無実の罪で追放された神官令嬢は、最強大公に拾われました。

腐ったバナナ

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11話

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 王宮での奇跡的な治癒により、リリアンの無実と真の聖女の地位は揺るぎないものとなった。最高評議会は、リリアンを正式な聖女として迎え入れる準備を進め、カサンドラと最高司祭への断罪が目前に迫っていた。

 この成功は、ひとえにリリアンの献身的な力と、アシュトン大公の冷徹な戦略と絶対的な庇護によるものだった。

 その夜、大公城に戻ったアシュトンは、公務の疲れも見せず、リリアンを自身の私的な書庫へと招いた。書庫は、彼にとって最も神聖な、リリアンと二人きりの場所だった。

「リリアン。貴様は、私とこの王国に最高の功績をもたらした。貴様を蔑んだ者たちは、貴様の真の価値を思い知っただろう」

 アシュトンは、リリアンを深く見つめ、その金色の瞳に冷酷な王の仮面を脱ぎ捨てた情熱的な愛を宿らせた。

「貴様は、私の唯一の安定剤であり、最も強力な光だ。貴様が傍にいることで、私の闇の魔力は安定し、私は真の王としてこの王国を支配できる」

 アシュトンの言葉は、これまでの支配的な契約を再確認するようにも聞こえたが、その奥には深い切望があった。

「大公様。私は、貴方のために力を尽くします。貴方こそが、私の真の居場所を与えてくださった方ですから」

 リリアンの一途な返答に、アシュトンは満足しながらも、物足りなさを感じていた。彼は、道具としてではなく、愛する女性として、リリアンを永遠に独占したいと強く願った。

 アシュトンは、懐から漆黒のベルベットの小箱を取り出した。中には、闇の魔力を秘めた巨大な黒いダイヤモンドを、清らかな白金が抱え込むようにデザインされた指輪が収められていた。

「リリアン・ヴェルヌ」

 アシュトンは、跪くことなく、しかし王としての最大の敬意と愛の重さを込めて、リリアンに告げた。

「貴様は、単なる所有物ではない。貴様は、このクロイツェル大公家の光であり、私の人生の全てだ」

「貴様を大公妃として迎えたい。私の隣に立ち、王国の裏側を共に支配する唯一の伴侶となれ」

 それは、王国の権力と永遠の溺愛を懸けた、冷酷な闇の王からの情熱的な求婚だった。彼は、リリアンが大公妃となることで、いかなる権力も彼女から引き離せないようにする、最強の独占契約を結ぼうとしていた。

 リリアンは、彼の強い愛と絶対的な庇護を感じ、その瞳から涙があふれた。追放という絶望の淵から救われ、彼女の清らかな力を心から求め、愛してくれるこの男の愛を、拒む理由などなかった。

「アシュトン様……喜んで、お受けいたします。私は、貴方の伴侶として、貴方の闇を照らし、貴方の王国を支え続けます」

 リリアンが指輪を受け取ると、アシュトンは立ち上がり、彼女を激しく、しかし優しく抱きしめた。

「ああ、リリアン。これで貴様は永遠に私のものだ。私が冷酷な王の仮面を捨て、一途な夫となることを、貴様は知ることになる」

 二人の契約は、愛という名の下に独占へと昇華し、最強の夫婦が王国を裏から支配する未来が確定したのだった。
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