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14話

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 今日の体育は女子がバレーボールで、男子がバスケ。
 陽乃は教師の話を聞きながら、離れた所にいる倉井を見つめた。

 リコ達は分かってくれなかったけど、倉井くんならきっと、ちゃんと話を聞いて『そうだね』って言ってくれるはず。

 今日はまだ、『おはよう』しか言えてない。
 神崎とのことも、そうでないことも、話したいことがいっぱいある。

 雑誌に載っていたあのお店も、倉井くんと一緒に行かなくちゃ。



 倉井くんじゃなきゃ、楽しくない。



 なぜそう思うのかは分からない。
 けれど今一番に頭に浮かぶのは、他の誰でもなく彼なのだ。

 早く彼と話したい。早く一緒に出かけたい。

 そしてまたせーので食べ合って、お互いに感想を言ったりもして。

 「…ふふっ」

 って危ない危ない。今は授業中だった。

 考えただけで笑みがこぼれ、緩む口元を慌てて押さえた。

 あーもう、早く早く。授業なんかしてる場合じゃないよ!
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