魔力なしの欠陥品として婚約破棄された狼族の令嬢ですが、実は伝説の白獅子の番でした。

腐ったバナナ

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24話

 狼族との決別を経て城へ戻ったその夜。 レオンハルト様の様子は、どこか常軌を逸していました。

「……誰にも触れさせない。誰の記憶にも残したくない。リリアナ、君のその光は、私を狂わせるためにあるのか?」

 城の最深部、宝石の離宮。 彼は侍女たちをすべて退け、自らの手で私のドレスを脱がせると、代わりに薄い絹布一枚だけを纏わせ、私を巨大な天蓋付きベッドの真ん中に座らせました。

「レオンハルト様……? 猛虎族との戦の準備は……」

「そんなものは終わった。我が軍勢には君の神気が宿っている。私が前線に立たずとも、奴らは自滅するだろう。……今の私にとって重要なのは、君をこれ以上『外』に晒さないことだ」

 レオンハルト様はベッドに膝をつき、私の足を手に取ると、その甲に深く、熱い接吻を落としました。 王が、一人の女に跪く。 その姿はあまりに神々しく、同時に恐ろしいほどの執着に満ちていました。

「君が覚醒し、狼族の縁を切った瞬間、世界中の『鼻の利く連中』が君に気づいた。大国の王も、地の底の魔王も、君という至宝を奪いに来るだろう。……だから、リリアナ。この離宮に、さらなる封印を施した」

「封印……ですか?」

「ああ。私の許可なく、この部屋の主である君の声さえ外には漏れない。君がどれほど愛に喘ごうと、誰にも聞こえない。……ここは世界から切り離された、私と君だけの楽園だ」

 レオンハルト様の手が、私の頬から首筋、そして「白獅子のチョーカー」へと滑ります。 彼の指先が触れるたび、私の内側にある神気が共鳴し、部屋全体が黄金の輝きで脈打ち始めました。

「……あ、っ……、レオンハルト様、力が、溢れて……」

「注ぎ込め、リリアナ。君の全てを私の中に。その代わり、君の体には私の魔力を、溢れるほどに刻んでやる」

 彼は私を押し倒し、その重厚な体温で私を押し潰しました。 外の世界では、猛虎族を滅ぼすための軍勢が動き出しているというのに、この部屋の中だけは、まるで時間の止まった琥珀の中のように、甘く、息苦しい愛だけが満ち溢れています。

 レオンハルト様は私の耳を甘噛みし、地を這うような低い声で囁きました。

「君を、本当の意味で『私の体の一部』にしてしまいたい。そうすれば、私はもう、君が消える悪夢を見ずに済むのに」

 その夜、私は彼の渇望に飲み込まれ、何度も何度も「私は貴方だけのものです」と誓わされました。 それは、かつて狼族に無視され続けた私が、今、世界で最も強大な王に「存在のすべて」を求められているという、狂おしいほどの幸福でした。

 しかし、その「楽園」の結界を揺るがす、新たな脅威が北から近づいていました。 伝説の種族「黒龍族」の皇太子が、リリアナの放った強大すぎる神気を感知し、自らの「伴侶」として彼女を奪取すべく、動き始めていたのです。

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