透明令嬢は暗殺公爵の箱庭で愛でられる

腐ったバナナ

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9話

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 カイルが排除され、再び地下宮殿に静寂が戻った後。レオンハルト様の愛は、静かな狂気を帯びてさらに加熱していました。

「……エリス、あの男の手がお前に触れようとしたな」

 彼は私の背後に回り、剥き出しの肩を冷たい指先でなぞります。その声は低く、地を這うような怒りを含んでいました。

「いいえ、レオンハルト様……私は触れられていません。ただ、見ていただけ……」

「視線ですら、俺以外のものがお前を認識することは許さない」

 彼はどこからか、細くしなやかな「銀の首輪」を取り出しました。そこには、彼の瞳と同じ黄金色の魔石が埋め込まれています。

「これは俺の魔力の結晶だ。これをお前に着けていれば、お前の感覚はすべて俺と繋がる。お前が見るもの、聞くもの、肌で感じるもの……すべてを俺が共有する」

 カチリ、と冷たい金属が私の首に嵌められました。 その瞬間、頭の中にレオンハルト様の独占欲が直接流れ込んできたような錯覚に陥り、私は膝をつきました。

「あ……っ、熱い……」

 それだけではありませんでした。 鎖骨の下にある「独占の紋章」が、生き物のように脈打ち、熱を帯びて赤黒く変色していきます。カイルという外敵を排除しようとした反動か、あるいはレオンハルト様の嫉妬に共鳴したのか、紋章は私の肌を突き破らんばかりに疼き始めたのです。

「くっ、はぁ……! 閣下、紋章が……体が、熱くて壊れそうです……」

「……紋章が疼くか。それは、お前の体が俺の魔力を、俺の支配を渇望している証だ」

 レオンハルト様は私を抱き上げると、床に敷かれた厚手の毛皮の上に横たえました。 首輪を通して、彼の昂ぶった感情がダイレクトに伝わってきます。彼が私を愛でたいと願えば、私の肌は粟立ち、彼が私を独占したいと思えば、私の奥底が疼く。

「見ていろ、エリス。お前の紋章が、俺の魔力を吸ってこんなに輝いている」

 彼の手が紋章に触れると、そこから全身に痺れるような快楽が走りました。 カイルとの接触で汚されたという疑念を、彼は暴力的なまでの情愛で塗り潰そうとしていました。

「嫌だ……どこにも行かないで……もっと、私を……」

 自分でも驚くほど、淫らな声が漏れます。 首輪と紋章。二つの枷によって、私は精神も肉体も、レオンハルト様という存在から一秒たりとも離れられない「半身」へと作り替えられてしまったのです。

「そうだ、エリス。お前には俺しかいない。俺のいない世界など、お前には息苦しいだけの地獄だと思い知れ」

 狂おしい執着。 彼に暴かれるたび、私の透明な存在感は、彼の影と同じ「黒」に染まっていきました。 世界で唯一、私を認識する男の腕の中で、私は自我さえも彼の魔力の海へと沈めていったのです。
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