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11話
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その瞬間、帝都の空を不気味な黄金色の光が覆い尽くしました。 第1皇子が起動させた禁忌の魔道具『真実を暴く天秤』。それは、この世のあらゆる隠匿魔法を強制的に剥ぎ取る、無慈悲な光でした。
「……あ、ああ……っ!」
地下宮殿の奥深くにいた私の体に、激痛が走ります。 今まで私を守り、同時に隠してきた「認識阻害」の魔力が、外側から無理やり引き剥がされていく。 肌を焼かれるような熱さと共に、私の存在が、この世界の理の中に強引に引きずり出されていくのが分かりました。
地下宮殿の厚い壁さえも、その光は透過します。 私を隠していた暗闇が消え、世界中の視線が、私の居場所を指し示しているような錯覚。
「見つけたぞ! アスガルド公爵邸の地下だ! あそこに『伝説の女』がいる!」
遠くで、兵士たちの怒号と、好奇心に満ちた民衆の声が響くのが聞こえました。 誰にも見えないから、私は安らげた。 レオンハルト様だけが私を見つけてくれたから、私は救われたのに。 今、私の醜い(と思っていた)姿が、数千、数万の瞳に晒されている。
「嫌……見ないで……! 誰も、私を見ないで……っ!」
私が床に伏し、震えていたその時。 地下宮殿の重厚な扉が、凄まじい衝撃と共に吹き飛びました。
「――俺の許可なく、誰が光を入れた」
現れたのは、全身から漆黒の殺気を立ち昇らせたレオンハルト様でした。 彼の黄金の瞳は、怒りのあまり紅く染まり、その足元からは影が生き物のように蠢いて、周囲の空間を侵食しています。
彼は一歩で私のもとに歩み寄ると、震える私の体を、自分の大きな軍服の外套で包み込みました。
「レオンハルト……様……。みんなが、私を……」
「気にするな、エリス。お前を見つめる不届きな瞳は、すべて俺が潰してやる」
その声は、これまでで最も低く、そして慈悲のないものでした。
宮殿の入り口には、皇子ギルバートが送り込んだ聖騎士団がなだれ込んできました。
「アスガルド公爵! 隠匿罪、および国家兵器の私物化の容疑で――」
「黙れ。羽虫が」
レオンハルト様が指を弾いた瞬間、影の刃が騎士たちの喉元を正確に一閃しました。 悲鳴を上げる間もなく、沈黙が訪れます。 彼は私の首に嵌められた銀の枷を強く握り、私の耳元で冷酷に告げました。
「世界がお前を見つけるというのなら、世界そのものを闇に葬るまでだ」
「閣下……?」
「エリス、お前は何も見なくていい。何も聞かなくていい。お前の世界には、俺一人いれば十分だろう?」
彼は私の視界を塞ぐように、深く、執拗な口づけを落としました。 外では魔道具の光が街を焼き、人々が私を求めて叫んでいる。 けれど、この腕の中だけは、再び訪れた深い闇。
レオンハルト様は私を抱きかかえると、血の海と化した宮殿を後にしました。 それは、帝国最強の武官が、たった一人の女のために国に反旗を翻した、宣戦布告の瞬間でした。
「……あ、ああ……っ!」
地下宮殿の奥深くにいた私の体に、激痛が走ります。 今まで私を守り、同時に隠してきた「認識阻害」の魔力が、外側から無理やり引き剥がされていく。 肌を焼かれるような熱さと共に、私の存在が、この世界の理の中に強引に引きずり出されていくのが分かりました。
地下宮殿の厚い壁さえも、その光は透過します。 私を隠していた暗闇が消え、世界中の視線が、私の居場所を指し示しているような錯覚。
「見つけたぞ! アスガルド公爵邸の地下だ! あそこに『伝説の女』がいる!」
遠くで、兵士たちの怒号と、好奇心に満ちた民衆の声が響くのが聞こえました。 誰にも見えないから、私は安らげた。 レオンハルト様だけが私を見つけてくれたから、私は救われたのに。 今、私の醜い(と思っていた)姿が、数千、数万の瞳に晒されている。
「嫌……見ないで……! 誰も、私を見ないで……っ!」
私が床に伏し、震えていたその時。 地下宮殿の重厚な扉が、凄まじい衝撃と共に吹き飛びました。
「――俺の許可なく、誰が光を入れた」
現れたのは、全身から漆黒の殺気を立ち昇らせたレオンハルト様でした。 彼の黄金の瞳は、怒りのあまり紅く染まり、その足元からは影が生き物のように蠢いて、周囲の空間を侵食しています。
彼は一歩で私のもとに歩み寄ると、震える私の体を、自分の大きな軍服の外套で包み込みました。
「レオンハルト……様……。みんなが、私を……」
「気にするな、エリス。お前を見つめる不届きな瞳は、すべて俺が潰してやる」
その声は、これまでで最も低く、そして慈悲のないものでした。
宮殿の入り口には、皇子ギルバートが送り込んだ聖騎士団がなだれ込んできました。
「アスガルド公爵! 隠匿罪、および国家兵器の私物化の容疑で――」
「黙れ。羽虫が」
レオンハルト様が指を弾いた瞬間、影の刃が騎士たちの喉元を正確に一閃しました。 悲鳴を上げる間もなく、沈黙が訪れます。 彼は私の首に嵌められた銀の枷を強く握り、私の耳元で冷酷に告げました。
「世界がお前を見つけるというのなら、世界そのものを闇に葬るまでだ」
「閣下……?」
「エリス、お前は何も見なくていい。何も聞かなくていい。お前の世界には、俺一人いれば十分だろう?」
彼は私の視界を塞ぐように、深く、執拗な口づけを落としました。 外では魔道具の光が街を焼き、人々が私を求めて叫んでいる。 けれど、この腕の中だけは、再び訪れた深い闇。
レオンハルト様は私を抱きかかえると、血の海と化した宮殿を後にしました。 それは、帝国最強の武官が、たった一人の女のために国に反旗を翻した、宣戦布告の瞬間でした。
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