感謝を告げる。
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「そんな、大げさですよ。ただ薬草の力を借りているだけです」
「いやいや、あんたの優しさがあるからこそだ」
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――あの日、宮廷で「役立たず」と追放された自分が、今こうして人々の役に立っている。
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祭りが終わった夜。
村が静けさに包まれると、カリナは薬草小屋の前に座り、星空を仰いだ。
「……私の人生は、ここから始まったんだわ」
宮廷で浴びせられた侮蔑や冷笑を思い出すこともある。だが今は、それすら過去の一幕に過ぎなかった。あの追放があったからこそ、この地での幸せにたどり着けたのだ。
背後から声がした。
「カリナさん、こんな夜更けにどうしたの?」
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カリナは微笑んで答える。
「ちょっと星を眺めていただけよ。あの時、宮廷を追い出されて……すべて終わったと思った。でも違った。ここで、新しい人生を始められたんだもの」
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「ありがとう……。そう言ってもらえるなんて、夢みたい」
◆
翌朝。
カリナは畑に出て、朝露に濡れた薬草に手を伸ばした。
「おはよう、カリナさん!」
子供たちが駆け寄ってくる。
「昨日のお茶、美味しかったよ!」
「また作ってね!」
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「もちろんよ。でも、手伝ってくれたらもっと美味しくできるかもね?」
「やるー!」
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「カリナさん。あんたはもう、この村に欠かせない人じゃ。どうか、これからも一緒に歩んでくれ」
カリナは深くうなずいた。
「はい。ここが私の居場所です。もう、誰かに追われるのではなく、自分で選んだ道を生きていきます」
空は青く澄み、風は穏やかで、村には平和な日常が広がっていた。
その中心にいるのは、かつて「役立たず」と追放された一人の聖女――今は薬師として、人々に愛される女性だった。
彼女の第二の人生は、こうして静かに、けれど確かに輝きを放ち続けるのだった。
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